平凡社ライブラリ― コメント大賞
優秀コメント賞 発表!!

※平凡社の「平」の字は、二つの点が漢字の八になった旧字体のため、実際の表記と異なります。
協力:平凡社
 
平凡社ライブラリ—×『読書のいずみ』企画の平凡社ライブラリ— コメント大賞(9月30日まで実施)は11名16通のご応募をいただき、厳正なる選考の結果、優秀コメント賞授賞者が下記に決定いたしました。
 

学生の部

『源氏物語』を何倍も楽しめる

西郷信綱
『源氏物語を読むために』
定価1,870円(税込)購入はこちら >「いずれの御時にか」の始まり方の効果、藤壺との恋愛から読み取れる家父長的な男性像の変化……学校の授業や個人での読解ではみえてこなかった紫式部のメッセージが発掘できる。一番印象的だったのは、光源氏という内面的発展をもつ人物が創り出せた理由についての分析だ。自分が犯した罪を背負って生き続けるからこそ、この主人公は人間味が出て、一層魅力的に感じられる。そしてこの作品は「うるさければ書かず。」いつの時代の読者にも想像の余地を残してくれている。改めて『源氏物語』を読みたくなった。
慶應義塾大学4年生 みどりのいえさん(P.N)

人間の本質を鋭くユーモアたっぷりに綴る本

カレル・チャペック〈飯島周=訳〉
『こまった人たち』
定価1,320円(税込)購入はこちら >ユーモア溢れる親しみやすい短編集だと気楽に読んでいたら、違和感ともどかしさがじわじわとこみ上げてきた。今まで絶対的な正義だと信じられていたことがある日突然、悪とみなされたり、世間の存在に苦悩し自分自身を見失ったり…。物語を通して俯瞰すると人間の愚かさや滑稽さに気づかされる。「未来からの寓話」では、平和を忘れ、権力や利益を追求した人間の姿が短文で綴られている。チャペックは、日々の生活に潜む「違和感」を見過ごさず、今一度自分自身を見つめ直すことこそが未来への希望だと我々に託したのではないだろうか。
千葉大学3年生 もっちーさん(P.N.)
 

大学院生の部

世界の中心は、うちの庭!

カレル・チャペック〈飯島周=訳〉
『園芸家の一年』
定価1,320円(税込)購入はこちら >園芸家って、なんて面倒くさくて、なんてかわいいんだろう!春も夏も秋も冬も、頭の中は自分の庭のことでいっぱい。植物に最高のベッドを捧げるため、爪やら何やら掻き集める。頭文字AからZまでの植物を片っ端から植えようとする。園芸は、科学で芸術なのだ。カレルの文章はひねくれユーモアをたっぷり混ぜ込んだ最高の土壌。ヨゼフの絵は弟の文章を優しくポップに芽吹かせる。私の庭づくり欲が開花してしまう…! 青空に向けてお尻をにゅっと突き出し精を出すシルエットが、ふりふり私を招くようで、また彼らの一年を開いてしまうのだ。
京都大学大学院 ぽぽさん(P.N.)

自由や労働の意味を共に寄り添って考える本

内山節
『哲学の冒険』
定価1,100円(税込)購入はこちら >就職活動を通じて、様々な仕事に興味を持ちつつある。しかし、よく考えてみると、何のために労働するのか、自分がどう生きていきたいのかといった芯が定まっていなかった。学生生活の中で他人と競争し勝つことに慣れてしまっていた自分には、就職先もどこか友人からの評価や世間の評判によって決めようとしていた。「本来労働とは何らかの作品をつくりだす行為」であることを学び、就職観が変化した。周囲の目に縛られるのではなく、作りたい作品の環境に合った場所を探そうと思う。より美しい未来の為に何を未来に残そうか、楽しみだ。
電気通信大学大学院 そうちゃんさん(P.N.)
※教員・職員の部は優秀コメント賞 入選なし
 
※優秀コメント賞 授賞者の皆様には、刊行されている平凡社ライブラリー作品の中から5点お選びいただき、プレゼントいたします。また、ご参加いただいた方全員に平凡社オリジナルトートバックをお送りいたします。


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