Reading for Pleasure No.53

「読書マラソン」の王道

水野 邦太郎
 私のスマートフォンには、2007年から15年間、月曜日から金曜日の朝、7時45分ごろに「Jaremaga」というタイトルの英文が届きます。その英文は、日本の大学で英語を長く教えてこられた名古屋在住のアメリカ人、ジャレル(Jarell)先生が送信してくださいます。120 words くらいの短い英文で、ジャレル先生の日常生活の中での出来事をはじめ、日本や世界中で起きているニュースが取り上げられ、ジャレル先生のコメントが書かれてます。

「Jaremaga」は無料で読めるメールマガジン「じゃれマガ」として、多くの日本人英語学習者に親しまれてきました。誰もが、次のページで「じゃれマガ」の申し込みができます。
http://catchawave.jp/jm/
 ぜひ、皆さんにも定期購読をして欲しいので、2022年に配信された「じゃれマガ」から、2つ紹介します。

A Lot of Twos: Today is February 22, 2022. That can be written as 20220222. What a lot of twos! Actually, there are many different ways to say “2” in English. How many do you know? We use the number to count with: 2 eyes, 2 ears, and 2 legs. In some card games, people look for a pair, two cards of the same number. Two people who date are called a couple. If two people sing or play music together, they are called a duet or a duo. If two babies are born at the same time, they are twins. The word “bicycle” includes “bi,” which means 2. That’s because a bicycle has 2 wheels. Finally, a bicycle built for two people is called a tandem.

「2」という数が、私たちの日常生活の中にいろいろなかたちで存在していることに気づかされます。そして、場合に応じて「2」に対する慣習的な呼び方がいろいろとあることを改めて「発見」できます。

Singing for Peace: The singer Misia was on the TV news last night. The news report showed her in a blue and yellow dress, the colors of the Ukrainian flag, singing “Where Have All the Flowers Gone?” It is beautiful anti-war song that was written by Pete Seeger, an American folk singer. The song became popular in the early 1960s, and in the late 60s, it was sung at protests in the U.S. against the Vietnam War. It tells how war kills the men who fight and leaves the women to pick flowers. It is a fitting song for 2022. Seeger got the idea from a Cossack folk song, and the Cossacks live in both Ukraine and Russia.

 上記の英文を読んだあと、もし自分の理解度を確かめたい場合は、AI を駆使した Transable というサイトに英文をコピペすれば、以下のような日本語訳が瞬時に得られます。
 
平和のための歌声:昨夜、歌手のMISIAがテレビのニュースに出ていました。ウクライナの国旗の色である青と黄色のドレスを着て、“Where Have All the Flowers Gone? ”を歌っているのが映し出されていました。この曲は1960年代初頭に流行し、60年代後半にはアメリカでのベトナム戦争に対する抗議デモで歌われるようになった。戦争が戦う男たちを殺し、女たちを花摘みに残していく様子が歌われている。2022年にふさわしい歌だ。シーガーはコサックの民謡からヒントを得たというが、コサックとはウクライナとロシアの両方に住んでいる民族である。

 英文を読んであまり理解できなかったところを日本語訳の助けをかりてもう一度英文を読み直したり、「このような日本語表現は、英語ではどのように表現されているんだろう」という意識で該当する英文を探して読み直したりすると英語の勉強になります。英語と日本語の両方の言語を使いながら「じゃれマガ」を毎日継続的に読むことは、大学生協の「読書マラソン」の理念にも通じます。ぜひ、友人と一緒に「じゃれマガ」を毎日読み、感想を言い合い、楽しんでください。
 Reading for Pleasure!

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P r o f i l e

水野 邦太郎(みずの・くにたろう)

千葉県出身。神戸女子大学文学部教授。博士(九州大学 学位論文.(2017).「Graded Readers の読書を通して「主体的・対話的で深い学び」を実現するための理論的考察 ― H. G. Widdowson の Capacity 論を軸として ―」)。茨城大学 大学教育センター 総合英語教育部准教授、福岡県立大学人間社会学部准教授、江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授を経て、2022年4月より現職。

専門は英語教育学。特に、コンピュータを活用した認知的アプローチ(語彙・文法学習)と社会文化的アプローチ(学びの共同体創り)の理論と実践。コンピュータ利用教育学会 学会賞・論文賞(2007)。外国語教育メディア学会 学会賞・教材開発(システム)賞 (2010)。筆者監修の本に『大学生になったら洋書を読もう』(アルク)がある。最新刊『英語教育におけるGraded Readersの文化的・教育的価値の考察』(くろしお出版)は、2020年度 日本英語コミュニケーション学会 学会賞・学術賞を受賞。

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