読んで一言 157号

アンケートから、読者の感動したり影響を受けた本や映画をご紹介
 

『協働のデザイン』
世古一穂
学芸出版社 本体2,300円+税

「市役所職員って何してるの?」「行政は何もしてくれない」といった声をよく聞きます。私はそのような声を聞くたびに、「どうして人任せなの?」と尋ねます。
この本には、生活をよりよくするために、「自分たちが動く」ヒントがたくさん詰まっています。「よりよく生きたい」とは誰しもが思っていることでしょう。私たちの望む生活は「それなりに働き、余暇を楽しむ」ことだけでしょうか? 私は自分たちの未来を行政にお任せするのではなく、皆で力をあわせて創っていきたいです。その共感を広げるためにも、多くの人にこの本を読んでほしいです。
(奈良教育大学/N)

『こわいもの知らずの病理学講義』
仲野徹
晶文社 本体1,850円+税

一見堅苦しそうに見えてしまう病理学をまるでバラエティー番組を観ているときのように楽しく学べる一冊。外科医や内科医などが脚光を浴びてしまうが、その診断の影に病理医も頑張っているんだというアピールが感じられる。
(早稲田大学/みずき)
 

『池上彰が読む「イスラム」世界』
池上彰
角川書店 本体1,000円+税

中高生の折さらっと勉強しただけで、「イスラム」について何も知らないと気づき手に取りました。本書では、図を使いながら「イスラム」の起源や、中東内外の対立、イスラム社会における問題などをわかりやすく解説しているため、すんなりと理解できます。本書をきっかけに、以前よりも中東関連のニュースに目を向けるようになりました。
(早稲田大学/nido)

『日本人と経済』
橘木俊詔
東洋経済新報社 本体1,800円+税

日本は中流意識が強く貧富の差もあまりない幸せな国だと思っていましたが、実はそうでもないのだと知りました。こうして大学で学べるって幸せなことなんですね。
(埼玉大学/ちぃ)
 

『断片的なものの社会学』
岸政彦
朝日出版社 本体1,560円+税

社会学専攻で、質的調査を学ぶために読みましたが、思っていたよりずっと、自分の人生を語る人のモノローグが小説みたいでした。社会学は分からないから……と遠ざけずに、一度読んでほしいと思いました。
(一橋大学/しょうが)

『「待つ」ということ』
鷲田清一
角川学芸出版 本体1,400円+税

「待たなくてよい社会になった。待つことができない社会になった。」という言葉から始まる。その通りだと思う。この本は人間の本来の行動とも言える「待つ」という行為を様々な視点から、様々な文学を用いて考察している。今一度、「待つ」とはどういう事なのかを、待たなくてよい今の社会で考えさせられる1冊。
(横浜国立大学/たちたち)
 
 

『風が強く吹いている』
三浦しをん
新潮文庫 本体890円+税

「走る」ってなんだろう、と今まで考えたことのなかったことを考えさせられました。主な登場人物は同じアパートに住む10人の大学生で、10人中8人が「走り」に関しほぼほぼ素人であるにもかかわらず、箱根駅伝を目指し、激しい練習の中でぶつかり合いながらも徐々に絆を深めていく、青春の中の1年間を描いた作品です。個性豊かなキャラクター、美しい表現、爽やかかつ力強い物語に心を引きつけられました。アニメ化もされていて、そちらも素晴らしいです!
(京都大学/ネコノヒゲ)

『ブロードキャスト』
湊かなえ
角川書店 本体1,500円+税

私自身が高校時代、放送部の活動に打ち込んでいたので、久しぶりにその空気感を思い出して胸がきゅっとなりました。主人公の圭祐が先輩たちの姿を見て、そして1つの作品を作り上げて感じた思いは、当時の私の気持ちと全く同じで、うんうん!と何度もうなずきながら読みました。先輩たちの仲やキャラの強さは学校差があると思いますが(笑)、高校放送部を体感するならこの一冊をオススメします!
(名古屋大学/おき)
 
 

『永い言い訳』
西川美和
文春文庫 本体650円+税

「自分を大事に思ってくれる人を、簡単に手放しちゃいけない。みくびったり、貶めてはいけない。」
あたりまえのことだけれどもハッとさせられるようなこの言葉がどっしりと心に残っています。妻を失くした主人公が母を失くした子どもらに出会って、様々な愛が芽生え始める描写が丁寧に描かれています。
(神奈川大学/りちゃーど)

『雪のひとひら』
ポール・ギャリコ〈矢川澄子=訳〉
新潮文庫 本体460円+税

とある本を読んでいたら、すてきな物語です、と紹介されていて、図書館で借りて読んでみた本です。女性の一生を、「雪のひとひら」という、雪を主人公にして描いた作品。タイトルからも感じられるように、なんといっても文章が美しく、原作も翻訳もお見事でした。オススメは、2001年発行の単行本。装丁がきれいです。
(和歌山大学 職員/みしま)
 
 

『今夜、すべてのバーで』
中島らも
講談社文庫 本体560円+税

アルコール依存症の主人公は、著者本人の体験をもとに書かれているそうです。人間の弱さ、愚かさ、哀しさ、そして儚い美しさのようなものを感じました。人生のやるせなさよ。
(広島大学/ぱせりた)

『うつくしい子ども』
石田衣良
文春文庫 本体505円+税

弟が殺人犯になったら、どうするか──。「うつくしい子ども」の主人公は、弟の心を理解するべく行動を開始する。最近読んだ本の中で、最も印象に残ったものの一つです。
(早稲田大学/こうちゃん)
 
 

『春琴抄』
谷崎潤一郎
角川文庫 本体360円+税

失明した琴女の春琴と、異常なまでに彼女に奉仕する弟子の佐助。目を覆いたくなるような歪んだ性癖を、極限まで美麗に描いています。文豪・谷崎潤一郎の巧みな形容で、本を読んでいてはじめて痛覚が働きました。
(慶應義塾大学/ゆくえ)

『モロッコへ行こう』
池田あきこ
中公文庫 本体838円+税

ダヤンの作者池田あきこさんが、スケッチブックを手に妹さんとモロッコを旅するスケッチ紀行です。スケッチでコミュニケーションのきっかけを掴み、見知らぬ人びととの交流を楽しむ、物怖じしない池田さん姉妹の行動力に驚かされます。載っているスケッチも流石です。とても面白く、旅に出たくなります。
(三重大学/よもぎ餅)
 
 

『文庫解説ワンダーランド』
斎藤美奈子
岩波新書 本体840円+税

ほとんどの文庫には最後に「解説」がある。「坊っちゃん」は文庫だけで10種類はあるが、誰の解説が一番的を射たものなのか。これから文庫を買うときは、解説者で選ぶことになりそう。
(千葉大学/がっちん)

映画『The book thief』(邦題:やさしい本泥棒)
(2013年 アメリカ合衆国)

最初は文字が読めなかった主人公が、言葉を覚え、本の世界に引き込まれてゆく……だけで終わらないのがこの映画。悲惨な運命のなかで懸命に生きようとする主人公の姿に心を打たれます。
(大阪府立大学/冨子)
 
 
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