第57回学生生活実態調査 概要報告

全国大学生活協同組合連合会
※データの無断転載はお断りいたします。

2022年3月1日

はじめに 調査概要とサンプル特性について

<調査概要>

調査実施時期
2021年10~11月(1963年より毎年秋に実施 ※未実施年あり)
対象
全国の国公立および私立大学の学部学生
回収
10,813(30大学 回収率31.4%)
調査方法
Web調査(郵送またはメールで調査依頼し、Web上の画面から回答)
調査項目の概要
収入・支出、奨学金、アルバイト、登校日数、オンライン授業状況、サークル所属、
就職活動、学生生活充実度、勉強時間、読書時間など

<サンプル特性>

  1. 第57回学生生活実態調査は97生協が参加、22,481名から協力を得た。ただしここで紹介する数値は、地域・大学設置者・大学の規模などの構成比を考慮し、経年の変化をより正確にみるために指定した30大学生協(国立19・公立3・私立8)の10,813名のデータである。
  2. 前回と比較して専攻の構成比に差異がなく、経年の比較にも耐えうる調査である。
  3. 前回と比較すると男性の構成比が0.6ポイント増、女性は0.6ポイント減となった。
  4. 専攻別の男女の構成比は、文科系4.5:5.2、理工系7.0:2.7、医歯薬系3.5:6.1となっている。
  5. 自宅生と自宅外生の構成比は、1991年以降初めて自宅生が過半数となった。

今回調査結果の特徴

  1. 新型コロナウイルス感染症拡大後2回目の調査で、コロナ禍1年目・2年目の生活や意識の変化がデータに現れている。
  2. 2020年調査に比べ「学生生活充実度」「サークル加入」等各種数値が回復したものの、2019年調査(コロナ以前)の水準までは戻っていない。
  3. 学年別に見ると、「コロナ禍の学生生活」を大学生がどう受け止めているかについて意識の違いがみられる。
  4. とりわけコロナ禍直後に入学した2年生(2020年4月入学者)は、他の学年に比べて大学生活の充実度が低いなど、懸念されるデータとなっている。

本調査は2022年1月31日に速報版を公開している。
https://www.univcoop.or.jp/press/life/pdf/pdf_report57_pre.pdf

この報告と合わせてご覧いただきたい。速報版では、調査の自由記入欄に寄せられた学生の様々な声も掲載しており、実態が伝わってくる。

速報版(2022年1月31日公開)の報告要点

  1. 学生生活の充実度(「充実している」+「まあ充実している」)は、全体では前回(20年秋)より回復した。1年生は80.6%に回復したが、2年生以上は2年連続減少。現2年生は前年の1年生時56.5%より70.8%に回復した。
  2. 1週間の登校日数はやや回復したが、「0日」がまだ13.5%。2年生の平均日数は2.9日で1年生より0.3日少ない。
  3. 授業形態は対面授業が増えているが、「オンラインが多い」が半数。オンライン授業が多いほど学生生活充実度は低い。
  4. 1年生のサークル所属率はかなり回復しているが、19年水準に戻っていない。2年生の「所属したことがない・今後も入らない」が他学年より多い。サークルに所属している層は、学生生活充実度が比較的高い。
  5. アルバイト就労率・収入額は回復しているが、19年より低い。
  6. 19年の食事摂取率と比べて、朝食は減り、朝昼兼用食が増加。
  7. 日常生活で気にかかっていることは、「勉学」「就職」「対人関係」が増えている。

本報告についてのお問い合わせは以下にお願いいたします

〒166-8532
東京都杉並区和田3-30-22
全国大学生活協同組合連合会
広報調査部 安田、関原

電話:03-5307-1111 
E-mail:

1.学生の経済状況

(1)自宅生の生活費(図表1)

「アルバイト収入」「教養娯楽費支出」は20年より回復するも19年には届かず
「食費支出」は3年連続減少/「勉学費支出」は2年連続増加

  1. 自宅生の「収入合計」は63,630円。前年から810円増加したが、19年からは3,850円少ない。
  2. 費目別では「アルバイト」が39,860円で前年から2,180円増加、19年からは1,370円少ない。「アルバイト」の収入構成比は62.6%で前年から2.6ポイント増加、70年以降最大となった。
  3. 「支出合計」は62,970円。前年から840円増加。
  4. 費目別では「食費」10,540円(前年▲130円)が19年から3年連続減少し、「食費」の支出構成比は16.7%と、70年以降最小だった前年より更に0.5ポイント減少した。
  5. 「教養娯楽費」11,940円は前年から1,190円増加、19年より1,050円少ない。
  6. 「貯金・繰越」18,850円は前年から760円減少したが、支出構成比では29.9%を占める。

