新入生の保護者19,577名から集約
「2015年度保護者に聞く新入生調査」概要報告

※データの無断転載はお断りいたします。
2016年1月6日

<2015年度の特徴>

  1. 受験から入学までにかかった費用
    消費税増税の影響を受け、パソコンや新生活用品の費用が増加

  2. 入学の際の保護者の関心
    文科系保護者の“経験”や“人間関係”づくりのための進学目的は縮小
    就職状況の好転から「就職支援」から「社会人としての一般教養」の強化に期待

全国大学生活協同組合連合会(以下 全国大学生協連)では、2007年から毎年4月〜5月に新入生の保護者を対象とした「保護者に聞く新入生調査」を実施し、2015年は113大学生協の19,577名の方から回答を頂きました。

この調査は毎年、受験から入学までにかかった費用をはじめ、受験から入学までで困ったことや、大学生活を送る上での不安などの保護者の意識と併せ、大学生協の事業に対する評価を調査しています。
今回の調査結果からは大学進学の際の家計への負担が2014年4月からの消費税増税の影響を受け、さらに大きくなったことがわかりました。また、その中で保護者が大学教育に何を期待しているのかが明らかになりました。

<調査の概要>

【調査の目的】 新学期の大学生協の取り組みについての保護者の評価や、新入生が入学までにかかる 費用、具体的なスケジュール、住まい探しや商品購入の際の意識を調査することによ り、新学期事業の総括および次年度提案の基礎データとする。
【調査対象】 2015年に入学した新入生(学部生)の保護者 
【調査期間】 2015年4〜5月
【調査方法】 郵送調査(一部手渡しの生協あり)
【回収数】 19,577(回収率 29.3%)

サンプル特性

1.受験から入学までにかかった費用
消費税増税の影響を受け、パソコンや新生活用品の費用が増加

平均額について

  • 各費目の平均額および合計の平均額は、それぞれ「0」と無回答を除いた数値の平均である「有額平均」で表示しています。
  • 費目のいずれかに「0」が含まれていても合計の平均額には反映されるため、各費目の平均額を合計したものと、合計の平均額は一致しない場合があります。

各費目の内容

A.出願をするためにかかった費用 受験料/願書を取り寄せた費用
B.受験のための費用 交通費/宿泊費/滞在費・その他
C.入学した大学への学校納付金 入学金/授業料/施設拡充費・その他/寄付金・学校債
D.合格発表や入学手続きのための費用  
E.入学式出席のための費用  
F.教科書・教材購入費用 パソコン/教科書/電子辞書/教材/その他
G.住まい探しの費用

交通費/宿泊費・滞在費/礼金・入館金・敷金/斡旋手数料/前家賃や日割分・その他

H.生活用品購入費用

寝具/家具/家電用品/自炊用品/電話加入権・配線工事費/電話機/日用雑貨・自転車・バイク/衣類

I.その他の費用 引越し代・荷物の送料/4月分の生活費/予備の貯金/保険料/生協出資金/お礼・お祝い返し・その他

(1)国公立・自宅・医歯薬系の1,025,100円から私立・下宿・医歯薬系の3,036,900円まで
 〜受験から入学までにかかった費用〜

  1. 自宅生の受験から入学までにかかった費用

    ○国公立1,049,000円(前年増減-35,400円)・私立1,348,200円(前年増減+66,900円)

    • 国公立文科系1,052,900円・国公立理工系1,050,800円・国公立医歯薬系1,025,100円
    • 私立文科系1,234,600円・私立理工系1,556,300円・私立医歯薬系2,058,900円
  2. 下宿生の受験から入学までにかかった費用

    ○国公立1,768,000円(前年増減-18,900円)・私立2,058,500円(前年増減+9,300円)

    • 国公立文科系1,738,900円・国公立理工系1,767,700円・国公立医歯薬系1,879,400円
    • 私立文科系1,967,900円・私立理工系2,197,000円・私立医歯薬系3,036,900円

各費目の平均額および合計の平均額は、それぞれ「0」と無回答を除いた数値の平均である「有額平均」で表示しています。
費目のいずれかに「0」が含まれていても合計の平均額には反映されるため、各費目の平均額を合計したものと、合計の平均額は一致しない場合があります。

