2014 アメリカ大学食堂視察 報告書

(4)視察のまとめ

11.今後の視察に向けて

次年度以降の視察に向けて、今回の参加者が感じたこと、検討すべきことをまとめました。

1.違いを理解する

「私たちは一つの組織として食堂も購買も運営しているが、彼らは食&住、購買という 2 つのくくり(別組織)で運営されていること」「食&住に関しては、大学運営の中におかれていること」など、日本の大学(生協)との違いを感じました。また、大学そのものが置かれている場所、周辺事情、大学へのアクセス、大学と地域の関係、食生活、様々な違いから、単純に「アメリカの大学食堂を日本に移植する」ことは簡単ではありません。今回の視察で見たもの聞いたもの感じたものを日本流にアレンジする必要があることを痛感しました。

2.ショップも含めた総合的な見学

今回の視察は、「事業成長し続けているアメリカの大学の福利厚生事業、その中でもフードサービスに焦点を当て、その事業基盤の実態を視察・調査する。」ことを目的として行われました。受け入れ先も NACUFS(National Association of College & University Food Services)とのつながりにより選定されています。その関係で食堂の視察は時間をとって行われたものの、同じキャンパス内にあるショップ見学にはほとんど時間を割くことができませんでした。移動時間等の制限はあるかとは思いますが、そのキャンパスにおける学生の生活を少しでも捉えるうえでも、ショップ見学の時間の確保を検討する必要はあると思います。

3.日本人留学生との懇談

受け入れ側の対応もあるので難しいかもしれませんが、「寮に住んでミールプランで生活をしている日本人学生」の話を日本語で聞くことができれば、視察も深まるのではないでしょうか。この点については、視察先選定の最優先事項にはなりませんが、視察先の決定と共に可能性を探る必要があると思います。(15 年前、東京地区でコネチカット州立大学訪問の際は、昼食を交えながら日本人留学生の話を聞く機会がありました)。

4.視察先のロケーションと規模

今回の視察は郊外型の大規模大学を中心に視察をしました。ボストン大学やハーバード大学といった街中の大学も訪問しましたが、先方との関係で、ボストン大学で夕食をとるだけにとどまりました。この 2 つの大学についてもじっくり見ることができれば違った感想を持ちえたかもしれませんが、次年度以降、視察の中に都市型大学を組み入れるとより実感できるのではないでしょうか。
また、今回の視察・訪問先は一つのキャンパスの在籍が 1 万人をはるかに超える大規模大学でした。単科大学のようなもう少し規模の小さい大学の視察も検討する必要があると思います。

今回、どの訪問先でも、「ダイニングを利用することが健康につながる、そのことが、教育や研究につながっていく」という思想を持っていることが強く印象に残りました。このことを、「今後の研修参加者が感じ、日本に持ち帰って大学関係者と共有していく」といったフィードバックや、大学関係者同行での現地視察も今後の課題となります。