(2)下宿生の生活費(図表2・3)

「仕送り・アルバイト収入」「食費・交通費・教養娯楽費支出」は20年より回復するも19年には届かず
「貯金・繰越」が最大値/コロナ前に比べ「収入減だが支出も減少し、貯蓄・繰越が増加」という構造か

  1. 下宿生の「収入合計」は125,280円。前年から3,030円増加したが、19年からは4,580円少ない。
  2. 費目別では「仕送り」が71,880円で前年から1,470円増加(19年▲930円)したものの、仕送り「0円」の下宿生は全体の7.5%(前年▲1.1ポイント)、「5~10万円未満」34.3%(前年+1.7ポイント)。引き続き、仕送り状況の厳しさがうかがえる。
  3. 「アルバイト」29,130円は前年から2,770円増加したが、19年からは4,470円少ない。収入構成比は23.3%で、前年から1.7ポイント増加した。
  4. 「奨学金」20,380円(前年▲750円・19年▲520円)。下宿生の奨学金受給者は、収入の45.2%を奨学金が占めており、「仕送り」は非受給者より47,490円少ない。
  5. 「支出合計」は125,040円(前年+3,860円・19年▲4,050円)。
  6. 費目別では「食費」の24,680円(前年+110円・19年▲1,710円)は、支出構成比が19.7%となり13年以降保っていた20%を下回った。
  7. 「教養娯楽費」11,760円(前年+770円・19年▲1,110円)。
  8. 「貯金・繰越」14,300円(前年+1,310円・19年+830円)の支出構成比は11.4%、17年と並び70年以降最大値。

(3)奨学金(図表4~5)

奨学金受給者は30.3%
「貸与型」と「給付型」の比率は2:1程度/「給付型」奨学金の受給者は徐々に増加
「貸与型」奨学金受給者の70.6%が返還に不安を感じている

  1. 何らかの奨学金を「受給している」は30.3%(前年▲1.8ポイント)。貸与型奨学金の受給者が減少傾向で、理工系(同▲3.4ポイント)と1年生(同▲4.6ポイント)の減少が目立つ。
  2. 受給者の受給平均金額(有額平均)は56,380円で、前年より490円減少した。
  3. 給付型奨学金の受給者は10.0%と0.4ポイント増加。貸与型受給者は22.1%で、給付型受給者の約2倍となっている。
  4. 将来奨学金を返還することに不安を「常に感じている」+「時々感じている」は貸与型奨学金受給者の70.6%(前年▲2.8ポイント)を占めている(奨学金受給者を100として)。

(4)アルバイト(図表6~8)

就労率・収入額ともに20年より回復傾向だが19年には及ばず
収入使途はコロナ前に比べ「レジャー」「サークル」費用が減少し、「生活費」「貯金」へ

  1. 半年間(21年4~9月)のアルバイト就労率は77.6%(前年+5.2ポイント・19年▲6.3ポイント)。現在(21年10~11月)の就労率は70.9%(前年+4.4ポイント・19年▲4.9ポイント)と、前年より回復傾向にあるがコロナ禍前には戻っていない。
  2. 現在(21年10~11月)のアルバイト就労率は、1年生で大きく回復している(1年生前年+10.3・2年生同+1.6・3年生同+0.1・4年生同+4.0ポイント)。
  3. 1週間の勤務時間は、「10時間未満」25.8%(前年+2.1・19年+1.4ポイント)、「10~20時間未満」31.4%(同+3.2・▲1.6ポイント)、「20時間以上」10.2%(同▲0.4・▲3.8ポイント)と10時間未満の短時間勤務が増加している(「10時間未満」1年生前年+7.1・2年生同+0.5・3年生同▲1.7・4年生同+1.7ポイント)。
  4. 半年間にアルバイトした人の収入(有額平均)は263,000円。前年から13,000円増加したが、19年より11,000円少ない。1年生は前年から6,000円減少した。
  5. 半年間のアルバイト収入が「大きく減少した」+「減少した」は28.9%、「変わらない」55.9%、「増加した」+「大きく増加した」が13.8%となった(「アルバイトをした」を100として)。
  6. 半年間のアルバイト収入の使途は、「貯金」33.1%(前年▲1.2・19年+15.0ポイント)、「生活費のゆとり」29.5%(同+0.4・+3.3ポイント)、「生活費の維持」25.4%(同▲2.9・▲1.1ポイント)と、4人に一人が「生活費」、3人に一人が「貯金」としている。「旅行・レジャー費用」22.8%(同+2.4・▲12.0ポイント)と「サークル費用」12.5%(同+1.5・▲14.7ポイント)は増加したが、19年には大きく及ばない(「アルバイトをした」を100として)。

