イッキ飲みは死を招く

知ってるようで知らない、
正しいお酒との付き合い方

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急性アルコール中毒をなくそう

イッキ飲みは死につながる

新学期は、サークルなどのコンパが多くなります。未成年の飲酒は法律で禁止されています。成年であってもついつい飲み過ぎたり、先輩からのすすめを断りきれずに飲んでしまうなど、この時期、飲酒による事故が多くなります。

特に、イッキ飲みなど短時間の大量摂取は、アルコール濃度の高い血液が脳に流れ大脳全体が麻痺し、呼吸中枢が麻痺し死に至る危険もあります(急性アルコール中毒)。

お酒は飲み始めてから酔いがまわるまでは比較的時間がかかりますが、短時間で昏睡から死に至ることもあります。イッキに飲むと脳の麻痺もイッキに進みます。体の様子を見ながら飲む量をコントロールすることが必要です。また、アルコールは多かれ少なかれ体にダメージを与えますので、お酒に強いと思う人もほどほどにしましょう。

もし、友達が飲んで倒れたら…

意識がもうろうとしている人に無理に吐かせると、吐いたものが逆流して喉につまり、窒息する可能性があるなど、大変危険です。

大声で呼んでも反応しない時は、ただちに救急車を呼びましょう。119番の際は、住所や目印を伝えることを忘れずに。救急車が到着するまで横向きに寝かせ、必ず誰かが付き添うようにしましょう。

アルコールがからだに与える影響

国立療養所久里浜病院の樋口進先生に、イッキ飲みの恐さについてお話をしていただきました。

イッキ飲みの誤った認識

「イッキ飲みで子どもを亡くした親御さんが、イッキ飲みをさせた学生を相手取って訴訟を起こしていた事件がありました。その事件は『東京の女子学生から見た重大ニュースTOP10』の一位となったのですが、そのときコメンテーターの男性が言ったことが、『イッキ飲みって楽しいのにね』の一言でした。一般の人の認識を変えていかなければ、イッキ飲みはなくなりませんね」

身体発達の阻害

「イッキ飲みは、最悪の場合、死に至ることもあります。生命に影響がなかった場合でも、からだのいろいろな臓器の発達に悪い影響を与えるからです」「科学用語で『プログラム・デス』といい、『からだのどこどこの細胞は何才までに死ぬ』というメカニズムがあるのですが、イッキ飲みは、短時間のうちに過度の飲酒をするため脳細胞が麻痺・破壊され減っていきます。ただでさえ脳の神経細胞は減っていくようにプログラムされているのですから、それ以上に減少するようなことは避けなければいけません」

生命の危険 身体機能が停止してしまう

「脳の各部分はいろいろな機能をもっています。『延髄』は、肺や心臓を動かす役割をもっていて、生命を維持する上で最も重要なものです。それが、昏睡状態になると麻痺してしまい、その結果呼吸停止、心 臓停止などにおちいることになります。急性アルコール中毒で亡くなった人の半数がこの例です。一般的に、血中アルコール濃度が0.42%を越すと、死亡する可能性が高くなると言われています」

「ある人の体重を60キロとすると、身体の7割は水分だから、42キロが体内中の水分となります。計算の簡便化のために、0.42%を0.4%とすると、42,000cc×0.004=168ccだから、体内中に純粋アルコールで168ccを短時間のうちに取り入れると、死亡する可能性が高いと言えます。これは、ビール(アルコール分5%)で換算すると3.4リットル(大ジョッキで約3杯ぶん)、日本酒換算で1.1リットル(約6合ぶん)、ウイスキー換算で0.4リットル(ボトル約半分)にあたります」

「普通の人がビールをコップ1杯ぶん分解するのに1時間、日本酒1合だと3時間もかかります。『果糖などの糖分がアルコール分解速度を速くする』という説がありますが、それは、アルコールをアセトアルデヒドに分解する部分の速度を速くするだけに過ぎません」「アルコールをアセトアルデヒドに分解しても、そこから酢酸への分解がすすまないと、アセトアルデヒドが飽和状態になり、結局アルコールに戻ってしまうのです。アルコールの分解をはやくしようとしたら、すべての段階の分解スピードを上げるしかないのです。このように、思ったよりも少ないアルコール量で人間は死んでしまうものなのです。そして、イッキ飲みは既にある程度飲んでからすることが多いので、致死量を簡単に越してしまうこともありえるから恐いのです」

吐物が気道につまって死に至る

「少量のアルコールでも死亡する場合があります。泥酔しているときは、上を向いて寝たままでも吐いてしまうことがあります。口に吐物が入ったまま呼吸をしてしまうと、吐物が気道につまってしまいます。普通なら咳反射で吐きだそうとするのですが、泥酔しているため咳反射ができなくなり、吐物が気道につまったままの状態となってしまい、窒息死につながるのです」

「この場合は、少量のお酒でも起こり得るから注意が必要です。急性アルコール中毒で死亡した人の約半数がこの例です。酔って寝ている人は、ベルトをゆるめ、横向きに寝かせ、酔ってない人がそばについていることが大切です」

生命を大切に

「学生が思っている自分にとってのお酒の『適量』は、学生の自分勝手な思いこみの場合が多いようです。『害が出ないうちは飲んでも平気だ』とか、『救急車を呼ばないうちは平気だ』とか。適量をすぎてからでは手遅れになる場合もあるのです。もし泥酔している人を見つけたら、すぐに救急車を呼んで病院へ運びましょう。ことを大げさにしたくはないでしょうけれども、生命にはかえられません」

  • もっと詳しく知りたい方は、こちらのホームページをご覧ください。

「アルコール薬物問題全国市民協会(ASK)」