第53回学生生活実態調査の概要報告

※データの無断転載はお断りいたします。

CAMPUS LIFE DATA 2017

2018年2月26日

はじめに 調査概要とサンプル特性について

<調査概要>

調査実施時期
2017年10〜11月
調査対象
全国の国公立および私立大学の学部学生
回収数
10,021(30大学・回収率32.3%)
調査項目の概要
属性、住まい、大学生活(登下校時刻・サークル・就職など)、日常生活(生活時間・政治への関心など)、経済生活(暮らし向き・アルバイト・奨学金・1ヶ月の生活費・半年間の特別費など)、大学生協について(店舗の評価・活動の認知)、大学生協や大学への意見

<サンプル特性>

  1. 第53回学生生活実態調査は75大学生協が参加、18,999名から協力を得た。ただしここで紹介する数値は、経年での変化をより正確に見るために、毎年指定している30大学生協で回収した10,021名の平均値である。
  2. 全体的に昨年の構成比と比べ大きな差異がなく、経年での比較にも耐え得る調査である。
  3. 専攻別の男女の構成比は、文系4.7:5.3、理系6.8:3.2、医歯薬系4.0:6.0となっており、文系と医歯薬系の特徴は女子の影響を受けやすく、理系の特徴は男子の影響を受けやすくなっている。

1.学生の経済状況

アルバイト収入増で暮らし向きは楽観傾向。貯金の目的も多岐に
貸与型奨学金の受給率は減少だが、受給金額は増加

(1)自宅生の生活費 (図表1)

「小遣い」は4年連続減少
「アルバイト」の収入増で「教養娯楽費」や「貯金・繰越」も増加

  1. 自宅生の収入合計は64,070円。前年から1,760円増加しており、5年連続増加であった。
  2. 費目別には「アルバイト」が37,920円で、前年から2,150円増加。6年連続増加しており、2001年以降最も高い金額となった。収入に占める割合は59.2%と89年〜92年の60%台に次いで高い。
  3. 「小遣い」13,550円(前年-720円)と4年連続減少。「奨学金」は4年ぶりに増加し、11,040円(前年+270円)であった。
  4. 支出合計は62,590円で、前年+1,900円。
  5. 費目別には「教養娯楽費」9,470円(前年+1,230円)、「貯金・繰越」18,880円(前年+790円)の増加が大きいほか、「勉学費」1,130円(前年+170円)、「日常費」5,280円(前年+380円)などが増加した。「貯金・繰越」は3年連続の増加で、「貯金・繰越」の費目として調査を始めた80年からの最高額を前年に続き更新した。
  6. 減少費目は「交通費」8,680円(前年-150円)、「書籍費」1,340円(前年-110円)など。「食費」は前年と同額の12,580円であった。
  7. 「書籍費」は2年連続減少し、70年以降、金額、支出に占める構成比(2.1%)ともに最低となった(それぞれの最高値は83年の4,280円と73年の13.9%)。

(2)下宿生の生活費 (図表2・3) 

「奨学金」は3年連続減少。「アルバイト」収入は70年以降最も高い金額に

  1. 下宿生の収入合計は123,890円。前年から3,070円増加した。
  2. 費目別には「仕送り」72,980円(前年+2,370円)、「アルバイト」28,770円(前年+1,650円)のほか「定職」「その他」も前年増となった。
  3. 減少した費目は「奨学金」20,190円(前年-1,070円)で、3年連続減少。この5年間では「奨学金」は5,190円減少し、収入に占める構成比も16.3%で3年連続減少している。
  4. 「仕送り」が「0」円の下宿生は7.1%。2010年に10.5%まで上がったが、以降は緩やかな減少が続いている。また10万円以上は2010年以降3割前後を推移している。
  5. 「アルバイト」は2年連続増加。金額、収入に占める構成比(23.2%)ともに昨年に続き過去最高を更新した。
  6. 支出合計は120,750円で、前年から3,140円増加。
  7. 費目別には「住居費」52,820円(前年+830円)、「食費」25,190円(前年+420円)、「貯金・繰越」13,820円(前年+550円)、「教養娯楽費」9,830円(前年+1,030円)などが増加。「貯金・繰越」は6年連続増加となった。
  8. 前年から減少した費目は「書籍費」1,510円(前年-80円)、「その他」3,010円(前年-210円)。「書籍費」は金額、支出に占める構成比(1.3%)ともに自宅生同様70年以降最も低くなった。