(5)半年間の特別費(図表9)

「海外旅行」は見通し立たず、「国内旅行」は復活の兆し
「就活」費用はコロナ前に比べて大幅減少傾向、オンライン就活の普及のためか
お金をかけているのは「各種スクール」「衣料品」

  1. 21年4~9月に特別な費用を支出した人の平均金額(有額平均)は173,600円で前年から900円増加したが、19年より34,300円減少している。
  2. 実施率が増加した費目は、「合宿代」17.1%(前年+5.9・19年▲17.9ポイント)、「国内旅行」34.3%(同+5.0・▲10.3ポイント)、「帰省代」28.4%(同+2.6・▲6.8ポイント)。学生の行動が少しずつ再開されたことがうかがえる。
  3. また「各種スクール(資格などの講座やスクール)」10.3%(前年+1.9・19年+6.5ポイント)、「耐久消費財や高額商品の購入(パソコン・情報機器関連・スマホなど)」22.3%(同▲1.3・+6.6ポイント)は、19年と比べて増加が大きい。
  4. 前年に続き「海外旅行」「留学」の実施は1%に満たない。
  5. 自己負担額は71,600円と前年から5,400円増、自己負担率も45.5%と前年から2.7ポイント増加した。

(6)暮らし向き(図表10~12)

コロナ禍においても、学生自身の暮らし向きに対する受け止めは大きく変化せず
主な家計支持者の収入は厳しさが続いている

  1. 暮らし向きが「楽な方」(「大変楽な方」+「楽な方」)は63.0%で5年連続増加した。
  2. これから先の見通しは「変わらない」50.1%、「よくなりそう」(「かなりよくなりそう」+「少しはよくなりそう」)19.8%、「苦しくなりそう」(「少し苦しくなりそう」+「かなり苦しくなりそう」)20.2%と、好転と悪化の見通しがほぼ同率となった。
  3. 2年生は、暮らし向きが「楽な方」61.3%(1年生62.4%・3年生64.1%・4年生64.3%)、今後の見通しが「よくなりそう」15.5%(1年生21.1%・3年生18.6%・4年生23.7%)と、他学年に比べ楽観的ではない。
  4. 暮らし向きが「苦しくなりそう」な人の収入対策は、「収入が減っても我慢する」19.0%、「奨学金を申請する」14.3%、「アルバイトを増やす」46.0%で、「楽な方」(それぞれ10.6%・4.9%・47.8%)と対策意識に違いがある(それぞれの暮らし向きを100として)。
  5. 主な家計支持者の収入が「減少した」は14.0%(前年18.9%)と家計の困難は続いている。
  6. 節約・工夫したい支出費目の中で最も多い「外食費を含む食費」58.5%は、前年より0.8ポイント増加。
  7. 増やしたい支出費目は、「貯金」33.0%(前年+0.8ポイント)、「衣料品代」20.1%(同+0.1ポイント)、「教養娯楽費」16.6%(同+0.6ポイント)、「勉学費」15.3%(同+0.4ポイント)と前年とほぼ変化がない。

2.大学生活・学生の意識

(1)登校日数、対面・オンライン授業の状況(図表13~14)

登校日数は大学・学部によって大きな差
授業形態は対面授業が増えているが「対面よりオンラインが多い」回答が優勢
対面授業とオンライン授業の連続に苦慮する学生が多い
(速報版5~7pの自由記述欄参照)

