25.春の香り



 春の香りとは、どのような香りでしょうか。桜の香り? 梅の香り? それともあたたかな空気の香りでしょうか。
 今回は春の香りを感じながら読みたい本をご紹介させていただきます。
 
 

14ひきのぴくにっく

いわむらかずお
『14ひきのぴくにっく』
童心社 定価1,430円(税込) 購入はこちら >

14ひきのぴくにっく』(いわむらかずお/童心社)は、14匹家族のねずみたちが、天気の良い日に、みんなでピクニックに出かける春のお話です。
 描かれているのは、春の美しい自然。緻密に描かれた自然の風景は、まるで本物みたいです。ページの隅に虫を見つけたり、名前を知っているお花を見つけたり。読むたびに、新しい発見があります。ねずみたちもそれぞれ個性があって、可愛らしいです。長女のさっちゃんは、しっかり者。ごうくんとなっちゃんは、ときどきケンカをするけれど、本当はとても仲良し。末っ子のとっくんはまだ幼いけれど、一生懸命……。わたしが『14ひきのぴくにっく』をはじめて読んだのは、おそらく物心つく前で、それ以来定期的に読み返しています。何度読んでも、わくわくする、たのしい一冊。春のあたたかな日に読めば、14匹のねずみたちと一緒に、ピクニックをしているような気分になります。また、外でおにぎりが食べたくなること間違いなし。おにぎりを握って、水筒にお茶を入れて、近くの公園で本当にピクニックをしてみるのも、一興かもしれません。もしかしたら、ピクニックをする14匹の家族に出会うことができるかも……?
 

 

魔法使いのハーブティー

有間カオル
『魔法使いのハーブティー』
メディアワークス文庫 定価759円(税込) 購入はこちら >

 春の日には、やさしく心あたたまる物語がぴったり。『魔法使いのハーブティー』 (有間カオル/メディアワークス文庫)は、湯気の立つハーブティーのように、心をほっこりあたためてくれる物語です。
 両親を亡くしてから親戚の家をたらい回しにされている少女は、ある日「魔法使い」である伯父の家にたどり着きます。そこでは魔女見習いとしてハーブやアロマのことを学んだり、ハーブティーのカフェでお客さんに接したり。魔法使いの伯父との日々を通して、少女は少しずつ、成長していきます。
『魔法使いのハーブティー』を読むと、ハーブティーが飲みたくなってきます。ただハーブティーといってもかなり色々な種類があるので、ハーブティー初心者さんは「どれを選べば良いの?」と迷ってしまいますよね。そこで、ハーブティーをあまり飲んだことがない方でも飲みやすい、おすすめのハーブティーをご紹介します。それは、ルイボスティーです。ルイボスティーは紅茶や烏龍茶のようなまろやかさとほんのりとした酸味のある風味で、癖が比較的少なく飲みやすいです。またルイボスティーにはポリフェノールやミネラルなどの栄養素が含まれているところも嬉しいポイント。ルイボスティーはホットでもアイスでもおいしく飲むことができるので、一年中楽しめますよ。洋菓子との相性も良いです。ぜひ、読書をするときに、ルイボスティーを飲んでみてください。
 

 

氷菓

米澤穂信
『氷菓』
角川文庫 定価572円(税込)購入はこちら >

 春ははじまりの季節。物語の「はじまり」を読んでみませんか。
氷菓』(米澤穂信/角川文庫)は言わずと知れた「古典部シリーズ」の第1巻です。アニメ化もされている作品なので、知っている方も多いのではないでしょうか。「わたし、気になります」のセリフは有名ですよね。
『氷菓』は主人公が高校に入学するところから、物語がスタートします。日常の謎を解き明かしていくミステリ作品で、読みやすいところも魅力。また登場人物がとても魅力的なので、キャラクター小説としても楽しく読むことができます。
 春の日に、青春ストーリーを楽しんでみてはいかがでしょう。中には、高校時代が懐かしくなってしまう方もいるかもしれませんね。「懐かしい」と感じたら、それは既に「過去」のものになっている証拠。高校生たちの物語を楽しみながら、大学生活を謳歌していただければ幸いです。
 

 

家が好きな人

井田千秋
『家が好きな人』
Ruelle COMICS 定価1,870円(税込)購入はこちら >

 春といえば、新生活。読者の方の中には、この春からひとり暮らしをスタートさせた方も、いるのではないでしょうか。
家が好きな人』 (井田千秋/Ruelle COMICS)は、「家」にまつわるコミック&イラスト集。自分の家がだいすきで、家にこだわりをもっているひとたちの物語が、描かれています。どの家も個性があってとても素敵! 家というのは住人の色が出るもので、似たようなコンセプトであっても、同じような家具を置いていても、なぜか違った雰囲気になるものですよね。そこがインテリアのおもしろさだと思います。
『家が好きな人』を読むと、無性に模様替えがしたくなってきます。「もっと自分の家を、自分らしく、居心地の良い空間にしたい!」という気持ちになるからでしょうか。家は眠っている時間を含めると、かなり長い時間をすごす場所なので、自分にとって居心地が良い、素敵な場所にしたいですよね。この本を参考にして、自分らしい空間作りをしてみてはいかがでしょうか。自分の家をほっと落ち着くことができる、お気に入りの空間にすることができたら、きっと読書ももっとはかどるはずです。
 
執筆者紹介
門脇みなみ(かどわき・みなみ)
いずみ卒業生。春はすきな季節なのですが、花粉症がつらいです。

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