第5回 ペン助のうただより 2018年夏号


  こんにちは、ペン助です。突然ですが、短歌って意外といろいろなところで読めることを知っていますか? 新聞歌壇、『ダ・ヴィンチ』など雑誌の読者投稿コーナー、ツイッターの短歌bot…… でもやっぱり、短歌と言えば歌集。身近でなくても、特別な魅力を放つ存在です。本棚に歌集、あったら格好良くありませんか? 今回は皆さんを歌集デビューにそそのかすべく、その魅力を覗いてみます。
 

歌集購入のスゝメ

装丁・表紙

 何といってもまずはこれ。写真は我が家で一番の美人歌集『迷子のカピバラ』(秋月祐一/風媒社)。箱入りで、箱の下にはグレーの厚紙でできた表紙があり、タイトルと著者名は朝日に輝く外国の海みたいな碧色の箔押し。綴じ糸も鮮やかで……。
 歌集はほとんどが単行本ですが、版型は小説よりも自由。表紙も可愛いイラストからシックなデザインまで様々です。
 

余白

 意外な項目でしょうか? でも余白こそ、新聞や雑誌や教科書では見られない、歌集ならではの魅力なんです。
 余白は「立ち止まってください」のサイン。文字になっていない部分を想像して、余韻を感じて、ページをじっくり味わえるのも歌集の醍醐味の一つです。
 

歌集が欲しくなったら

 大きい本屋さんに行きましょう(※小さな本屋さんではほぼ出会えないです)。小説の単行本よりやや高価ですが、書肆侃侃房さんから出ているシリーズは二千円前後と学生にもやさしい価格です。
 歌集を読むことと同じくらい、「歌集を持っていること」をペン助は特別に思います。買って、部屋に並べて、何度も読んで、「自分の一冊」にすることの快感といったら! ペン助にはもう買えない「初めての歌集」、探してみませんか?
 



今・月・の・う・た
 
犬はいつもはつらつとしてよろこびにからだふるはす凄き生きもの
奥村晃作『鴇色の足』(本阿弥書店)
ゆで卵匙にうつ時にわとりの水子の霊がぴよとささやく
杉崎恒夫『パン屋のパンセ』(六花書林)
ゴキブリがきみへと走るぼくからのラブを具現化させた感じに
谷川電話『恋人不死身説』(書肆侃侃房)

「たすけて」は認識されずGoogleは「マツタケ」のWikipediaを映す
木下龍也『きみを嫌いな奴はクズだよ』(書肆侃侃房)

日焼けした記憶を持たない二の腕に鳥型の痣飛べば夏入り
ペン助
 

ー 掲・示・板 ー

ペン助のうただよりでは、皆さんからのお手紙をお待ちしています。作った短歌、短歌にまつわる質問、
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