リレーエッセイ
服部優花(いずみ委員・東京外国語大)

P r o f i l e

服部優花(はっとり・ゆか)
東京外国語大学言語文化学部4年。
先日、友人とガングロギャル体験に行きました。渋谷ギャルにガングロにしてもらい、一緒にプリクラも撮りました。彼女達とのお話は大変楽しく、異文化交流の面白さを改めて感じました。ただ、観光客の視線を痛い程浴びました。

 大学入学以来、競技かるたをやっています。1年の4月、和室のい草の香りに惹かれ、「この香りを毎週かげたらいいなあ」と、かるた会に入会しました(もちろん先輩方の温かい雰囲気も入会の決め手でした)。かるたは奥の深いスポーツです。百人一首の下の句が書かれた100枚の札の内の50枚を使い、2人の競技者で25枚ずつ、自分の側で好きな位置に並べます。これで競技者各自の陣が出来ます。15分札の配置を暗記した後、読手が一首ずつ、独特の節で歌を読み上げます。読まれた歌の下の句が書かれている札を相手より早く取り、自陣を早く無くした方の勝ちです。自陣から取ったら一枚札を減らせます。相手陣から取れば一枚札を送れます。送る札をどれにするか、札の並べ方は、払い方は……など、頭を捻るべき所がいくつもあります。競技者によって耳の良さ、体格、戦術も異なるため、試合を見ていると各人の個性が見えて面白いです。競技者としてまだまだ未熟な私にとって、いくら覗いても底の見えない競技かるたの世界は非常に魅惑的で、ずっとかるたに片思いしているような気分です。
 競技としての魅力に留まらず、かるたには人と人とを繋ぐ力もあります。全国そして海外にも多くの「かるた会」が存在し、会員が練習に励んでいます。基本的には誰でもどこの練習にでも参加することが出来ます。このため、大会参加のために来日したフランス人が練習に訪れたり、合宿に他のかるた会の方が参加したりなど、かるた会同士の交流も活発です。さらにかるたの大会は全て全国大会なので、大会に出れば北は北海道から南は沖縄、果ては海外まで世界のかるたマン達と出会うことが出来ます。昨年松山大会に出場しました。対戦者は香川県からいらした男性で、試合後には「今の試合のあの取りが良かったよね」という感想や世間話で盛り上がりました。試合をしなければ普段接する機会のない人々と近い距離で話が出来るのは、間違いなくかるたの魅力の一つでしょう。
 百人一首は海外の注目も集めています。インターン先では、英訳百人一首を使った競技かるたの世界大会を開催する企画が進行中です。百人一首の原本と英訳を照らし合わせて読むと、日本語の細やかな表現の美しさや短い言葉で多様な解釈をほのめかす奥行きに気づかされると共に、二つの言語の構造の違いに、はっとする場面もありました。
 かるた、してみませんか?
 

次回執筆のご指名:髙橋李佳さん

今年度から読者スタッフになっていただき、いつも丁寧なご意見をくださる髙橋さん。自己紹介も兼ねて、最近気になること、教えてください。(編集部)

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