  1. 最近1週間の登校日数の平均は、2.8日と前年から0.8日増えたが、19年4.4日の6割強にとどまっている。新型コロナウイルス感染症拡大の地域差があったことに加えて、大学の対応の違いによる登校日数の差が大きい。調査した全国97大学生協の中で、平均登校日数が4.7日と最も多いA大学では、登校「0日」1.0%・「5日」55.1%に対し、平均が0.4日と最も少ないD大学では、登校「0日」75.8%・「5日」0%となっている。
  2. 学部による違いも大きく、「5日」(19.4%・前年+7.5ポイント)登校した割合は、文科系12.0%・理工系24.4%・医歯薬系35.1%となっている。
  3. 調査時(21年10~11月)の「最近1週間の授業形態」は、「すべて対面授業」11.7%、「すべてオンライン授業」11.9%となっている。「すべて対面授業」は4年生の19.7%に比べて、1年生5.7%、2年生9.1%と低学年に少ない。「オンライン授業が多い」(「すべてオンライン授業」+「対面授業とオンライン授業がありオンライン授業が多い」)47.3%(前年72.8%)は、1年生50.5%(同82.0%)・2年生54.1%(同79.5%)・3年生53.0%(同73.8%)・4年生32.1%(同51.5%)と2年生が多くなっている
  4. 平日1日の授業形態別の授業時間は、「対面授業」1.8時間(前年+0.6時間)、「オンライン授業」2.0時間(同▲0.6時間)。オンライン授業時間が授業時間の54.1%(同▲14.3ポイント)を占めている。

(2)学生生活の充実度と大学生活の重点(図表15~18)

「学生生活充実度」は1年生が急速に回復するも、2年生以上は前年に続き減少
現2年生の「充実度」は20年56.5%→21年70.8%と推移
サークルへの加入状況は1年生が回復傾向、2年生にあきらめと希望が混在
(速報版8pの自由記述欄参照)

  1. 学生生活が「充実している」(「充実している」+「まあ充実している」)は78.6%と前年から4.4ポイント増加したが、19年88.8%には届いていない。特に1年生の80.6%(前年+24.1ポイント)に対して、2年生は70.8%(同▲6.3ポイント)にとどまった。上級生の前年からの推移は、現2年生(前年1年時56.5%→現70.8%)・現3年生(前年2年時77.1%→現78.9%)・現4年生(前年3年時81.5%→現84.5%)と増加しているが、いずれも19年には届いていない(19年1年生89.4%・2年生88.0%・3年生87.7%・4年生90.1%)。
  2. 授業形態別の「充実している」は、どの形態においても2年生は低い傾向にある。「すべてオンライン授業」は、1年生68.5%・2年生55.0%・3年生65.8%・4年生77.8%と、2年生の「充実している」が特に低い。(それぞれの授業形態を100として)
  3. 大学生活で現在最も重点をおいていることは、「勉学や研究」32.7%、「よき友を得たり、豊かな人間関係を結ぶこと」16.2%、「部活動・サークル・同好会活動」14.1%と続く。19年から「部活動…」は▲4.3(1年生▲5.8・2年生▲5.2・3年生▲3.3・4年生▲2.0)ポイント減少し、「よき友…」は+1.3(1年生+2.6・2年生+2.0)ポイント増加している。
  4. サークル・部活動等への加入・所属は59.9%(前年+3.0・19年▲8.2ポイント)。1年生は72.6%(前年+23.9ポイント)と増加したが、19年より10.2ポイント少ない。また、2年生は12.0ポイント少ない。
  5. 2年生の「所属したことがない・今後も入らない」25.3%(前年+12.8・19年+14.5ポイント)が突出している一方、「現在所属していないが今後入るつもり」4.1%(同+2.8・+3.4ポイント)と、今後への希望がある。

(3)就職について(図表19)

就職に対する不安はやや減少するも、引き続きコロナ前よりも高い水準
インターンシップ経験はコロナ前にほぼ回復

  1. 就職に「不安を感じている」(「とても感じている」+「感じている」)は73.5%(前年▲1.0ポイント)。これから本格的に就職活動を行う2年生80.4%・3年生81.7%の不安は大きい。
  2. 特に就職予定者の「不安を感じている」を100として「就職ができるか」70.0%は、2年生79.8%(19年70.6%→20年81.6%)・3年生82.8%(同73.1%→85.6%)でコロナ禍以前より就職への不安が高まっている。
  3. 調査時期(21年10~11月)に就職予定者を100とした内定者は4年生72.4%(前年+2.4ポイント)。文科系4年生81.9%(同+3.2ポイント)、理工系4年生78.7%(同▲0.7ポイント)。
  4. 就職先を決めるにあたって重視する(した)条件は、「収入面の待遇」「職種」「やりがい」と続く。
  5. この1年間で企業や団体が実施しているインターンシップへの参加は、21.5%で前年より2.6ポイント増加。特に3年生の就職予定者を100として54.7%(前年+9.1ポイント)となり、19年(55.7%)のレベルまでほぼ回復した。インターンシップの募集や参加形態の変化が進んでいることがうかがえる。
  6. インターンシップへの参加目的は、就職予定者を100として「関心がある企業や業界を知るため」20.1%、「多くの企業や業界を知るため」13.7%となっている。

