★町田そのこ
『星を掬う』中公文庫/定価836円(税込)
題材は重く、考えさせられる内容だが、それを優しい書き方が心に染み込ませ、しかもタイトルがきれいすぎる。
(京都大学 えび天天)
★ガブリエル・ゼヴィン〈池田真紀子=訳〉
『トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー』早川書房/定価2,420円(税込)
アメリカでゲーム作りに没頭する若者たちのお話。面白すぎて飲み会後に寄った漫画喫茶で徹夜して読み切りました。
(千葉大学 ゆでひじき)
★W.サマセット・モーム〈金原瑞人=訳〉
『月と六ペンス』新潮文庫/定価781円(税込)
この本には、画家のゴーギャンをモデルとした、職や家庭を捨てて絵を描くことに身を燃やした天才画家の壮絶な生涯が刻まれています。終始劇的な展開が続き、あれよこれよという間に読み終えましたが、読了に要した時間と反比例して、しばらく放心してしまうほど凄まじい読後感でした。また、作中では今後の人生で大事に胸に抱えていきたい言葉に多々出会いました。その中でも我が身と照らし合わせて特に身に沁みたものが、「労苦は人を高潔にするというが、それは嘘だ。幸福は時によって人を立派にすることもあるが、おおかたの場合、労苦は卑劣で意地悪な人間を作り出すだけだ。」という言葉です。苦しい思いをした人はその分他人に優しくできるという言葉をよく聞きますが、決してそうとは限らないと思います。人は苦しみによって人格を歪め、生き抜くためにしたたかになる。人に善くできるのは、余裕がある幸せな人のみだ。これは私の持論です。この物語は自分とはかけ離れている一方、自分の中に落とし込める部分もあり、飽くことなく堪能できます。
(東京農工大学 ミムラ)
★竹下文子=文、町田尚子=イラスト
『なまえのないねこ』小峰書店/定価1,650円(税込)
自分の飼っている猫が野良で、表紙のその子にそっくりな顔をしてうちにやってきたことを思い出したので、私的ベスト1はこの本です。絵本は子どもが読んでも大人が読んでもやっぱりいいもんだと思える、あたたかくて優しい本なのでぜひいろんな人に共有したいです。
(埼玉大学 吉田早愛)
★早瀬耕
『未必のマクベス』ハヤカワ文庫JA/定価1,100円(税込)
読後、妙に静かな気持ちになる作品で、頭から離れませんでした。基本的には冷静で達観したような主人公なのですが、大切な人に対してはとっても一途なところが魅力的でした。ジャンル分けできない唯一無二の作品です。
(甲南大学 ゆうを。)
★上間陽子
『海をあげる』筑摩書房/定価1,760円(税込)
沖縄の歴史や、現在まで続く問題について知ると同時に、上間さん自身の経験について書かれており、すごく印象的でした。生きることについて考えさせられました。
(九州大学 れもん)
★金子玲介
『死んだ山田と教室』講談社/定価1,980円(税込)
荒唐無稽な設定と男子校のリアルな会話に笑っていたら、最後まさかの泣かされるという喜怒哀楽をもてあそばれた作品。
(北海道大学大学院 きくけこ)
★原田マハ
『美しき愚かものたちのタブロー』文春文庫/定価891円(税込)
絵画の美しさと、その力を感じる一冊です。特に、「睡蓮」を描くモネとのシーンは、まるで自分がその場にいるかのような感覚になりました。
(名古屋大学 めいまー)
★エーリヒ・ケストナー〈小松太郎=訳〉
『人生処方詩集』岩波文庫/定価935円(税込)
こんなにコンセプトがはっきりしていて、かつ自由で楽しい本があるのかと感心したから。あわよくば自分がこんな本を作りたかったし、先を越されたような気持ちになった。
(大阪大学 みーら)
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