22.読書の秋と〇〇



 秋といえば、そう、やはり「読書の秋」ですよね。とはいえ「食欲の秋」や「芸術の秋」「スポーツの秋」なども堪能したいもの。
 ということで今回は、読書を通じて色々な秋を堪能することができるような作品をご紹介していきたいと思います。
 
 

食欲の秋

ゆざきさかおみ
『作りたい女と
食べたい女1〜4』

KADOKAWA 定価(各)770円(税込) 購入はこちら >

 秋はおいしいものがたくさんありますよね。お芋に栗にさんまにぶどうに……。
 胃が宇宙のように広かったら食べたいものをすきなだけたっぷり食べることができるのに、と胃が小さめのわたしは思います。
 小説や漫画にも、おいしいものが登場する作品が数多くありますよね。
作りたい女と食べたい女』(ゆざきさかおみ/KADOKAWA)は、ごはんを作るのがだいすきな女性と、ごはんを食べるのがだいすきな女性の物語です。ごはんを作るのがだいすきな野本さんは自分がすきだから料理をしているのに同僚の男性から「いいお母さんになりそう」と言われて「なんだそれは」と思ったり、ごはんを食べるのがだいすきな春日さんはたくさん食べられるのに「女性だから」と定食屋さんでごはんを(あくまで店主さんの好意?で)少なめにされてしまったりと、女性として生きていると直面しがちな「もやもや」にぶつかります。ですがふたりでごはんを作り、食べる時間は、誰にも脅かされることのない素敵な時間なのです。
 この作品に登場するごはんは、ご飯を8合使ったオムライスやたっぷりの手作り餃子など身近で豪快なものが多く、読んでいるとお腹がすいてきます。わたしも野本さんのようにあまりたくさん食べられないタイプなので、ひとりでたっぷりの料理はできないのですが、知人と一緒に餃子パーティなどしてみるのも、楽しいかもしれませんね。
 

 

芸術の秋

末永幸歩
『13歳からのアート思考』
ダイヤモンド社 定価1980円(税込) 購入はこちら >

「芸術」と聞くと、なんだかハードルが高いような気がするかもしれません。ですが芸術というものは、意外と身近なものであったりします。
「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』(末永幸歩/ダイヤモンド社)は、13歳の方はもちろん大学生のみなさまや大人の方々も楽しみながら「アート思考」を身につけることができる一冊です。
 20世紀の芸術を代表する6作品をピックアップし、そこから芸術家のように考える方法を身につけていきます。
「アートなんてよくわからないし、美術の成績も悪かったから苦手意識がある」そんな方にこそ読んでいただきたい本で、芸術が遠い存在ではなくとても身近なものに感じられます。もちろん「アートだいすき!美術館だいすき!」な方も楽しめるはず。
 芸術について非常にわかりやすく書かれている一冊なので、「芸術入門」にぴったり。こちらを読んで少しでも芸術に興味が出たら、のんびりと美術館に足を運んでみるのも良いのではないでしょうか。
 

 

スポーツの秋

誉田哲也
『武士道シックスティーン』
文春文庫 定価836円(税込)購入はこちら >

 秋はスポーツの季節でもありますが、わたしはスポーツがとても苦手です。球技はどれもできないし、足も遅いし、泳げません。 スポーツとは縁遠い人生を送ってきました。それでも本を通してであれば、そんなわたしであってもスポーツを楽しむことができます。
武士道シックスティーン』(誉田哲也/文春文庫)は、幼いころから剣道に没頭してきた「剣道エリート」の香織と、剣道初心者なのに大会で香織に勝ってしまった早苗が、剣道を通じて成長していく物語です。まさに青春! きらきら軽やかなタイプの青春ではなく、どちらかというと暑苦しいタイプの青春です。
 青春とスポーツはどうしたって相性が良いですよね。スポーツ技術の成長と内面的な部分の成長を、リンクして描きやすいからでしょうか。そういえば、「学生×スポーツ」の小説はたくさんありますが、反対に「大人×スポーツ」の小説というのは、あまりイメージがないかもしれません。大人に成長は見込めないから……? 否、そんなことはないはずです。大人がスポーツに本気で取り組んでいる素敵作品がありましたら、ご一報いただけると嬉しいです。
 
執筆者紹介
門脇みなみ(かどわき・みなみ)
秋はいつもよりたくさん本が読みたいです。

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