津田 大介氏

世の中の大きな変わり目を経験した若者が、将来社会を変革していく

最後に、コロナ禍で頑張っている大学生にメッセージを頂ければと思います。

歴史を見ていくと、社会が大きく変わるタイミングで大学にいる人が、結構そのあと世の中を変えていくと思うのですよね。例えばスティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツ、孫正義さんというのはだいたい同い年なのです。彼らは大学時代にパーソナルコンピュータという世の中を変えるようなテクノロジーと出会ったことで、それぞれがそれぞれの向き合い方でそれを生かして、それぞれ歴史に名を残す起業家になっていったわけです。同じように、ちょうど僕らが大学の時にインターネットという大きな世界の変わり目が来たのですよ、93年入学なので、堀江正文さんとか、サイバーエージェントの藤田晋さんとか、あるいはGoogleの創業者の2人(ラリー・ペイジ と セルゲイ・ブリン)とかはみんなだいたい同い年ぐらいで、なにか大学のときに世界が大きく変わるような経験をしています。
それは東日本大震災、あるいは阪神大震災などもそうですよね。やはりそういう世の中の大きな変わり目を経験した人が社会に出た後にいろいろなことの中心になっていくということが起きる。コロナで今大学生がすごく大変だし同情もするけれども、そういう特別な環境に置かれているからこそ、多分そのあと社会を変えていける存在になるはずなのですよね。だって、考える時間がいっぱいあるから。働きながらだと、考えることとかどんなことをやりたいかとかは日々の生活が忙しくてなかなかできない。今コロナ禍があって、さらに政治が混迷しているじゃないですか。こういう世の中が変わり目にあるときに大学生であるということは、今社会について考えている大学生が、多分その数年後ぐらいに時代を変えていく中心の世代になっていくと僕は見ています。だから今大学生の人たちが、多分2030年ぐらいに「こんな新しい世代が出てきたんだ」と言われ、ガンガン社会を変えていっていると僕は期待しています。まあ大変ではあるだろうけれども、でもこの経験自体はすごく特別なものだと考えて、多少何度か失敗しても、先ほどの話で成功する5%か3%があるから、邁進していってほしいなとすごく思いますよね。

今、弊会でコロナの学生生活アンケートをとっていて、大学生の頑張りを集めているのですが、改めて今の津田さんのお話を記事で読むと、すごく励まされる大学生がたくさんいるだろうと思いました。
本日はいろいろなお話を伺って本当に勉強にもなったのですが、私たち大学生が大いに励まされるようなインタビューでした。温かいお言葉もかけていただいて、感謝申し上げます。10年後には今のコロナ世代が大活躍できるように、大学生協自体も事業活動を頑張っていきたいと思っております。私たち学生委員会もいろいろと社会に向き合う活動、人に向き合う活動、人を大事にする活動を続けていければと思いました。本日は本当にお忙しい中、貴重なお時間を頂きました。ありがとうございました。

2021年7月19日 リモートにてインタビュー

PROFILE

津田 大介(つだ だいすけ)

1973年東京都出身。ジャーナリスト/メディア・アクティビスト、ポリタス編集長/ポリタスTVキャスター。
早稲田大学社会科学部卒業。有限会社ネオローグ代表取締役、一般社団法人インターネットユーザー協会代表理事。メディアとジャーナリズム、テクノロジーと社会、表現の自由とネット上の人権侵害、地域課題解決と行政の文化事業、著作権とコンテンツビジネスなどを専門分野に多彩な執筆・取材活動を行う。ソーシャルメディアの潜在能力を解き明かし、インターネット以降のジャーナリズムの可能性を探求し続けてきた。
『情報戦争を生き抜く』(朝日新書)、『ウエブで政治を動かす!』(朝日新書)ほか著書多数。週刊有料メールマガジン「メディアの現場」配信中。
大阪経済大学情報社会学部客員教授、新潟日報特別編集委員。朝日新聞論壇委員、関西大学総合情報学部特任教授、京都造形芸術大学芸術学部文芸表現学科客員教授、東京工業大学リベラルアーツセンター非常勤講師、早稲田大学文学学術院教授等歴任。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2013」選出。第17回メディア芸術祭エンターテイメント部門 新人賞受賞・第19回同部門審査委員会推薦作品 選出。あいちトリエンナーレ2019芸術監督(2017~2020)。