キリン株式会社 CSV推進部 主査 藤田仁美さん
キリン株式会社 CSV推進部 山本恵莉さん
キリン株式会社 CSV本部ブランド戦略部 近藤 圭さん
全国大学生協連 執行役員 石塚勇稀さん
全国大学生協連 執行役員 本多 駿さん
記録・動画制作 全国大学生協連 執行役員 斉藤雅実さん
藤田さん(以下、藤田):
まず、お酒の事故というところなのですが、どういうものを具体的に想定されていますか。
石塚:
例えばアルコール中毒によって直接亡くなったりすることもありますし、お酒を飲んでその後の対応の悪さによってお亡くなりになられたり・・・とかですね。
藤田:
イッキ飲みというのがやはり、大学生のみなさんの中では一番の問題であるという認識でいらっしゃいます?
石塚:
そうですね。
藤田:
イッキ飲みって、多いと思います?自分たちの環境を見て。
石塚:
自分が大学に入った時に比べると減ったなという印象は抱いています。メディアですごく取り上げられる時期があったというのもあって、ここ2年ぐらいは減ってきているのかなとは感覚で思っています。
山本さん(以下、山本):
それは学生たち自身の意識が変わってきたのか、それとも学校の方でサークルのリーダー達に対してちゃんと教育をしているとか、入学式のタイミングに教育するなどの活動が効いているんですかね。
石塚:
そうですね。勿論大学も頑張ったりだとか、大学生協としても飲酒事故防止の取り組みを入学式の時に行っています。また大学側がアプローチしている場合もあります、例えば学内全面禁酒をしている大学もあると聞いたことはあります。
藤田:
一人一人が認識しているというかんじではないですか?
石塚:
そうですね。ないと思いますね。
藤田:
そこがまず、1つのスターティングポイントだと思いますね。
一人一人が不適切な飲酒をすることで自分の体にどういう影響があるのかということを、まずは認識すること、その知識を得ること。それがまず基礎だと思うんですよね。恐らく小学校高学年くらいから中高にかけて必ず、保険体育だとか養護の先生から、そういったご指導があると思うのですが、それが多分抜けちゃっているんでしょうね。
教えてもらったのかもしれないけども、ほとんど覚えていないまま大学に入り、飲める年齢にはなったけれども、正しいお酒の付き合い方が分からず、誘われるがままに飲んでしまっているということが一番の原因じゃないかなと思います。まずは正しい飲み方をきちんと一人一人が認識して、周囲の人に伝えること、そのための対策をとらなきゃいけないなというふうに思っています。必ず大学にいる間に飲酒出来る年齢になるわけですから、きちんとした教育をまずは徹底してやるというところから始めて、みなさん一人一人が意識を持つことが一番大切かなあと思います。
石塚:
僕も正しい知識を身につけることがまずは大事だなと、思っています。
そんな中、大学生になって高校受験が終わって解放された気分になって楽しい雰囲気ってやっぱりあるじゃないですか。そんな中なかなか目を向けてくれないなという人もいるのが現状だなとは思っていますが、どういうふうに伝えていけばいいのかなと思っています。
藤田:
目を向けてくれないというのは、知っていても雰囲気に飲まれて飲んじゃうという人達?
山本:
どういう場面が多いですか?
サークル活動の中で行われているのか、授業で一緒の子達の中で飲み会が行われているのか。
石塚:
印象はサークルが多いな、というふうに思っているんですけども。どうですか。
本多:
最近、お酒との付き合い方を間違えて潰れてしまった人の例を見ると、友達の話なんですけどね。イッキ飲みという文化ですとか、強いお酒を煽るような文化は減ってはいるんですけれども、一部の団体、例えば運動部ですとか、盛り上げていこうね!みたいな雰囲気の団体ではやはり根強い文化として、残っているのかなというのを感じます。そういったところと、それまであまり飲んでこなかったサークルですとかグループですとかが会った時に、いつもこうだからと言われるとそこで飲んでしまって高揚して、もう1回行こうぜとなってそのまま潰れていくのをこの間2、3人見ましたね。
僕はバカだなあ、と思いながら見ているんですけども。やめとけやめとけって言っても、やはり酔ってしまっているので、大丈夫っすよ〜!って言って飲んじゃうんですよね。やはりイッキ飲みダメって言っているだけじゃなくて、ある程度自分も飲んでみないとどれだけ大丈夫かなというのが分からないと思うので、今若者のお酒離れが深刻だというのもあるじゃないですか、ああいうのも助長されて、結果飲酒事故ってなかなか減らないんだろうなというふうに感じています。
藤田:
今おっしゃったように、一人一人が自分の適量を知るということがとても大事なんですよ。
飲めないのに無理して誘われるがままに飲んでいるのが怖いなと思うんです。みなさん一人一人が自分の体質を知るということから始める。お聞きになっているかもしれないですけど日本人ってお酒に弱いんですよね。モンゴリアンは40%は弱い体質、4%は全く飲めない完全な下戸だというふうに言われています。それだけ多くの人がお酒に弱いのが日本人の実情なので、当然、入学されてきた大学生のみなさんもそのうちに入ると思います。一人一人の体質をきちんと認識して、弱い人には絶対に飲ませないという配慮も必要ですよね。
