※データの無断転載はお断りいたします。
- 2012年度の特徴
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- 下宿生の住まい探しや新生活用品の購入費用は引き続き減少
- 回復傾向が見える就職状況により保護者の不安も変化の兆し
「就職や将来」は落ち着く一方で「大学での勉強」への不安は増加
- 私立推薦生の3人に1人はオープンキャンパスに母親が同行
祖父母の入学式出席は医歯薬系で高い傾向が続く
全国大学生活協同組合連合会
全国大学生活協同組合連合会(以下 全国大学生協連)では、2007年から毎年4月~5月に新入生の保護者を対象とした「保護者に聞く新入生調査」を実施しています。
この調査は受験から入学までにかかった費用をはじめ、「入学まで」と「大学生活」での不安についてなど保護者が感じたこと、また大学生協の事業についての評価などを調査しています。
2012年は122大学生協に加入した新入生の保護者24,245名の方から回答を頂きました。
この度調査データがまとまりましたのでご紹介いたします。
調査実施概要績
- 1.目的
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新入生が入学までにかかる費用、具体的なスケジュール、住まい探しや商品購入の際の意識を調査することにより、その実態を把握し、次年度提案の基礎データとする
- 2.方法
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郵送留め置き方法。各生協で組合員名簿などからランダムサンプリングして調査票を郵送(一部手渡し)して回収。
- 3.集計
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全国大学生協連が外部に委託し、コンピュータ処理
- 4.実施時期
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2012年4~5月
- 5.対象
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国公立・私立の4年制大学および短期大学に入学した新入生の保護者
- 6.回収数
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24,245(122大学生協・回収率33.0%)

調査実施概要績
1. 下宿生の住まい探しや新生活用品の購入費用は引き続き減少(表1~5)
費目の内訳と平均値の表示については「調査結果のみかた」を参照
(1)全体概況
- 受験から入学までにかかった費用の合計平均は、自宅生1,207,600円、下宿生1,843,400円だが、大学の設置者、住まい、専攻により大きく違う。自宅生の国公立医歯薬系の1,024,400円から、下宿生の私立医歯薬系3,132,900円まで、その差は3倍にもなる。
- 下宿生の入学までにかかる費用合計は、前年から大幅に減少した前年と比較すると全体金額が増加傾向となったが、調査開始の4年前と比較すると国立-154,600円(-8.1%)、私立-67,100円(-3.1%)と大きく減少している。
- 前年比増となったのは「入学した大学への学校納付金」の金額増の影響が大きい。授業料の一括払いの比率が国公立で1.0ポイント、私立0.2ポイントと微増であったことも背景として考えられる。
- 引き続き住まい探しの費用や新生活用品購入費用は減少し、「礼金/入館金、敷金合計」が前年比-3,100円、新生活用品の購入費用のうち「家電用品」は-8,300円の減少であったが、08年比ではそれぞれ-21,200円と-38,500円と減少が大きい。
- 1
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自宅生
- 国公立1,088,600円(前年比+5,700円)・私立1,313,100円(前年比+65,200円)
- 国公立文科系1,096,600円・国公立理工系1,095,900円・国公立医歯薬系1,024,400円
- 私立文科系1,155,900円・私立理工系1,471,800円・私立医歯薬系2,153,700円
