入学後約半年が経過した2017年度の新入生は、スムーズに大学生活に馴染めているのでしょうか? 時の巡りは早いもので、多くの私立大学などでは、まもなくAO入試・推薦入試等によって、2018年度の新入生を迎える時期になります。今回は、「大学と生協が共に行う、2018年度に入学予定のすべての新入生が無事に社会へ巣立つための生活のリスクへの備え」について考えてみたいと思います。
京都大学カウンセリングセンター中川純子先生 (『Cumpus Life』 Vol.51 p.11)
私たちは、学生(組合員)予備軍である受験生にも心を寄せています。多くの大学生協では、受験生・保護者を対象として、ホームページに「受験生応援サイト」を設置しています。また、いくつかの大学生協では、大学と協力して、受験生の各種サポートや受験生の保護者を対象とした企画等を実施しています。その先進的な事例が、「京都大学の1000名が参加する『受験生の父母懇談会』」です。詳しくは、京大生協ホームページ(「受験生の父母懇談会2017」)や『CampusLife v ol.51(2017年6月)』(10~11頁)をご覧ください。大学と生協が協同して、新入生を温かく迎えようとする姿を垣間見ていただけると思います。
私たちは2017年2月に、全国大学生協連・株式会社三菱総合研究所とともに『大学生が狙われる50の危険』を発行しました。この本は、現役の学生やリスクの研究者を含めたメンバーで、企画・編集しました。
受験生・現役学生・保護者に、ぜひとも備えておいてほしい1冊といえます。同書の表紙には「SNSトラブル、ブラックバイト、カルト、ストーカー、大震災…、自分は大丈夫!-その心のスキが危ない学生と親のための安全・安全マニュアル」とあります。
また、同書の「50番目(最後)の危険」は、奈良由美子先生(放送大学教授・リスクマネジメント学)による特別寄稿となっています。そのタイトルは、「自分でリスクを管理するための基本-「じぶんごと」の意識が身を助ける」です。
同書は、上記の京大生協の父母懇談会2017でも紹介されました。大学生協書籍部・全国書店でお求めいただくことができます。大学関係者の皆さまにもぜひともご一読いただき、新入生オリエンテーション等、2018年度の新入生を迎えるあらゆる場面でご活用いただきたい1冊です。
大学生協共済連は、全国大学保健管理協会や全国大学メンタルへルス学会の賛助会員となっています。両者は、いずれも密接な関係にあります。私たちは、「キャンパス内の学生のからだとこころの健康・安全に備える拠点」は、大学の保健管理施設(保健管理センター、学生相談室等)であると考えています。それは、小学校の「保健室」や、地域の「かかりつけの医者」のイメージです。
そして、大学生協で、学生が主体的に取り組む共済(予防)活動とも密接な関係があります。たとえば、健康チェック企画、自転車・バイク点検、防災の取り組み、イッキ飲み・アルハラ防止、食生活相談等の活動です。
【大学生協 健康・安全&事故予防】のキーワードで【Web検索】いただくと、学生の主体的な取り組みを垣間見ていただけます。
私たちは、キャンパス内の「学生どうしのたすけあい制度(共済)」と「保健管理施設(保健管理センター・学生相談室等)」が交わりあうことにより、すべての学生が無事に社会へ巣立っていくための安全・安心の相乗効果を高めることができる、と確信しています。
学生のからだとこころの健康の基礎となる「学生健康診断」等の場面でも大学関係者の皆さまと連携・協力させていただけましたら幸いです。
大学生協の共済(学生総合共済)は、多くの民間の保険商品で支払対象外とされている精神障害等の、いわゆる「心の病」による入院も、1981年の制度創設以来、保障対象としています。また、「加入学生と保護者が24時間365日、からだとこころの健康相談を専門スタッフに無料でできるサービス」も付帯させています。
【大学生協学生生活無料健康相談テレホン】のキーワードで【Web検索】いただくと、悩める学生や保護者の声を垣間見ていただけます。大学生協共済連では、学生や保護者のからだとこころの相談の実態を報告書にまとめて、全国大学メンタルへルス学会等にも報告させていただいております。
私たちは、さらに大学内の学生相談室等との協力関係を強めて、一人の学生も学業継続を断念させることのないように、事後(保障)だけではなく、事前(予防)活動をさらに推進させていく所存です。
私たちの共済は、民間の保険会社の保険商品とは異なる性格をもっています。それは、「学生どうしのたすけあい制度」である、ということです。大学の皆さまとともに、学生自身の「参加」を前提とする「予防」活動を展開することを大切にしています。
今後も、一つひとつの取り組みを丁寧に重ねながら、全国の学生の健康・安全のために大学の皆さまとともに歩みつづけてまいります。私たちの最終目的は、学生自身がリスクへの備えを「じぶんごと」として捉えて、様々な活動につなげていくことです。これは「学生どうしのたすけあい制度」と銘打つ、私たちの民間の保険会社にはないプライドでもあります。
ぜひとも、大学生協の活動や取り組みにご注目ください。
(大学生協共済連 藤本 昌)
『Campus Life vol.52』より転載