(3)奨学金(図表4)

受給率は11年をピークに引き続き減少傾向
一方、貸与型奨学金の受給平均額は前年から増加

  1. 「奨学金を受給している」32.0%(自宅生26.8%・下宿生35.7%)。下宿生の受給率は緩やかに下降傾向が続いており、データがある05年以降最も低い受給率。最も高かった09年から8.9ポイント減少となった。
  2. 奨学金のうち「日本学生支援機構の奨学金」27.6%、「日本学生支援機構以外の貸与型奨学金」1.8%で、「貸与型奨学金のみ」の受給者は27.2%と奨学金受給者の85.0%を占めている。
  3. 「大学や財団などの給付型奨学金」受給者は3.7%だが、そのうち「貸与型奨学金」と併せての受給が1.7%で、「給付型奨学金のみ」は2.0%と受給者の6.3%、国公立3.6%(自宅生3.3%・自宅外生3.7%)と私立3.9%(自宅生3.3%・自宅外生5.3%)であった。
  4. 受給額の平均は「貸与型奨学金のみ」57,480円(自宅生57,110円・下宿生57,650円・国立自宅生49,660円・私立自宅生62,420円・国立自宅外生56,370円・私立自宅外生63,110円)で、前年から570円増(自宅生+1,830円・下宿生-320円・国立自宅生+700円・私立自宅生+10円・国立自宅外生-60円・私立自宅外生-1,220円)。
  5. 「給付型奨学金のみ」の平均額は55,460円(自宅生50,030円・下宿生59,640円・国立自宅生49,910円・私立自宅生50,420円・国立自宅外生60,150円・私立自宅外生51,890円)。前年から2,440円減。
  6. 「貸与型+給付型」平均額は75,810円(自宅生70,870円・下宿生79,630円・国立自宅生58,340円・私立自宅生79,350円・国立自宅外生84,130円・私立自宅外生66,130円)。前年から5,310円増加(自宅生+3,490円・下宿生+6,180円)。
  7. 「貸与型奨学金」受給者(全体の28.9%)で、将来奨学金を返還することに対して不安を感じている(常に+時々)学生が全体の21.2%おり、貸与型受給者を100とすると73.4%を占め、「常に不安に感じている」は貸与型受給者の24.9%にも上る。またその不安と貸与金額との関係では3万円未満で62.5%が、5万円未満70.5%、10万円未満75.9%、10万円以上は83.3%が不安を感じており、不安を感じる度合いは受給金額に比例している。
  8. 奨学金の使途は「授業料などの大学納付金」14.8%(自宅生18.1%・下宿生11.4%)、「食費や住居費などの生活費」13.7%(自宅生3.8%・下宿生22.3%)と住まいによる使途の違いが見られる。
  9. また貸与型奨学金受給者を100とすると5.9%、調査サンプル数全体の1.9%と全体に占める構成比は高くないものの、奨学金を「家庭全体の生活費」に充当している学生も存在する。

(4)アルバイト

就労率の低い1年生や理系での就労率が増加。収入は「旅行・レジャー」や「サークル費用」に

  1. アルバイト就労率は71.7%(自宅生78.2%・下宿生66.1%)で、前年から0.2ポイント減少した。
  2. この半年間のアルバイトの就労率は81.1%(自宅生85.7%・下宿生77.3%)と、前年から3.6ポイント増。1年生や理系といった就労率が低い層で増加した。
  3. 半年間のアルバイト収入の用途をみると「旅行・レジャー」28.9%、「生活費のゆとり」24.1%、「サークル費用」22.5%、「生活費の維持」21.1%、「衣類・バッグ」19.0%、「貯金」17.1%があげられ、「旅行・レジャー」「衣類・バッグ」は男子より女子が高く、「生活費のゆとり」「生活費の維持」は自宅生より下宿生が高い。
  4. 前年から「旅行・レジャー」が4.6ポイント、「サークル費用」が3.7ポイント、「生活費のゆとり」も1.8ポイント増加した。1ヶ月の生活費の支出費目のうちの「教養娯楽費」も自宅生、下宿生ともに1,000円以上増加しており、日常的な支出の変化とアルバイト収入の用途が連動している。

