全国大学生協連が毎年秋に実施している「学生生活実態調査」を見ると、1カ月の平均収入のうち2000年前後から10年ほど続いていた奨学金の増加傾向が、ここ数年は変化している様子が見られます。
2015年は日本学生支援機構の奨学金をはじめ、何らかの奨学金を受給している学生が35・0%(自宅生28・7%・下宿生39・1%)で、最も受給率が高かった11年から緩やかな減少傾向が続いています。特に下宿生に関しては、ピークであった09年から5・5ポイントも低くなりました。
受給者の1カ月の受給平均額は自宅生5万3260円、下宿生6万1060円で、自宅生、下宿生ともに収入全体のほぼ半分(それぞれ55・4%と47・5%)を奨学金が占めており、その主な使い道は、自宅生が「授業料などの大学納付金」、下宿生は「毎月の食費や住居費などの生活費」となっています。
自身の暮らし向きの感じ方にも、奨学金の受給が大きく影響しています。全体では暮らし向きが「楽」(大変楽な方+楽な方)が52・7%と半数を超えていますが、奨学金受給者の「楽」は36・7%で、非受給者と比べると24・8ポイントも低くなります。
受給者の1カ月の収入合計は非受給者より多くても(自宅生で+4万3350円・下宿生で+9500円)、受給者の9割が貸与奨学金である日本学生支援機構の奨学金を受給していることから考えると、将来は返還すべき奨学金により生計が成り立っているという実情が、「苦しい」と感じさせていると推察できます。
(編集部)