各費目の平均額および合計の平均額は、それぞれ「0」と無回答を除いた数値の平均である「有額平均」で表示しています。
費目のいずれかに「0」が含まれていても合計の平均額には反映されるため、各費目の平均額を合計したものと、合計の平均額は一致しない場合があります。

(2)受験から入学までにかかった費用の特徴 (図表1〜4)

① 受験から入学までにかかった費用は「自宅」「国公立」「医歯薬系」の1,025,100円から「下宿」「私立」「医歯薬系」の3,036,900円まで、住まい・設置者・専攻による金額の差が大きい。

② 国公立計(1,444,000円)は前年から36,100円減少。「受験料」を含む「出願をするためにかかった費用」が前年から4,800円減少している。私立は14年に「授業料」の半期納付者の増加により「入学した大学への学校納付金」が54,300円減少し、合計値も59,200円減と減少幅が大きかったが、15年は費用の合計が1,615,800円で、前年から20,900円増加。「教科書・教材購入費用」(10,300円増)、「住まい探しの費用」(6,500円増)の増加が大きい。

③ 国公立、私立ともに増加した「教科書・教材購入費用」のうち「パソコン」は前年から5,400円増加し、平均額は152,800円であった。そのほか「教科書」が1,600円増など「その他」以外の全ての費目が前年比増で、専攻別にみても同様の傾向であった。

④ 下宿生の新生活用品購入費用は合計309,100円。08年以来7年ぶりに30万円台となり、調査開始以降最も高い金額となった。費目別にみても「電話機」を除き、すべて前年比増で、「家電用品」は前年より6,700円増と増加が大きい。

⑤ 下宿生の費用面の工夫として、引き続き「価格の安いものを購入した」26.4%(前年比0.4ポイント減)、「購入する品数を抑えた」9.6%(前年比0.7ポイント増)と、多くの保護者が苦労した一方で新生活用品購入費用が増加した背景には2014年4月の消費税の増税が大きく影響したと思われる。

2.入学大学に対する保護者の意識
文科系保護者の“経験"や“人間関係"づくりのための進学目的は縮小
就職状況の好転から「就職支援」から「社会人としての一般教養」の強化に期待

(1)大学に進学させた理由(図表5)

① 子どもを大学に進学させた理由として「本人の希望が強かったから」84.0%、「色々な経験をさせたいから」45.9%、「就職や資格取得のために大学卒の学歴が必要だから」41.8%と続く。

② そのほか「専門的知識を身につけさせたいから」は理工系(40.5%)、医歯薬系(52.4%)で多く、医歯薬系の女子は55.2%(男子48.3%)と特に高い。

③ 「色々な経験をさせたいから」「人間関係を広げさせたいから」は文科系で高く、それぞれ48.9%と35.8%だが、前回調査の13年からそれぞれ5ポイント程度減と減少が大きい。

(2)大学に対して期待すること    

① 子どもの大学に対して今後さらに期待することは「専門知識の教育強化」59.3%(文科系53.9%・理工系64.1%・医歯薬系69.1%)、「就職のための支援強化」51.7%(文科系56.1%・理工系51.4%・医歯薬系26.8%)、「社会人としての一般教養の教育強化」45.5%(文科系50.3%・理工系42.1%・医歯薬系33.2%)と続く。

② 全体では「就職のための支援」は13年から11.3ポイント減だが、文科系は13.1ポイント減と特に減少が大きい。さらに文科系は【大学に進学させた理由】の「就職や資格取得のために大学卒の学歴が必要だから」も4.5ポイント減少。今回新たに選択肢に加えた「社会人としての一般教養」には「理工系」「医歯薬系」よりも多くの保護者が期待していることから、文科系の保護者は就職状況の好転を背景に“就職支援"への要望が落ち着く一方、就職活動を前提とした社会人教育への期待が大きい傾向が見られる。

③ また今回初めて設けた「国際人としてのグローバル教育」(32.4%)については、文科系、理工系ともに3割以上(それぞれ34.3%と31.7%)と、専門知識や就職、社会人教育に次いで期待が大きい。

④13年には40.9%だった「健全な大学生活を送るための教育や指導」は下宿生や寮生の減少が大きく、9.3ポイント減の31.6%であった。

*15年から「社会人としての一般教養の教育強化」「国際人としてのグローバル教育」