(4)政治・社会への関心(図表20)

政府の新型コロナウイルス感染症対策は「評価できない」が増加

  1. 国内外の政治の動向に関心が「ある」(「大いにある」+「まあある」)59.0%と、前年より2.7ポイント減少した。関心が「ある」は、女性55.3%に対して男性が61.8%、理工系54.9%・医歯薬系47.5%に対して文科系が64.9%と高い。
  2. 政府の新型コロナウイルス感染症対策を「あまり評価できない」+「評価できない」46.7%は、「大いに評価できる」+「評価できる」34.5%を上回っている。
  3. 日本の未来は明るいと「とても思う」+「まあ思う」33.2%(前年+1.5ポイント)、「あまり思わない」+「全く思わない」66.9%(同▲1.4ポイント)。調査を始めた15年から未来を明るいと「思わない」は7割前後を推移している。

(5)SDGsについて(図表21~23)

SDGsの認知が97.1%
「ジェンダー平等」への関心は性別による違いが大きい

  1. SDGsの「名称も内容も知っている」+「内容は知らないが名称は聞いたことがある」は、前年から9.9ポイント増加し97.1%となった。特に「名称も内容も知っている」は前年から20.2ポイント増加して83.0%。
  2. 17の目標のうち関心が高いものは、「質の高い教育をみんなに」38.4%(文科系40.2%・理工系35.9%・医歯薬系37.8%)、「ジェンダー平等を実現しよう」36.8%、「貧困をなくそう」33.9%(男性29.6%・女性39.7%)、「すべての人に健康と福祉を」33.8%(文科系33.7%・理工系28.5%・医歯薬系48.1%)と続く。
  3. 関心の高さは男女による違いがあり、「ジェンダー平等を実現しよう」は、男性24.1%・女性52.0%と特に差が大きい。

3.日常生活

(1)日常生活の中で日頃悩んでいることや気にかかっていること(図表24~26)

「授業・レポート」「コロナ対応」への悩みは20年に比べ減少
学生生活充実度により悩みの中身が異なる傾向が鮮明/「コロナ禍での学生生活」の受け止めが背景に
「友だちができない」悩みを持つ2年生は大幅増

  1. 日常生活の中で日頃悩んでいることや気にかかっていることは、「授業・レポート等勉学上のこと」47.2%(前年▲4.5・19年+6.2ポイント)、「就職のこと」42.7%(同±0・+6.0ポイント)、「生活費やお金のこと」40.0%(同±0・▲3.1ポイント)と続く。「授業…」や「新型コロナウイルスへの対応に関わること」11.3%(前年▲4.6ポイント)は前年より減少し、授業形態の変化や新型コロナウイルス感染症への対応が進んでいることがうかがえる。
  2. 学生生活が「充実している」人で気にかかっていることは、1年生「恋愛のこと」20.7%(前年+5.2ポイント)、2年生「友だちができない・対人関係がうまくいかない」15.0%(同+5.5ポイント)。「時間が足りないこと」は、3年生25.2%(同+2.7ポイント)・4年生25.2%(同+4.5ポイント)で増加が大きい(「充実している」+「まあ充実している」を100として)。
  3. 「充実している」人と「充実していない」人とでは、気にかかっていることに大きな違いがある。2年生で「友だちができない…」(充実している15.0%・充実していない49.6%)、「生きがいや夢中になれることが見つからないこと」(同19.5%・44.0%)、「心身の不調・病気など健康のこと」(同8.2%・16.1%)となっている(「充実している」+「まあ充実している」・「充実していない」+「あまり充実していない」をそれぞれ100として)。
  4. 悩んでいることを相談する相手が「いる」は83.0%(前年+1.3ポイント)、「いない」が17.0%。最も相談しやすい相手は「友人」39.6%(同▲0.1ポイント)、「親」26.3%(同+0.5ポイント)。「親」は、1年生28.1%(同▲1.2ポイント)・2年生27.5%(同+2.4ポイント)・3年生24.0%(同▲0.3ポイント)・4年生25.4%(同+1.9ポイント)と2・4年生で増加している。

