未来 リナ 氏インタビュー “Romanticize your life.” ~あなたの人生をポジティブでハッピーにするために~

日々悩みを抱える大学生に

human doingではなくて、human being

大学生は日々悩みを抱えているという話が冒頭にありましたが、大学生が自分と向き合ってさまざまなことに挑戦する勇気を持つためには、どうすればいいか教えてください。

英語で表すとすごく分かりやすいのですが、私たちってhuman doingではなくて、human beingって言いますよね。日本語に訳すと、「何かをしている人間」ではなくて、「存在している人間」。大学生の方々がいろいろなプレッシャーを感じたときに、それを思い出してほしいです。
自然の中では、鳥が飛んでいたり虫がいたり、カモが湖に浮いていたりします。彼らって、ただ自分の人生を生きているだけで、私たちはカモに対して、「なんで湖で寝ているの?」とか、「なんで草を食べているの?」とか言いませんよね。私たち人間も同じで、肉体を持ってこの地球上に存在しているだけで奇跡だし、もう十分頑張っているのだということ、それをまずベースとして頭に入れておくことが大切かなと思います。

「ソウルノート」に向き合う

何かするときに勇気を持てないということに対しては、これは私が個人的にやってきたことでお勧めなのですが、「ソウルノート」。文字にして書き出してみると、自分の頭の中で考えているのとは違って、考えを整理できると思います。
なんで私がソウルノートと呼ぶかというと、自分の魂をノートに反射させるからなんです。何をしたらいいのか分からないというときには、まず、本当は何をしたくないのかというところから始めると分かりやすいと思います。「当たり前になっているからやっているけれど、実はやりたくないことって何だろう」と消去法で自分に問いかけてみる。そうすると、必要だと思い込んでいるだけで、実は必要じゃないことっていっぱいあるのですよね。
最初はそれこそ勇気を出して本音を全部書き出してみる。それが自分の中で整理できたら、次はもう何をやってもいい世界。この人生を生きられるのは自分だけ、この物語を生きるのは自分だけ。そう、どういう物語にしてもいい、どんなシーンを自分の人生に増やしてもいいんですよ。

だから、他人目線の成功とか評価とか、こうするべき・こうしないべきを、一回全部忘れる。自分が自分を好きでいられないと何も決まらないから、どんなことをしているときの自分が最も自分のことが好きで、自分を認められて幸せで、心地よくて健康でいられるか。それを何でもいいので自由に書き出すと、見えてくるものってあると思うんですよね。

選択肢がたくさんあって、あれもこれもやってみたいというときは、とりあえず何かを選んでやってみる。それに対しては中途半端な想いじゃなくて、もうフルで自分の心を費やしてコミットしてみる。そうすると、やっていくうちに自分の気持ちや気付きが見えてきます。意外と「これ好きかも」と気付くかもしれないし、「やっぱり違ったな」と思ったら消去して次に移ればいいと思います。

ありがとうございます。私自身、時間に追われて余裕がなくなってしまうときもあるので、やはりまずはどんな自分が好きなのかというところに立ち返って考えてみようと思います。

セルフカウンセリングでヒーリング

未来さんはないかもしれませんが、なかなか自信を持っていなかったとき、ネガティブになってしまうときに気持ちを切り替える方法はありますか。

信じられないくらいたくさんありますよ(笑)。そういとき人間って、その感情と向き合わないで済むように気晴らしをする。それは必ずしも悪いことではないと思います。気分転換って本当に必要な時もあると思いますから。でも、ちゃんと向き合っていないと、何度も同じようなネガティブな思考が繰り返されると思うんですね。

根本的な所が癒されず、常に絆創膏を貼っているだけでは、なぜ血が流れるのか分からない。それじゃ意味ないですよね。まず血が出ている原因に向き合ってみる。私がそういう時に必ずするようにしているのは、やっぱりソウルノートに戻ることなんです。
何でこの思考が何回もやって来るのか、なんで今こんなに気持ちが沈んでいるのか、なんで自分のネガティブトークが始まったのか、とその時の自分の状況を自分に説明する。で、それを私はセルフカウンセリングと呼んでいますが、自問自答してどんどん掘り下げていくんですね。そうすると、その時には目には見えていなかったけれど、実はこれがきっかけだったかもとか、あの時のあの出来事かもとか、もしくは幼少期の頃のトラウマとか、実は育てられた時のあの習慣とか、お母さんのあの言葉だったり、私の中にいろいろ眠っていることが見つかるんですよ。

じゃあこれを癒すためには、今何が必要だと思う? 逆に何を手放すと楽になるかな? 何を変えたらいいかな? というのを自分に質問してヒーリングしていく。で、その後に気分転換したり人に話してみたりして、ちょっと別の前向きな捉え方、価値観を聞いてみるとかアドバイスをもらうとか、そういうことを個人的にはしています。

SNSをデトックスすることも

さまざまな活動の中で、今の大学生の悩みの多くの部分は、どのようなところが多いのかと感じますか。

私自身の経験からも、SNSの影響ってすごく大きいと思います。私の摂食障害を公表するきっかけになったことも、SNSでポジティブな影響を受けてのことです。でもやっぱりポジティブなだけじゃなくて、本当に今の時代ってほとんどの人がSNSのアカウントを持っていて、何かと見ている。YouTubeなんて情報があふれていて、もうカオスの状態ですよね。

あまりの情報の多さで、それは脳にとって本当にストレスでしかないと思います。私たちはSNSに触れている時間が長ければ長いほど、自分はどう感じているんだろうと考えなくなったり、自分が大切にしたいことや自分のポリシーからあまりにもかけ離れてしまったりすることがあると思います。私自身も主にオンラインで発信をしているので、やはりSNSって欠かせない発信のツールではあるのですが、やはり見てくれる人にとっても私にとってもヘルシーなツールであってほしいと思っています。

