読書マラソンWEB版 5月特別号

『ぼくのメジャースプーン』著:辻村深月 出版社:講談社

ぼくのメジャースプーン

『ぼくのメジャースプーン』
著:辻村深月
出版社:講談社

主人公である「ぼく」の幼馴染のふみちゃんは、ある事件をきっかけに言葉を失い、心を閉ざしてしまいます。「ぼく」にはある特殊な力があり、ふみちゃんを助けられるのは「ぼく」だけ。様々な人の心の間で葛藤しながら、「ぼく」の答えを見つけ出すためにもがく、そんな物語です。
言葉とは時に支えになり、勇気になり、幸せになる。また時に武器になり、呪いになり、不幸になる。人の心とはなにか、人の言葉とはなにか、自分以外の人と関わっていく絶妙な距離感を体験できる小説です。物語の中にでてくる『条件ゲーム提示能力』という能力は話を読み進めていくうえで重要な能力なのですが、その能力のルールについて考えていくととても頭を使います。頭を使って自分で物語のパズルを組み立てていくようで非常に楽しく読むことができます。また、辻村さんの他の作品と世界観が繋がっているところを発見すると何倍にも楽しみが膨らみます。
大切な誰かを思ったとき、どのようにその思いを伝えようか。自分なりの考えを見つけ出せる道しるべになる物語だと思います。

静岡大学
篠原由佳