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下宿生
- 国公立1,743,600円(前年比-800円)・私立2,070,500円(前年比+70,700円)
- 国公立文科系1,733,600円・国公立理工系1,736,000円・国公立医歯薬系1,825,300円
- 私立文科系1,932,800円・私立理工系2,197,600円・私立医歯薬系3,132,900円
(2)奨学金や授業料免除について(図1)
- 下宿生43.7%、寮生57.7%が奨学金を申請(または申請予定)している。自宅生32.2%と比較し自宅外生の申請者が多い。
- 授業料減免については自宅生の申請が多く、特に国公立自宅生6.5%が申請、前年より0.7ポイント増加した(私立自宅生1.5%・前年比0.4ポイント増)。
- 東北地域では私立下宿生の60.0%が奨学金を申請している。また授業料の減免申請も国立の自宅生15.2%(私立自宅生8.4%)と全国平均を大きく上回った。

<参考>4年間の大学生活にかかる費用を試算(表6)
本調査での「入学までにかかる費用」と当会で学部生を対象に毎年調査行っている「学生生活実態調査」における“1ヶ月の生活費”の支出合計額をもとに、大学受験から入学後4年間にかかる費用を試算した。
(ア) 受験から入学までにかかる費用(2012年度保護者に聞く新入生調査)の合計
(イ) 1ヶ月の生活費(2011年の学生生活実態調査)×12ヶ月×4年
(ウ) 大学納付金(授業料・施設整備費など)×2~4年生の3年分
国公立大学…国立大学の標準額535,800円 私立大学…2011年度平均1,044,770円
(いずれも文部科学省発表)
(ア)+(イ)+(ウ)の合計を北海道・東京・京都・九州の4地域での比較すると
- 国公立 自宅生 516万円(北海道)~548万円(京都
- 国公立 下宿生 818万円(北海道)~945万円(東京)
- 私立 自宅生 690万円(北海道)~724万円(東京)
- 私立 下宿生 974万円(九州)~1,143万円(東京)
- 下宿生の住まい探し費用は縮小傾向にあるとはいえ、大学生活4年間でみると自宅生との支出金額の差は大きい。
- 大学設置者を問わず下宿生の合計金額は同じ地域内の自宅生を300~400万円上回る。
- 下宿生の中でも在住地域によって100万円以上の差がある。
※上記費用のほか、大学生活を送る際に必要な費用として「合宿」「国内旅行」「運転免許取得」など4月~9月の「半年間の特別費」も集計しており、2011年のその平均額は172,500円である。
※また4年生は58.5%が就職活動を経験しており、その費用は平均143,800円であった。

2. 回復傾向が見える就職状況により保護者の不安も変化の兆し
「就職や将来」は落ち着く一方で「大学での勉強」への不安は増加(図2、3)
- 大学入学後の保護者の心配は自宅外生が「生活面や経済面のこと」(下宿生59.5%・寮生58.9%)「事故や病気、けがなど健康面のこと」(下宿生56.9%・下宿生52.4%)が高く、自宅生は「就職や将来のこと」(50.3%)に続き「大学での授業や単位のこと」(38.0%)、「友達づきあいなど人間関係のこと」36.8%と大学内での不安が大きい。
- 「大学での授業や単位のこと」や「就職や将来のこと」は理工系より文科系の保護者の不安が大きく、さらに入試形態別では一般入試より推薦入試での不安が大きい。
- 「就職や将来のこと」は2010年をピークに減少しており、文科系の推薦生も2010年の54.0%から50.1%と3.9ポイント減となった。
- 「大学での授業や単位のこと」は11年を除いて微増傾向が続き、08年と比較すると全体で3.9ポイント増となっている。就職率の回復が報じられる一方で、大学生の学力低下に関心を寄せる保護者が増えている。
3. 私立推薦生の3人に1人はオープンキャンパスに母親が同行
祖父母の入学式出席は医歯薬系で高い傾向が続く(表7)
(1)オープンキャンパスへの参加
- オープンキャンパスへの参加は08年の38.9%から4年間で4.6ポイント増加している。