(5)貯金の目的(図表5)

貯金志向は引き続き高く、将来への蓄えや生活費のほか、レジャーのための貯金も増加

  1. 貯金の目的(11年以降は隔年調査)は「旅行などのレジャー」33.5%(男子26.9%・女子41.4%)、「将来への蓄え」32.1%(男子26.7%・女子38.5%)、「予備の生活費」29.9%(自宅生21.9%・下宿生36.7%)と続く。
  2. 「貯金をしていない」は全体で20.9%と、2009年にこの設問の調査を始めて以来最も低く、特に11年には3割(29.6%)が「貯金をしていな」かった下宿生は、13年26.5%→15年26.3%→17年23.0%にまで減少した。
  3. 貯金の目的は15年から「運転免許取得」、「大学納付金」、「特に目的はない」以外で増加するなど多岐にわたっており、貯金に対して前向きな傾向が見られる。

(6)暮らし向き

現在、今後の見通しともに、暮らし向きは最も楽観的な数値に

  1. 現在の暮らしを「楽」(「大変楽」+「楽な方」)と感じる学生は55.6%(自宅生58.2%・下宿生54.0%・寮生42.8%)と、前年から3.4ポイント増となり、経年で比較できる80年以降最も高くなった。「ふつう」35.1%(自宅生32.2%・下宿生37.5%・寮生40.4%)は前年から3.6ポイント減。「苦しい」(「苦しい方」+「大変苦しい方」)9.0%(自宅生9.3%・下宿生8.3%・寮生16.1%)は前年から0.1ポイント増と、「ふつう」から「楽」への移行が見られる。
  2. 今後の見通しは「よくなる」(「かなりよくなる」+「少しよくなる」)が18.6%(自宅生16.2%・下宿生20.8%)で前年から0.5ポイント増となり、今後の見通しについても80年以降最も明るいものとなった。
  3. 収入面の対策は「バイトの収入増加」53.5%(自宅生56.7%・下宿生50.8%)が最も高く、前年から2.8ポイント増。この3年間で8.5ポイント(自宅生9.8ポイント、下宿生7.4ポイント)増加している。

2.就職について

「内定している」は最高値であっても、「就職ができるか」の不安は引き続き存在
働き方に対するイメージの確立は女子が先行

(1)就職への意識(図表6・7)

4年生の「内定している」は2011年以降最高

※以下1から3は就職予定者を母数とした数字

  1. 就職に対しての不安を「感じる」は73.9%と7割以上が不安を感じているが、その中で最も多い「就職できるか(内定がもらえるか)」は全体の45.3%と多くを占める。文系3年生の「就職ができるか」は2009年には73.5%だったが17年は64.1%。2014年以降63%台から66%台を推移している。
  2. また文系4年生は「自分が仕事を続けられるか」28.8%や「職場の雰囲気」24.1%など将来の職場との相性への不安が目立ち、「就職できるか」は2013年から連続して減少している。
  3. 就きたい職業を「決めている」(「内定している」+「未内定だが決めている」+「だいたい決めている」)69.7%で、「内定している」は文系4年生が81.1%、理系4年生も79.6%と、文系、理系ともにこれまで(2011年から調査)で最も高い。

(2)働きやすい職場の条件(図表8〜10)

女子が望む条件は多く、特に時間的な条件への要求が高い

  1. 将来の職場に対して求める働きやすさの条件をあげてもらった。「生活するために必要な金銭的な保障がある」が73.2%と最も多く、「有給休暇がとりやすい」54.5%、「残業がない・少ない」52.9%と続く。
  2. 女子は「有給休暇」(男子52.3%・女子57.2%)、「生活スタイルに合わせ、勤務時間が柔軟に変えられる」(男子31.1%・女子38.0%)といった時間に関する条件が男子に比べ高いほか、「年齢や性別、障がいなどに関わらず活躍できる」(男子17.7%・女子40.9%)も高いことが目立つ。そのほか全般的に女子の要求が高い項目が多く、男子より女子の方が自身の働き方に対して具体的なイメージが確立されていると思われる。また「同一労働・同一賃金」についても全体で3.8%と低いものの、女子は4.3%と男子より0.9ポイント高い。
  3. 就職内定後の学生は「スキルアップができる」が全体平均より8.3ポイント高く、またアルバイト就労中の学生も非就労者と比較すると「スキルアップができる」を多くあげている。さらに学部別では医歯薬系の学生にも同じ傾向が見られ、職場に自己成長の場を期待する学生が多い。
  4. 学年別では3年生以上になると「勤務地が選べる」が上がる傾向がある。

