主権者教育座談会『18歳(若年層)が学ぶべき 主権者として身に付けるべき力とは』

若い世代の社会参画・政治参加の意識とは

今日も一つのきっかけとして、これから自分が関わっていく社会の中で、身の回りの意識とか、これから自分がどうしていくか、この2点についてお聞きしたいと思います。

ちょうど先週、外国語コースのプログラムの一環で英語合宿に行ってきて、英語でやるディベートのお題が「日本でこれから先、投票を義務化するべきだ」というものでした。2日間いろんな人の意見を調べていくと、オーストラリアとかは義務化されているのに若い人たちは全然不満に思っていないという記事とかあって、逆に日本はなぜこんなに投票率が低いのかという会話になりました。話していくうちに義務化してもいいのではという結果になりました。日々SNSとかで香港のデモやアメリカの学生運動とかを見るのですが、日本で私の周りはそういうことはないなと思って、全体的に日本の若い人たちは自分が日本の国民だという意識が低いのかなと話したりしました。

周りの友達に聞いてみても分からないという感じだったので、いっそのことクラスの40人みんなに聞いてみようと思って、今日ここに来る前のホームルームの時間に質問してきました。40人いるうち、選挙にとりあえず行こうと思っている人が39人いました。今18歳で、選挙期間中という仮定で喋ったのですが、どこの政党に入れるか決めている人は1人でした。もちろん、決まっていると発言するのは恥ずかしいかもしれないんですけど「こういう政策をしているところだったら入れようという基準が決まっている人」を聞いてみたら6人でした。40人のうち39人は何となく選挙に行かなければと思っていても、じゃあ選挙に行ってどこに投票するかというのを考えられるのはクラスで7人くらいしかいないし、これは来年になってもそんなに変わらないと思うので、生活にある不満やニュースを見て思ったことを選挙に繋ぐまでのところ、政治について考えることはみんな出来るんですけど、それを選挙に持っていくところが、まだ繋がっていないのではないかと感じました。

国全体の選挙であれば時期が同じなので「選挙行く?」みたいな話を本当に時々したりとかはありますが、地方選挙は話すタイミングはあるんだけど話さないという状態が多いのかなと思います。友達と日常会話として選挙について話すことが、あまり良くないことだと思うことが多いのかなと思いました。

この間、中学校や高校を視察する機会があって、主権者教育に関することで、「家に帰って保護者の方と選挙の話や政治の話をしますか?」って聞いたら、ほとんどの生徒さんが「しない」ということでした。ただ「テレビの中のニュースとかでそういった話が出たら一緒に話をするということはありますけど」って言ってました。家庭に帰って、高校生になると生活の話はするかもしれませんが、政治の話をするわけないでしょうという生徒さんもいて、家庭で教えることはなかなか難しいのかなと思いました。学校の宿題で、主権者教育とか政治の話を家の家族の方と一緒に考えるという課題的なものをされている学校もあると聞いています。学校から仕掛けることも必要なのかなと感じます。

主権者(有権者)意識を高めるための今後の展望について

教育機関とか国・地域・地方自治体レベルでもいいので、具体的にされていることや、これからの展望の話を最後にお聞かせください。

今までお話を伺っていて、思うところが多々ありました。まず、教育の中で一番の壁になってくるのは、私たちの業界の中の中立性、いい悪いは教えないというところになると思います。また皆さん情報ツールをいっぱい持っているのですが、チョイスの仕方が発信されてないので、そういうところをしっかりと大人たちが構築していってあげないと、行動には結びつかないし、学校だけではなく家庭も含めて社会全体で支えていかなければいけないのかなと思いました。

来年度から、小・中・高と順次、新学習指導要領による教育が行われます。特に高校については新たに「公共」という科目が設置され、主権者教育に力を入れていこうとしています。家庭では小さい時から意識を芽生えさせ、育んでもらうように仕掛けるということが必要だろうし、地域や様々な機関と連携して、小学校・中学校・高校でも模擬投票・模擬選挙という取り組みが必要であろうし、段階に応じて取り組んでいくということが必要かと思います。大学でも学内に投票所を置いたりする取り組みをされている大学もあります。そういった意識づけというのも必要になってくるのかなと思います。


峰田 優一
(全国大学生協連 広報調査部部長)

今日の座談会で話を伺って、将来に向けて大変明るさを感じたのは、中川さんがクラスのみんなから聞いてきて、40人のうち39人は投票に行く気があると手を挙げたということです。それが実際行動に繋がっているのかという点に注目して、我々が働きかけをすることが重要だと感じました。私は大学生協の職員なので、大学の中で投票に行く気持ちがある学生に対して、行動に繋げるためにもう一歩後押しをする情報提供を広げていくということが大事だと感じました。

いま政党によっては、自分の党がどういう施策をやっているのかという子供向けのマニフェストを作成しているところもありますので、今後そういったものを若い世代の方に分かりやすくすることが、進んでいくための一つの方法なのかなとは思います。

いろんな人と情報交換をし、いろんな立場の人が関われれば、もっと広がりを持っていくし、今日のこの機会もその一つだったのかなと思いました。この機会が次につながればいいなと思います。ありがとうございました。

2019年11月29日(金) 飯田橋 キャナル・カフェにて