連載 伝わる文章を書こうNo.2(全3回)

冨永 敦子 (公立はこだて未来大学 准教授)

パラグラフを組み立てよう 
プロフィール 

阿部圭一・冨永敦子
『「伝わる日本語」練習帳』
近代科学社/本体1,800円+税
 

 

学生
前回の語と文について気をつけて書くようになったら、レポートが良くなりました。

先生
それは良かった。では、今回はパラグラフについて勉強しよう。

学生
パラグラフ? 段落ですか? 

先生
段落というと、単に改行までの文のかたまりと捉えている人が多いよね。パラグラフは、1つの主題について記述した文のまとまりのことを指すんだよ。次のパラグラフは何についての文章だと思うかい?
 
マウスのボタンを押すことを「クリック」と呼ぶ。
「クリック」とは、日本語に訳すと「カチッ」という音のことである。マウスのボタンを押したときに「カチッ」という音がするので、この名前が付けられた。このように、ほとんどのパソコン用語は、動作や形状を英語で表している。

学生
クリックの説明です(即答!)

先生
最後まで読んだ?

学生
最後まで読むと…パソコン用語の話?

先生
そう! 書き手が一番言いたいことが最後に書いてあるんだよ。

学生
うーーん、クリックのことは知っているから、最後まで読みませんでした。

先生
では、次のパラグラフはどう?
 
ほとんどのパソコン用語は、動作や形状を英語で表したものである。たとえば、マウスのボタンを押すことを「クリック」と呼ぶ。「クリック」とは、日本語に訳すと「カチッ」という音のことである。マウスのボタンを押したときに「カチッ」と音がするので、この名前が付けられた。

学生
おっ、これは一番言いたいことが最初に書かれていますね。これなら、何についての文章なのかがすぐにわかります。

先生
この1文目をトピック文、2文目以降をサポート文と言うんだよ。
 
トピック文:
そのパラグラフの主題、すなわち書き手が最も伝えたい考え・情報を記述します。パラグラフの先頭にトピック文を書くと、どのような主題についてのパラグラフなのかがすぐにわかるので、内容を読み取りやすくなります。

サポート文:
トピック文に関連した内容を書きます。理由や具体例などを挙げて、トピック文の根拠を示したり、トピック文の内容を詳しく展開したりします。
 
学生
ふむ、このパラグラフで自分が何を言いたいのかを考えながら構成するということですね。やってみます!

 
 
P r o f i l e
冨永 敦子(とみなが・あつこ)
2012年早稲田大学大学院博士課程修了。博士(人間科学)。IT企業勤務、テクニカルライターを経て、現在は公立はこだて未来大学システム情報科学部准教授。著書に『「伝わる日本語」練習帳』(近代科学社)など。

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※次回(第3回)は、読者の皆さんからの質問に、阿部先生・冨永先生がお答えします。
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