髙木 朗義 氏インタビュー 防災、減災を 日常生活で実践する~誰もが幸せに暮らせる社会を目指して~

未来に向けて

防災意識向上のために

今、『減災教室』を使ってやりたいことがあります。例えば学校などで『減災教室』のスコアアップ大会を行う。最初のスコアはみんなバラバラでも、重要なのはどれだけスコアアップができるかで、それは災害の備えの進度を表します。競争すると、みんなやろうという気持ちになるじゃないですか。そういう機会を持つことで、多くの人が災害の備えを進めていければと思います。

実はちょうど明日(8月5日)、東北ブロック主催で東北地区の大学生、学生委員や職員対象に防災学習会を行います。そこで「自分事になっているかな? まずは『減災教室』してみない?」と提案したいなと思います。防災って一人で考えたり家族と考えたりはしていても、なかなか地域で行動に移すには至りません。仲間と一緒に考えたり、会社や組織の中で基礎的なことを共有して考えたりすることが大事なのですね。

アプリ『減災教室』では利用者の回答データが全部私達が管理しているサーバーに保存されるのですが、数が多くなると処理が追いつきません。そこで一般社団法人と共同で、利用したい組織が自分たちで配信して自分たちで集計できる『減災教室ジェネレーター』というシステムを開発しています。それを提供すれば、各大学で自分たちのタイミングで『減災教室』をやって、どれくらい改善したか分析できるようになります。

大学生協でもこれを利用して防災や減災の意識を広げていきたいと思います。

若者世代へのメッセージ

最後に、読者の大半を占める大学生に向けてメッセージをお願いします。

これからの時代を作っていくのは皆さんです。自分の幸せも大切ですが、誰かの幸せに貢献することも視野に、半歩でも一歩でも踏み出してください。そうすればきっと世の中も良くなるし、自分にとっての幸せにもつながると思うので、若い方の活躍を期待しています。

本日は貴重なお話をありがとうございました。

2023年8月4日 リモートインタビュー

PROFILE

髙木 朗義(たかぎ あきよし)氏

1963年、愛知県名古屋市出身。1996年岐阜大学大学院 工学研究科博士後期課程 生産開発システム工学専攻修了。中日本建設コンサルタント株式会社に技術者として勤務(1987~99)。岐阜大学工学部土木工学科 講師、助教授を経て、2006年同大学工学部社会基盤工学科教授。21年より社会システム経営学環 教授。社会基盤工学科教授(併任)。『防災の経済分析―リスクマネジメントの施策と評価』(編著)等著書多数。一般社団法人CoIU設立基金理事、飛騨市ふるさと種蔵村副村長等を兼務・併任。
専門分野:土木計画学(政策評価、都市計画、総合防災、インフラマネジメント)。災害に強い地域や環境に優しい社会、地域活性化を中心に、幅広い社会基盤について研究し、誰もが主体的に協働して幸せに暮らせる社会を目指している。研究開発:『アプリ減災教室』、『減災教室トランプ&ビンゴ』