今の大学生の学びの大きな話題として、生成系AI、チャットGPTなどがあります。学生がそういう新しいコンテンツを利用することに対して、大学や教職員側の対応が追いついていないという問題が日本の大学では起きています。こういった問題に対して、大学生や大学、教職員の皆さんがどのような意識や行動をとるべきか、見解をお聞きしたいと思います。
そういう、生成系AIとかを使ってレポートを書いたりすることへの見解ですか。見解で言うと、大学生ってそういう集まりですよね。
正直、僕らの時代から友達のレポートをコピペして出す学生なんて山ほどいて、著作権的な問題とかは一旦置くとして、学生側から見た時に、勉強に対するモチベーションがない人間がたぶん九割九分じゃないですか。だからそれは技術が進歩するだけで、人間がやっていることはおそらく実質的に何も変わっていない気がして、新しい技術が出たから特別に何か新しい対策が必要とかは、基本的にはないんじゃないかな。先生側がね、どこまで厳密にそういうのをあぶり出してやるかというのは、先生方の考え方にもよるんでしょうけれど。基本的に勉強って、言われなくてもしたい人はするし、勉強をさせるということは無理だろうと思います。
弁護士としてのこたけさんに質問なのですが、弁護士の方が資料作成にAIを利用するということは、法律の範囲内においても可能なのでしょうか。
そのAIのサービスは実際に弁護士業務の中にも出てきていて、例えば契約書作成とか定型文の組み合わせで書類を作成する際にAIを活用するようなサービスは出てきています。あとは契約書のチェックなどで、ある程度の問題の有無をAIの判断によってあぶり出してくれるみたいなサービスも実際にあるので、今後は更に出てくるのではないですかね。それらはAIでも可能なこととされています。
僕自身、AIが世に出始めた頃に卒業論文を書いていましたが、さすがに卒論をAIに書いてもらうことはダメだと思っていたので、テーマに対しての問いや、参考文献を出してもらう程度に使っていました。学生もそういう使い方の延長であれば、問題はないのかなと思います。
新しい技術が出てきたら、それが普通になっていくように、AIで本当にいいレポートが書けるなら、もう誰が止めようと自然とそうなっていくので、権利のことなどはみんなで学びながら、自然とリテラシーも上がっていくのではないでしょうか。
昔は著作権の侵害などを気にする人は少なかったですが、順守する動きが出てきて社会全体の意識が変わってきたように、AIに関してもみんなが当たり前に使うようになって、気をつけるべきところが社会全体でうっすら共有されていく、そういうことが、社会が便利になっていくことだと思うので、今までと同じようにやっていれば、そんなに心配しなくていいのではないかと思いますね。
そういう法律が元からあるわけではなくて、文化的な発展の流れから法律が生まれていく、というようなことでしょうか。
法律も基本、後追いで作っていくものなので。新しい技術に対してなどは、特にそうですね。
これから大学で学ぶ学生に対して、自分の学部や学術への向き合い方など、こたけさんのお考えがあれば教えてください。
学びか、難しいですね。
僕は4歳の息子がいますが、とにかく強制的に学ばせるのは本当に難しいというか、もう無理だと感じています。みなさんももちろんそうだと思いますけど、本当に自分の欲求からくる学びじゃないと、やらされる勉強は身にならないじゃないですか。それは別に学校の勉強だけじゃなくて、自分の好きなことは自然と貪欲に学びますよね。だから僕が今ここで大学生に何かアドバイスをしても、おそらく何の意味もないと思っていて。
とにかく学びたい人は人から止められても学ぶし、やりたくない人は首根っこ押さえつけられても学ばないので。後悔のないように楽しんでくださいというぐらいです。
すごく真面目な意見がズバッと出てくると思っていたんですけど、経験してきたからこそのご意見だと思いました。
今までの質問と少し被ってしまうところもあるかもしれませんが、二足の草鞋を履いて活動されているこたけさんに、この記事の読者のほとんどが大学生になりますが、最後にメッセージをお願いします。
では、学生時代の僕に向かって言うとすれば、まず何か本当にやりたいことに関しては、続けていれば大体それなりの形にはなるということ。あとは、大学生の段階でいくら未来予想をして人生計画を立てても、絶対にその通りにはならないということ。
将来について考えるのはすごくいいことですけど、楽観的に考えてもいいのではないかと思いますね。大学生の時には就職活動とかでみんな悩みますけど、5年くらい経つと転職していたり、10年後には全く思ってもなかったことをやっていたり、人生は思ってもみない方向に進むし、予想外にいいことが起こったりもするものです。いま全部決めなければと、あまり思わなくてもいいのではないでしょうか。
弁護士でありながら、お笑い芸人でもあり、さまざまな方向性にチャレンジしておられるこたけさんだからこそのメッセージだと思いました。ありがとうございました。
2024年7月31日リモートインタビューにて
こたけ正義感 氏
1986年京都府出身。ワタナベエンターテインメント所属。
香川大学法学部卒業後、立命館大学法科大学院を修了。愛媛県での司法修習を経て、東京弁護士会に登録。
都内の法律事務所に勤務する傍ら、ワタナベコメディスクールの社会人コースに入学。卒業後はお笑い芸人と弁護士として、それぞれの職業を絡めたリーガルネタが好評を博している。
(公式サイトより一部抜粋)
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