- 本人の参加と併せて母親の参加も増加しており、2012年は私立の推薦入試の32.0%の母親が同伴している。国公立推薦者の母同伴は22.6%だが、4年前と比較し5.8ポイント増。男女ともに増加している。
- 国公立・私立ともに推薦生での母親の同伴率は自宅(28.9%)と下宿(27.7%)の差が小さい(一般入試はそれぞれ11.5%と7.0%)。
(2)入学式への出席
- 入学式には93.4%が出席し、そのうち同伴者を伴っての出席は67.5%。同伴者の内訳は「母親」が61.6%、「父親」が24.5%で、「父+母」も20.4%であった。
- 同伴者のうち、「祖父母」は全体で4.1%と父母に比べると少ないが、医歯薬系は6.9%(文科系3.7%・理工系4.1%)と他学部より高い傾向にある。

調査結果のみかた
(1)平均値(額)と有額平均値(額)について)
①平均値(額) 「無回答」の例数は含まず、「0」の例数を含めた平均値(額)
②有額平均値(額) 「無回答」「0」の例数を含めない平均値(額)
(2)入学までにかかった費用について
(1)平均額について
- 各費目の金額および合計額は、「有額平均額」で表示しています。
- 各費目の金額および合計額は、各々の平均額です。そのため各費目の平均額を合計したものと、合計の平均額は一致しない場合があります。
(2)各費目の内容
- 出願をするためにかかった費用 受験した大学すべての合計金額
- 受験料 受験しなかった大学の分も含めた、支払ったすべての金額
- 願書を取り寄せた費用 願書取り寄せ(購入)費用・証明書の費用・出願のための郵送料
- 各費目の金額および合計額は、各々の平均額です。そのため各費目の平均額を合計したものと、合計の平均額は一致しない場合があります。
- 交通費
- 宿泊費
- 滞在費・その他 旅行会社のパックでの利用者はここに含む
- 学校納付金 入学した大学(学部)および入学しなかった大学(学部)
- 入学金
- 授業料 全納および一期分
- 施設拡充費・その他
- 寄付金・学債
- 後期(二期以降)納付予定金額
- 合格発表や入学手続きのための費用
- 入学式出席のための費用 同伴者にかかった費用も含む交通費・宿泊費・滞在費・手みやげ代・お礼・その他
- 教科書・教材購入費用
- パソコン プリンターなどの周辺機器も含む
- 教科書 辞書・参考書なども含む
- 電子辞書
- 教材 白衣・作業服・体育実技用品なども含む
- その他
- 住まい探しの費用 同伴者にかかった費用も含む
- 交通費
- 宿泊費・滞在費
- 礼金・入館金・敷金
- 斡旋手数料
- 前家賃や日割分・その他
- 生活用品購入費用
- 寝具 布団・布団カバー・カーテン・カーペットなど
- 家具 机・書棚・食器棚・整理タンス・ベッドなど
- 家電用品 冷蔵庫・炊飯器・テレビ・ビデオ・電子レンジ・洗濯機・照明など
- 自炊用品 ガスコンロ・鍋・食器・調理小物など
- 電話加入権・配線工事費 インターネット契約料・携帯電話契約料など
- 電話機
- 日用雑貨・自転車・バイク・その他
- 衣類(スーツ・靴・鞄など) 身の回りの小物・薬・化粧品なども含む
- その他の費用
- 引越し代・荷物の送料 自家用車使用の場合はガソリン代なども含む
- 4月分の生活費 自宅生の場合は定期代を含む小遣いなど
- 予備の貯金
- 保険料 大学生協の「学生総合共済」も含む
- 生協出資金
- お礼・お祝い返し・その他 自治会費など
(3)住まい・新生活用品について
「住まい探し」「実際の住まいの形態」「新生活用品の購入」については、自宅外生のみを調査の対象としています。
(4)その他の表記について
- 住まい
- 自宅生(自宅)
- 下宿生(下宿) アパート・マンション・ハイツ(パンション)・学生会館・下宿(賄い付き)・下宿(賄いなし)・知人宅
- 寮生 大学学生寮・県人会寮・勤務先の子弟寮
- 自宅外生(自外) 下宿生+寮生
- 入試形態
- 一般 一般入試
- 推薦 推薦入試(AO入試・内部進学含む
- 一般 一般入試
- 推薦 推薦入試(AO入試・内部進学含む
- 地域別
- 東京 東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県
- 中四 中国・四国
- 設置者 大学を設置している主体者のことであり、具体的には国公立・私立に分かれる
