卒業生のひとりごと
21.日記のような本



 日記というものは、人に見せないことを前提として書かれることが多いと思います。なので、エッセイなど日記のような本を読んでいると、なんだか人の日記を覗き見しているような気分になって、すこし背徳感のようなものを覚えたりすることも。今回は素敵なエッセイをご紹介します。
 
 

誰かと暮らしてみたくなる

阿佐ヶ谷姉妹
『阿佐ヶ谷姉妹の
のほほんふたり暮らし』

幻冬舎文庫/定価660円(税込) 購入はこちら >

 自分以外の人が普段どのように暮らしているか、意外と知らないものだと思います。自分以外の誰かの暮らしを覗いてみたくなったときに読んでみていただきたいのが『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』(阿佐ヶ谷姉妹/幻冬舎文庫)です。こちらは、お笑い芸人である阿佐ヶ谷姉妹のお二人が書かれたエッセイ。普段のお二人ののほほんとした生活について、書かれています。ちなみに阿佐ヶ谷姉妹のお二人は、本当の姉妹ではないそうです。ですがふたり暮らしをしており、まるで本物の姉妹であるかのように、仲睦まじく生活をされています。
 自分以外の誰かと一緒に暮らすというのは、なかなかしんどいものです。すべてが自分の自由にはならないからですね。それでも『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』を読んでいると、誰かと暮らしてみたい気持ちになるから不思議です。

 またこちらのエッセイは自分以外の誰かの生活を覗いてみたくなったときはもちろん、ほのぼのとした気持ちになりたいときに読むのもおすすめです。疲れたときに読むと、「読む特効薬」のように効いてくれることでしょう(※個人差があります)。
 

 

ひとり暮らしがしたくなる

カマタミワ
『ひとりぐらしもプロの域』
KADOKAWA/定価1,100円(税込) 購入はこちら >

 自分以外の誰かの生活を覗いてみたくなったときに読むなら、コミックエッセイの『ひとりぐらしもプロの域』(カマタミワ/KADOKAWA)もおすすめです。著者のひとり暮らし生活の中で起こるあれこれが面白おかしく描かれています。ひとつひとつのエピソードがユニークで、読みながらくすりと笑ってしまうこと間違いなし。
 ひとり暮らしの良さはやっぱりどこまでも自由なことだな、と『ひとりぐらしもプロの域』を読んでいると、思います。顔のストレッチをしながら掃除機をかけても良いし、お皿を割ってしまったときに泣き叫びながら床を転がっても良いのです。自分しかいないので、基本的には何をしても大丈夫。少しばかり様子がおかしい言動をしたとしても、誰にも咎められることはありません。ただ、もちろんひとり暮らしは楽しいことばかりではありませんよね。体調を崩したときにはひとりで頑張る必要がありますし、例の虫が家に出現したときもひとりで戦わなくてはいけないのです。
 現在ひとり暮らしをしている方は「あるある」と頷きながら、まだひとり暮らしをしたことがない方は「こんなこともあるんだなあ」と思いながら『ひとりぐらしもプロの域』を読んでみてください。
 

 

ユニークな家族

並庭マチコ
『プリンセスお母さん 1〜4』
KADOKAWA/定価1,155〜1,210円(税込)購入はこちら >

「自分の家族の間では普通だったけれど、どうやら普通ではないらしいこと」というのは、意外とあるものです。例えば、わたしの家族の場合「家族の誰かが家で歌っていると、合いの手を入れたり一緒に歌いだしたりする」というのがあります。以前知人に話したら「え?」と言われました。え、歌に合いの手、入れますよね……?
プリンセスお母さん』(並庭マチコ/ KADOKAWA)は、ユニークな家族のエピソードが描かれているコミックエッセイです。『プリンセスお母さん』に登場する著者のお母さん(並庭“カトリーヌ”ママ子さん)はプリンセスな言動をする愉快な方。旅先できれいなホテルに泊まったときには「私の城へようこそ」と主ごっこをはじめたり、散歩に行こうとする娘に「領地の視察ですか、姫? 民のようすをごらんになるの?」と声をかけたり。とにかくユニークで、周囲を明るくさせるような方なのです。「変」にも色々ありますが、害がなく面白い「変」は、周囲を楽しませてくれるのでわたしはとてもすきです。
 ふと自分の家族のことを考えてみると、意外と「変」なところが見つかるかもしれません。もしご家族のユニークなところを発見したら、こっそり教えてくださいね。
 
執筆者紹介
門脇みなみ(かどわき・みなみ)
日記は昔書いていましたが、たいてい三日坊主でした。

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