Reading for Pleasure No.35

ピーター・ラビットと愉快な仲間たち

水野邦太郎
 
水野 邦太郎Profile

今回ご紹介の本

Beatrix Potter
THE TALE OFPETER RABBIT
Frederick Warne
本体1,240円+税
※手配先によって価格が異なります。
「ピーター・ラビット」のピーターと三つ子の妹たち、お母さんウサギの絵は、きっと誰もが見たことがあると思います。その物語は次のように始まります。Once upon a time there were four little Rabbits, and their names were-Flopsy, Mopsy, Cotton-tail, and Peter. 可愛らしい絵から、ほのぼのとした感じで物語が始まると想像したくなりますが、4匹の子どもたちに、お母さんは次のように言います。

“You may go into the fields or down the lane, but don't go into Mr. McGregor's garden. Your father had an accident there; he was put in a pie by Mrs. McGregor."

 なんと、お父さんは、マグレガーさんの畑で捕まって、奥さんにパイにされてしまった、というのです。だからお母さんは「マグレガーさんの畑にだけは絶対に行ってはダメよ」と注意し、“Now run along, and don't get into mischief. I am going out." と言い残して買い物かごを持ってパン屋に出かけます。こうして、物語は次のように進みます。

Flopsy, Mopsy, Cotton-tail, who were good little bunnies, went down the lane togather blackberries. But Peter, who was very naughty, ran straight away to Mr. McGregor's garden, and squeezed under the gate! First he ate some lettuces and some French beans; and then he ate some radishes. And then, feeling rather sick, he went to look for some parsley. But round the end of a cucumber frame, whom should he meet but Mr. McGregor!

 三つ子の妹たちはお母さんの言いつけを守りますが、ピーターは「行ってはダメ」といわれるとよけい行きたくなったのか、マグレガーさんの畑に、いちもくさんに走っていきます。そして、レタスやインゲン豆をいくつか食べ、さらにハツカダイコンも食べます。そうこうしていると、なんだか気分が悪くなってきます。そこでパセリを探しに行きます。ところが、キュウリの苗床の角を曲がるやいなや、マグレガーさんとバッタリと出くわしてしまうのです。ここから、マグレガーさんとピーターとの戦いの火蓋が切られます。戦いの場面の中で、特に次のシーンはハラハラドキドキです。

Peter was most dreadfully frightened; he rushed all over the garden, for he had forgotten the way back to the gate. He lost one of his shoes among the cabbages, and the other shoe amongst the potatoes. After losing them, he ran on four legs and went faster, so that I think he might have got away altogether if he had not unfortunately run into a gooseberry net and got caught by the larger buttons on his jacket. It was a blue jacket with brass buttons, quite new.

 ピーターは怖くて畑じゅうを逃げ回り、その間に、片方の靴をキャベツ畑で落とし、もう一方の靴をジャガイモ畑でなくしてしまいます。そして、畑の入り口へ戻る道を忘れてしまいます。しかし、“災いを転じて福となす"で、靴をなくしたおかげで4本足で速く走れるので逃げ切れるかもしれないと思いきや、運の悪いことに、「西洋スグリの木にかけられていた網(gooseberry net)」に、着ていた青色の上着の大きなボタンをひっかけてしまいます。ピーターの運命はいかに! ……それは、読んでみてのお楽しみです。

「ピーター・ラビット」は、今年5月に映画化され、私は映画館で観てきました。英国の美しい湖水地方を舞台に、実写とCGで作られたピーターたちウサギや様々な動物の表情と動きが、リアリティをもって描かれていて見事な出来栄えでした。映画では、マグレガーさんが戦いのさなか、心臓発作で急逝してしまいます。そして、マグレガーさんの遠縁に当たる若きマグレガーさんが住むことになります。ピーターたちのお母さんは亡くなっていて、青い上着は、お父さんの形見としてピーターが大事に身につけています。そうして、ピーターと三つ子の姉妹たちと、若きマグレガーさんとの仁義なき戦いが始まります。ぜひ、原文と映画の両方を味わいながら、原作者のビアトリクス・ポターさんが作品に託した「自然と動物への愛情」を感じ取ってください。

 
P r o f i l e

水野 邦太郎(みずの・くにたろう)

千葉県出身。江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授。博士(九州大学 学位論文. (2017).「Graded Readers の読書を通して「主体的・対話的で深い学び」を実現するための理論的考察 ― H. G. Widdowson の Capacity 論を軸として ―」)。茨城大学 大学教育センター 総合英語教育部准教授・福岡県立大学人間社会学部准教授を経て、2018年4月より現職。

専門は英語教育学。特に,コンピュータを活用した認知的アプローチ(語彙・文法学習)と社会文化的アプローチ(学びの共同体創り)の理論と実践。コンピュータ利用教育学会 学会賞・論文賞(2007)。外国語教育メディア学会 学会賞・教材開発(システム)賞 (2010)。筆者監修の本に『大学生になったら洋書を読もう』(アルク)がある。

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