3.日常生活について

勉強時間、読書時間が減少
政治への関心は高く、8割がネットや新聞でニュースを収集

(1)勉強時間(図表11〜15)

授業時間を除く予習復習などの勉強時間は前年から1日3.2分減。

  1. 授業時間を除く予習・復習・論文などの勉強(以下「大学の勉強」)時間は1日平均49.6分。文系32.2分、理系59.6分、医歯薬系72.8分と、学部による平均時間の差は大きい。全体平均は前年から3.2分減少し、文系は3年連続減少。文系はこの6年間で最も長かった14年から7.2分減少している。
  2. アルバイト就労者の大学の勉強時間や読書時間は非就労者より短い傾向があり、1日の差は文系12.8分、理系9.2分、医歯薬系21.5分。また文系では就労時間が長い学生ほど大学の勉強時間が短い傾向が見られる。
  3. また貸与型奨学金受給者は奨学金非受給者に比べ、週5時間以上働く層で勉強時間が長い傾向がある。

(2)読書時間・スマートフォン利用時間(図表16・17)

1日の読書時間「0」は53.1%と半数超。平均時間も短縮

  1. 1日の読書時間は平均23.6分(前年-0.8分)と3年連続減少となった。また1日の読書時間が「0」分の割合は53.1%(文系48.6%・理系54.5%・医歯薬系62.6%)と、前年から4.0ポイント増加し、5年間で18.6ポイント増となった。
  2. 読書時間が「0」分の割合は、アルバイト就労中の学生が54.5%と、アルバイトをしていない学生の49.4%を5.1ポイント、全体平均を1.4ポイント上回る。
  3. 1日の読書時間「0」の増加とともに、1分以上120分未満の構成比は減少しているが、「120分以上」は04年から4.5%〜7.5%を推移し、「0」が4割を超えた13年以降も5%以上を継続。長時間読書する層が引き続き存在することにより、有額平均(読む人の平均)は51.1分と、前年から2.5分伸長した。
  4. 1日のスマートフォン(スマホ)利用時間の平均は177.3分(男子174.4分・女子180.8分)。有額平均(利用する人の平均)178.8分(男子176.4分・女子181.5分)。利用時間「0分」(スマホを持たない、または利用しない)は0.8%(男子1.1%・女子0.4%)、とほぼ全員が利用している。
  5. 1日のスマホ平均時間は前年から15.8分増、有額平均も15.2分増加したが、3年間では平均13.7分増、有額平均7.5分増と平均時間の増加は大きくない。

※スマホ利用時間の1日の読書時間「0」への影響についての分析資料
「大学生の読書時間減少の要因を探る〜学生生活実態調査(2013-2017)データから〜(抜粋)」を文末に紹介

(3)社会・政治への関心(図表18〜21)

