読書で世界一周⑤

春の読書にぴったりかも?

 今回は、韓国の恋愛小説と南米の旅行記を紹介します。

 

『私の最高の彼氏とその彼女』

ミン・ジヒョン〈加藤慧=訳〉
『私の最高の彼氏とその彼女』
イースト・プレス 定価1,760円(税込) 購入はこちら >

  元々は、韓国ドラマファンであったことをきっかけに、ちょこちょこ読み始めた韓国文学ですが、その中でも特にお勧めなのが、ミン・ジヒョンさんの作品です。
 前作の『僕の狂ったフェミ彼女』でその非凡ぶりが発揮されていただけに、オープンリレーションシップをテーマにした2023年秋に刊行された本作も、私は心から楽しみにしていました。
 そして、今回もその期待は、全く裏切られることはなく、出会えたことが本当に嬉しい作品でした。主人公は、恋愛関係に、結婚が絡んでくることに悩むアラサー女性ですが、彼女が始めてみたのが、ある意味二股といった方がわかりやすいオープンリレーションシップです。自身のパートナーの恋人の存在を三人ともが肯定しており、トラブルは全くありません。
 多少モヤモヤは残る主人公ではありますが、自身が納得しているからこそ、嫉妬や独占欲などの感情に押し流されることはない上、パートナーとの関係を進めるにあたっても、自分が何を、どこまで望んでいるか、常に話しあい、自分とも相手とも向き合っており、理性的な恋愛(!?)なのです。もちろん、大学生に本書のような関係を勧めているわけではありません(笑)。
 

 

『マヤ・アステカ遺跡へっぴり紀行』

芝崎みゆき
『マヤ・アステカ遺跡へっぴり紀行』
草思社 定価1,540円(税込) 購入はこちら >

 2023年は、東京で古代メキシコ展が開催されていました。その余韻をもうちょっと楽しみたいなと思っていた私ですが、そんな中、たどりついたのが、芝崎みゆきさんの南米シリーズです。
 芝崎さんのイラストが、まさに、私が求めているマヤ・アステカ感なのはもちろんですが、これらのシリーズにおいて、何よりあふれているのが、芝崎さんの南米の古代遺跡に対する情熱です。
 芝崎さんの著書によると、思ったより広範囲に古代遺跡は残っているようで、あまり知られておらず、観光地として整備されていない所もとにかく訪ね尽くす芝崎さん。その知識と熱い解説に導かれた私は、本来なら芝崎さんの著書タイトルだけを紹介して終わりたくはないのですが、『古代マヤ・アステカ不思議大全』『古代インカ・アンデス不思議大全』『アンデス・マチュピチュへっぽこ紀行』『イースター島不可思議大全』を続々読破してしまいました。
 
執筆者PROFILE
重松 理恵(しげまつ・りえ)
 大学生協職員。広島大学、東京大学、名古屋大学生協など各大学生協での書籍担当者を経て、現在、大学生協事業連合書籍商品課に在籍。著書に『東大生の本の使い方』(三笠書房)、最新刊は『読んで、旅する 海外文学』(大月書店)。


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