私は、Instagramは1日30分のタイマーを付けていて、30分を超えたらそれ以上はもう見ません。日常生活の中でも本当にインスタを開くときは、自分がポジティブな何かを発信したいときだけ。私がフォローしている人も少なくて、本当に自分がポジティブなインスピレーションを得られる、成長につながるヒントとか心の栄養になるものを発信している人だけをフォローするようにしています。どうしてもフォローしなくてはいけない人がいたら、タイムラインをスクロールしてストーリーを見たりすることはしないで、本当に見たいものだけを見ると自分で決めて自分で守ります。週に1、2回は1日丸々ログアウトして、時々1週間ログアウトすることもあります。去年も4カ月間ログアウトしていた時期があり、その間は自分のことだけに集中しました。それは、本当に今だからこそ大切なことなんじゃないかと思います。

大学生は暇があればスマホを見ちゃうと思うのですが、それがいい面もあればマイナスの影響を受けてしまうこともあると思うので、デジタルデトックスとまでは言わないまでも、うまく自分で制御していくのは、より豊かな生活に必要なことかもしれないと思いました。

自分を好きでいられるコツ

大学生が自分を好きになって、人生を楽しく生きていくためには、どういうマインドを持てばいいのでしょうか。

“Romanticize your life.” これは私が大好きな言葉で、「自分の人生をもっとロマンチックにしてみて」という意味です。ちょっと皆さん考えてください。自分の中でどんなイメージが浮かびますか。恋愛につながっていてもOKです。それこそソウルノートに「自分にとってロマンチックって何だろう?」と書き出してみませんか。

例えば、「自分にとって一番ロマンチックでワクワクするデートプランって何だろう?」と書き出してみる。パートナーがいなければ、自分自身とデートする。私が好きなデートプランは、公園に行って芝生の上でピクニックして、手作りのサンドイッチを食べながら本を読む、瞑想する、散歩する。もしくは夜ちょっとアロマをたいて、オレンジのリラックスしたライトで好きな映画を観る。ディナーを食べながら映画を見るとかですね。
そういった、想像するだけで自分がワクワクするようなプランってきっとたくさんあると思います。何か特別な日じゃなくても、それがたとえ1日の中で数十分であったとしても、日常生活に取り入れられることはあると思うので、それをちょっと自分の中で書き出してみて取り入れる。これ、本当に結構充実します。

疲れている大学生、社会人にも、そういった視点でアプローチをしていくといいのかなと思いました。

今私もロマンチックなことって何だろうな、と考えてみましたが、それだけで楽しくて、自然に笑顔になっちゃいました。誰かと一緒じゃないとできないと思っていたことを、自分でやってみればいいんですね。そうした一人ひとりの“Romanticize”が自分を豊かにできればいいなと思いました。

若者世代へのメッセージ

今の若者世代、大学生世代に向けてメッセージを、未来さんから頂きたいと思います。

今の話につなげて、自分と毎日デートする感覚で生きてほしいな、と思います。枠から外れて、朝カフェに行ってもいいし、朝ヨガしてもいいし、いつもだったら作らないようなスペシャルな朝食を自分のために作ってもいい。
今日は「大学生は時間がない」というワードを何回も聞きましたが、時間は作るもの。学生さんも時間を作って、過ごし方は自分で決めていいと思うんです。いつもは朝パタパタ急いでパンかじって行くんだったら、今日は少し早めに起きてパンケーキを焼いてみよう。そんな小さな意識で、自分の人生をロマンチックにハッピーにしてほしいなと思います。

最後に私自身の生活で最近感じたことをお話しします。自分の中で、この人とは価値観が違うなとか趣味や話すことの内容が違うなと感じて、話す必要も会う必要もないと思っているような人って、誰でも日常生活の中でいると思います。でも、自分とは違った価値観を持っている人とも話してみると、必ずその人から学べる新しい発見、新しい価値観、新しい視点が得られるので、なるべく特定の人とばかりじゃなくて、違ったジャンルの人、違った価値観を持った人と会ってお話ししてみてください。年齢や職業が違ってもその人たちから学べることを最大限に生かしてほしいなと、私自身の最近の生活を振り返ってみてこれはやって良かったなとすごく思ったのでお伝えします。

大切なことは、自分の人生を生きるのは自分だということ。こうでなくてはいけないとか、こうあるべきとか一切存在しないから、自分がどうありたいか、何が自分にとって一番幸せか、どんな自分が好きかという、その軸に沿った人生を、ライフスタイルを、クリエイトしてほしいと思います。

大学生も自分らしく楽しく、毎日を笑顔で生きられるようになったらいいなと思いました。本当に貴重な機会を頂きましてありがとうございました。

(2023年5月15日 リモートインタビュー)

PROFILE

未来 リナ(みらい りな)氏

1999年、スペイン人の母と日本人の父の間に生まれる。3歳からモデル活動を開始。摂食障害と鬱で自分の殻に閉じこもっていたときに、愛を原点としたライフスタイル「ヴィーガン」に出会い、からだ・こころの健康は自然に結びつくという考えに至る。魂を映し出すツールとして「ソウルノート」で自分自身と向き合う。「マインドフルネス」や「セルフラブ」の重要性に気づき、環境・動物・健康について幅広い視点から学ぶ。近年ではモデル活動と共にトークショー・イベント出演、Plant basedレシピ開発やセルフケアアイテムの創造等、「Love」を自分の人生、そして世界へつなげていけるようなきっかけ作りを目的に「ライフスタイルクリエイター」としてポジティブでハッピーな未来のために多岐にわたり活動している。(公式ホームページより一部引用)