石塚:
サークルにもよると思いますね。
自分がいたところだとあまり飲めないっていうと、「ああじゃあそんなに飲まなくていいよ」という風に、飲まなくても良くなるんですけども、聞くところによると、体育会系のところとか、ノリが熱いところはたくさん飲んでるなという話は聞くし、印象としては強く持っていますね。
本多:
やはりこの間のイッキ飲みは危険だという話はかなり浸透はしているなというふうには思っていて、僕が学生時代に所属していた団体もあまりお酒はやらないで、飲み会の時も基本的にソフトドリンクばかり飲んでいるような団体。
それはそれでよくないんですけども・・・笑。
僕の弟も18歳で大学に入りまして、人生の先輩の僕からすると、怖い先輩とかいるかもしれないから、ちょっとお酒飲んでおいたほうがいいんじゃないのという話をするんですよね、自分の限界量を知っておくべきだろうなというのを強く感じておりまして。
とはいえ吐くギリギリのところまで飲んでみろよ、という話を出来るわけでもなく、弟からしたら俺は20歳になるまで飲まないぞ!という強い意思を示してきて、えらいなと思う反面じゃあ20歳になった時に彼は本当にお酒と付き合えるのだろうか。20歳になって飲もうとなった途端、その日に運ばれてしまうのではないのかなと考えてはいるんですよね。そういったところでイッキ飲みはだめだぞという話を受け止めている人もいれば、言う事を聞かない人もいるのでやはり周りから煽られる側もかなり自己防衛を学ばなくてはならないんだろうなと感じています。
藤田:
20歳前に飲むこと自体がとても危険を伴いますよ。まだまだ成長段階なので、
若いうちから飲んでしまうと脳や、生殖器に影響がありますし、依存症にも早くなりやすいし、いいことはないんですよね。だから勉強のためにちょっと早めにということは、我々は絶対におすすめしません。お酒を受け入れられる成長した体になってから、初めてお酒、というのが一番望ましい飲み方ですね。
お酒って別に競ってたくさん飲めたらえらいんだ、強いんだっていうものではなくて、適正に飲んで楽しく過ごすというのが1番望ましい姿だと思います。みなさん何を目的でお酒を飲みますか?
石塚:
僕はけっこう1人でお酒を飲みに行ったりするんですけども、どっちかというとお酒をきっかけに人と話したいっていうぐらいですかね、だから、あんまり1人でお酒をガブガブ飲んで気持ちよくなりたいがために、飲むというよりかは、人と話すために飲んでいます。
藤田:
おっしゃるように普段初対面の人であっても、お酒が入るとなんとなくリラックスした雰囲気になって気軽に話せるようになり、コミュニケーションのツールとしてとても有効ですし、ストレスの解消も出来る良い効果もあります。ただ、飲み過ぎてしまうといろいろな問題を引き起こしてしまうので、自分で自分の適量を知って楽しいと思えるぐらいのところでやめないとだめです。それ以上飲むと自分の記憶がない中で他の人に迷惑をかけるかもしれないですし、無理のない程度にコントロールしないといけないですよね。自分の体を壊してしまったら元も子もないですからね。
山本:
適量がどのくらいか、みなさんご存知ですか。
石塚:
一度見たことはあるんですけども、意外と多いですよね。ワインで言うと、グラス2杯とか。その話を聞いた時はすごい多いなという印象でしたね、そんなに飲めんの?!と思いながら。
本多:
ビールなら缶2本飲んだら、飲み過ぎじゃない?
ワインでグラス1杯ぐらい、2杯は飲めるんですけども1杯で止めといた方が体調的には幸せなかんじ。
山本:
ちなみにイッキ飲みをしちゃうような体育会系の方たちはどのくらい飲んでいるんですか?
石塚:
どうなんですかね。聞いたことあるのは、ピッチャーそのまま半分ぐらいいくとか聞いたことありますね。
元々、出身大学が高知大学で、お酒の文化もすごくて、お酒に関する独自の文化もあって、そういうことにけっこう触れてきましたけれど、驚いたこととしてはピッチャーでそのまま飲む人も見たことあります。
山本:
適量の認識はとても近くて、ビールですと500mlのロング缶1本が適量なんです。たぶん強い人ってそれだと全然物足りなくて、500ml缶で3本も4本も飲めちゃう人がいるんですが、それが間違っているという知識がないというのが不適切な飲酒に繋がっていると思うんです。
適量はビールロング缶1本、強い人でもビール1本が適量というのが浸透していくといいのかなと思います。
弱い方はワインだとグラス1杯が充分というのが、自分の中で分かってコントロール出来るようになっていくのがベストですね。
藤田:
大量に飲むというのもいけないですし、短い時間にそれだけの量を飲んでしまうということも良くないです。
どのくらい飲んだらいいものなのか、どういう飲み方をしたらいいのかということをみなさん1人1人が知識として持ち、自分に合ったペースで飲むということが大切ですね。
自分の体は自分で守っていただきたいなと思います。