新聞・ネットのニュースからの情報取得は8割
日本の未来が「明るい」は3割。関心のある政治のテーマに違いも

  1. 国内外の政治の動向に関心が「ある」(「大いにある」+「まあある」)61.9%。女子(58.7%)より男子(64.6%)、理系(59.3%)より文系(66.5%)が高い傾向がある。関心が「ある」は16年に前年から6.6ポイント減となり、17年はプラス4.0ポイントと若干回復。背景には調査期間中に衆議院解散、総選挙が実施された影響も大きいと思われる。
  2. 新聞やネットでニュースを「みる」(「毎日みる」+「時々みる」)80.7%、「みない」(「あまりみない」+「全くみない」)18.6%と、全体の8割がニュースに触れている。特に政治の動向に関心が「ある」層はニュースを「みる」も93.4%と高く、関心が「ない」(「あまりない」+「全くない」)層の61.2%を大きく上回る。
  3. 日本の未来について明るいと「思う」(「とても思う」+「まあ思う」)は31.9%で、15年33.2%、16年26.9%と推移している。明るいと「思う」は男子(34.0%)に対し女子(29.6%)が低く、この傾向は3年間継続している。
  4. 現在関心を持っている政治に関するテーマとしては「雇用・労働環境」47.0%(男子45.2%・女子49.1%)が最も多くあげられ、「景気対策」41.3%(男子47.3%・女子34.1%)、「外交・安全保障」41.0%(男子44.2%・女子37.3%)、「年金や医療などの社会保障」40.3%(男子35.8%・女子45.6%)と続く。テーマごとの関心の高さには男女差が見られ、女子は「子育て支援・少子化対策」46.1%(男子26.9%)への関心も高い。
  5. 国内外の政治の動向に関心が「ある」層は関心があるテーマも多く、「外交・安全保障」「労働環境」「景気対策」には半数前後が関心を寄せている。中でも「外交・安全保障」は「政治の動向に関心がある」層が最も多くあげるテーマであるのに対し、関心が「ない」層は「環境政策」「財政再建」「災害対策」と並んで低い。新聞やネットでのニュース視聴の有無についても「外交・安全保障」への関心の程度は同じ傾向がある。
  6. 日本の未来が明るいと「思う」層は「景気対策」「労働環境」「外交・安全保障」、「思わない」層は「労働環境」「社会保障」「外交・安全保障」の順に高い。

<参考>

大学生の読書時間減少の要因を探る
学生生活実態調査(2013-2017)データから(抜粋)

同志社大学 学習支援・教育開発センター
浜島 幸司

[目次]
  1. 使用変数について
  2. 読書時間
  3. スマホ時間
  4. 勉強時間
  5. 読書時間とスマホ時間、勉強時間の相関
  6. どの層が「読む」のか
  7. まとめ

7 まとめ

7-1 読書時間にスマホ時間の影響は強くない

2013年〜2017年(5年度分)の個票データを用いて、読書時間減少の背景を探った。その結果をまとめると以下になる。

  1. 読書時間の平均は減少しているが、顕著なのは「0分」層の増加であった。
  2. 「0分以上」、つまり読書をする習慣がある学生の平均は減少傾向にはない。
  3. 属性別にみても、「0分」層は女性、理系および医歯薬系、下級学年(1-2年生)、学生生活の比重が「勉強第一」以外の学生であることが確認された。

 とりわけ、スマホ時間と読書との関連性に注目した。加えて、読書と関わりのある勉強時間についても分析した。その結果をまとめると以下になる。

  1. 調査年ごとの読書・スマホ・勉強時間の推移を算出し、読書との関係の有無をみたところ、読書時間減少にはスマホ時間による直接的な強い効果はみられない(効果があるといってもきわめて弱い)。
  2. 読書時間と勉強時間も直接的な強い効果はみられないが、スマホ時間より強い。
  3. 読書をする(日々の習慣を持つ)学生は誰なのかという問いを用意し、モデルを作成し、多変量解析(ロジスティック回帰分析)をしたところ、すべての時間変数よりも属性の効果が大きいことがわかった。
  4. スマホ以上に、読書習慣が減った要因には時点(時代)の効果が大きい。もちろん、属性による効果もある。5年分のデータ分析という但し書きをつけておくが、2014年を頂点として読書習慣のある学生は年々減ってきており、1年ごとに読まなくなってきていることが確認された。
  5. スマホ利用が読書を減少させたという説は支持されない。むしろ、最近の大学生の高校までの読書習慣が全体的に下がっていることの影響が大きい。

 読書に対し、スマホの直接的な効果が弱いことは確認できた。2013年度より、読書をする学生、しない学生の属性に大きな違いがないことも確認できた。さらに時点(時代)の影響が大きいことも確認できた。しかし、膨大なデータをより詳細に検討する必要は残されている。例えば、他の活動時間とのトレード、関係項目(部・サークル、アルバイト)の分析はしていない。スマホの直接効果は支持しないものの、スマホは学生生活全体に影響を及ぼすツールであることは無視できない。読書時間を減少させる間接的な効果は十分、検討されるべき課題であると付記しておきたい。