(2)大学入学後のトラブル遭遇(図表27)

少なくない大学生が消費者トラブルに遭遇
とりわけ一人暮らしの学生に多い傾向

  1. 「大学入学後に遭遇したトラブル」(複数回答)のうちいわゆる消費者トラブルが、30大学回答者10,813人の中で600件近く発生しており、かなりの件数となっている。
    図表27の1~5、すなわち「訪問販売契約」「キャッチセールス」「ネット上での詐欺的金銭トラブル」「振り込め詐欺」「マルチ商法」の合計は5.5%で、約600件となる。
  2. 「訪問販売契約によるトラブル」は下宿生では4.9%、240件にも上る。下宿生は、自宅生より消費者トラブルのリスクが高い傾向にある。
  3. 個人情報流出やSNSのやり取りでのトラブルも少なくない。
  4. 22年4月からの成年年齢引き下げによりさらに拡大する可能性もあり、今後はより一層の注意喚起が求められる。

(3)利用するメディア・信頼するメディア(図表28)

インターネット上でのメディア利用増

  1. 政治や社会の情報を入手する際に利用するメディア(複数選択可)は、「テレビ」59.5%、「まとめサイト」50.7%、「Twitter」49.5%。その中で最も信頼がおけるメディア(単一選択)は、「テレビ」34.0%、「まとめサイト」17.6%、「新聞」13.0%。
  2. 政治への関心の有無で利用の差が大きいメディアは、「新聞」(関心あり25.0%・関心なし9.0%)、「まとめサイト」(同55.3%・44.0%)。信頼の差が大きいメディアは「新聞」(同17.6%・6.4%)となった(政治への関心の有無それぞれを100として)。

(4)食事(図表29)

コロナ前に比べ食生活の変化の傾向が鮮明に~「1日2回」飲食の増加/自宅での喫食機会の増加

  1. 食事の摂取率は、朝食(9時までの食事)61.1%(前年+2.3・19年▲6.5ポイント)、朝昼兼用食(9~11時の食事)24.9%(同▲2.0・+3.8ポイント)。朝食の摂取率がやや回復した。
  2. 朝昼兼用食をとっている人の81.9%は自宅で食事をしており(前年▲4.3・19年+21.7ポイント)、この時間には大学にいないことになる(食事した人を100として)。
  3. この調査では食事時間帯を、朝食(~9時)・朝昼兼用食(9~11時)・昼食(11~14時)・中間食(14~17時)・夕食(17~21時)・深夜食(21時以降)としている。朝昼兼用食の摂取率から、コロナ禍以降に学生の生活習慣が変化し、登校時間が遅くなり午前は自宅にいることが増えたことが読み取れる。
  4. 1日の飲食回数は、3回53.8%(自宅生58.1%・自宅外生49.3%)、2回25.5%(自宅生20.0%・自宅外生31.2%)。1日2回の飲食は、19年までは5人に一人だったが、20年以降は4人に一人となっている。

(5)読書時間・勉強時間(図表30~31)

1日の読書時間「0分」が再び増加
大学の予習復習などの勉強時間が増加

  1. 1日の読書時間(電子書籍も含む)「0分」は50.5%で、前年から3.3ポイント増加した。
  2. 1日の読書時間の平均は28.4分(前年▲3.7分)、読んだ人の平均は58.9分と前年より4.1分短くなった。
  3. 1日の読書時間が「30分~60分未満」11.4%(前年▲1.0ポイント)、「60分~120分未満」18.6%(同▲0.8ポイント)、「120分以上」7.2%(同▲1.4ポイント)と30分以上の分布で減少した。
  4. 1日の「授業時間(対面授業+オンライン授業)」+「大学の勉強(予習や復習など)」+「大学以外の勉強(就職に関することや関心事など)」の「総勉強時間」は、324.7分で3.6分増加した。「大学の勉強時間」70.7分(前年+7.7分)、「大学以外の勉強時間」32.9分(同+4.0分)とも増加している。
  5. 学年別でみた1日の「大学の勉強時間」は、1年生66.8分(前年+0.6分)、2年生72.9分(同+8.6分)、3年生64.0分(同+7.3分)、4年生78.3分(同+14.4分)。1日の「総勉強時間」は、1年生351.9分(前年▲0.3分)、2年生368.3分(同+8.2分)、3年生352.8分(同+10.3分)、4年生227.1分(同+16.0分)と、高学年の増加が大きい。