卒業生のひとりごと
16.「こころの『書』方箋」


 ようこそ『読書のいずみ』クリニックへ。
あなたのお悩みや現状に合った本を、勝手に処方させていただきます。さてそれでは、次の方、どうぞ——。

部屋にものがあふれてしまって足の踏み場もありません。助けてください。

(19歳/男性)
 
 それは大変ですね。お部屋が荒れてしまうと、心までなんだかカサカサしてしまうものです。さらに場合によってはカサカサ動く「奴」が現れることもあるので、早めになんとかしなくてはいけません。お部屋にものがあふれてしまっているあなたには、『ぼくたちに、もうモノは必要ない。増補版』(佐々木典士/ちくま文庫)と『人生がときめく片づけの魔法 改訂版』(近藤麻理恵/河出書房新社)の2冊を処方しましょう。
 『ぼくたちに、もうモノは必要ない。増補版』は、有名なミニマリスト本です。ものを減らして身軽に生きるための心のもちようなどについて書かれている本で、読むと持ちものを減らしたくなります。「わたしはものを捨てられない人間だから絶対に片づけは無理!」という方こそ読んでみると、目からうろこがぽろぽろと落ちるかもしれませんよ。
 『人生がときめく片づけの魔法 改訂版』は、「ときめき」を大切に片づけをしていこうというハウツー本です。服や本、食器などジャンルごとに片づけの方法が詳しく書かれています。また収納方法や服のたたみ方などについても解説されているので「ものを減らしたのは良いけれど、収納方法がわからない!」という悩みも解消できるでしょう。
 足の踏み場がないお部屋で暮らすのはなかなか大変なので、少しでも片づくと良いですね。それでは、お大事に。


最近なんだか眠りの質が悪いような気がします。どうすれば良いでしょうか。
(21歳/女性)
 
 なるほど、なるほど。それはもしかしたら「睡獣」の仕業かもしれませんので、『そいねドリーマー』(宮澤伊織/ハヤカワ文庫JA)を処方しておきましょう。
『そいねドリーマー』は、夢の中の世界で自由に活動することができる能力者「スリープウォーカー」の少女たちと、夢の中の世界である「ナイトランド」で人の精神に取り憑く睡獣との戦いを描いたSF作品です。この物語に出てくるひつじちゃんという少女は、どんなひとでも眠らせることができてしまう能力者です。眠れない夜には、ひつじちゃんに添い寝をしてもらいたくなってしまいます。
 スリープウォーカーの少女たちに睡獣を倒してもらえば、あなたにも良い眠りの時間が戻ってくることでしょう。ただしこの処方で効果が得られなかった場合には、きちんと専門の病院に行くなりしてくださいね。それでは、お大事に。


よく人に影響されたり、すぐに落ち込んだりしてしまいます。メンタルが強い人間になりたいです。
(20歳/女性)
 
 メンタルがぐちゃぐちゃになると、自分自身も周囲もつらいですよね。そんなあなたに処方するのは『メンタル強め美女白川さん』(獅子/KADOKAWA)と『超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド』(鈴木祐/鉄人社)の2冊です。
『メンタル強め美女白川さん』は、タイトルの通りメンタル強めの美女である会社員の白川さんと、その周囲の人々を描いた漫画です。白川さんは美女なので何もかも上手くいっている……と見せかけて実はそんなことはないのですが、白川さんは周囲からの嫌がらせやストレスなどを華麗にかわしていきます。白川さんのしなやかな生き方は、ぜひわたしも学びたいところです。
『超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド』は、ストレスがたまってしまったときに試したいストレス解消方法がたっぷり紹介されている一冊です。100の科学的メソッドが紹介されているので、きっとあなたに合った方法が見つかるのではないでしょうか。まずは「これならできそう!」と思うものをひとつ試してみてください。
 どうにもメンタルの調子がよろしくないときは、当クリニック以外のまともな(?)医療機関を受診することも大切です。無理せず、お大事に。
 

今回「書」方した本

  • 佐々木典士
    『ぼくたちに、もうモノは必要ない。増補版』
    ちくま文庫 定価814円(税込)購入はこちら >
  • 近藤麻理恵
    『人生がときめく片づけの魔法 改訂版』
    河出書房新社 定価1,210円(税込)購入はこちら >
  • 宮澤伊織
    『そいねドリーマー』
    ハヤカワ文庫JA 定価792円(税込)購入はこちら >
  • 獅子
    『メンタル強め美女 白川さん』
    KADOKAWA 定価1,155円(税込)購入はこちら >
  • 鈴木祐
    『超ストレス解消法
     イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド』

    鉄人社 定価1,540円(税込)購入はこちら >
P r o f i l e
門脇みなみ(かどわき・みなみ)
いずみ卒業生。※『読書のいずみ』クリニック 初代〈2014年138号〉医院長
1日が24時間しかないことに最近悩んでいます。こんなわたしに、どなたか良い本を処方してください。

「卒業生のひとりごと」記事一覧


ご意見・ご感想はこちらから

*本サイト記事・写真・イラストの無断転載を禁じます。

ページの先頭へ