受験生の保護者座談会
@埼玉大学(2023年開催)
現役大学生からのメッセージ

  • 藤木 一聡さん(埼玉大学 理学部1年) 
  • 長尾 みずきさん(埼玉大学 教育学部1年)

現役大学生からのメッセージ①

理学部 1年 藤木 一聡さん

興味を持てば、勉強も苦でない


藤木 一聡さん

改めまして、理学部基礎化学科の藤木一聡です。理学部に決めたきっかけは、かっこいいからですね。理学をやっている人は、難しい専門用語を普通に操っている。それから、突き詰めていくということ。例えば私たちは、普通に生活していたら、空気は物質だなと思わない。正直、元素が何でできているのか知らなくたって、生きようと思えば生きられますよね。そんなことを突き詰めていく人たちはかっこいいし、面白いなと思ったので、理学部にしました。

受験勉強を始めた時期は、学部選びとも密接に関わるかと思います。私の場合はスタートが遅くて、高校1、2年生は他に打ち込むことがあったので、勉強はすごくおろそかにしていました。高3の春に受けた共通テストの模試が380点という、もうどこも受けない方がいいのではないかという点数でした。そこからようやく火が付いて、とりあえず学校の近くの塾に入りました。始めてみると勉強って面白いもので、自分は世界史がすごく得意だったので、高2の終わり頃には全部勉強を終わっていたんです。理学の中では化学が特に楽しくて、夏ぐらいまでには全部終わらせました。

高校のカリキュラムは大学でやる内容をちょっとずつ網羅しているので、ちょっとでも興味があるとか、何でこんなことができるのか不思議だとか、自分もロケットを飛ばしたいとか、そういうのがいろいろ出てくると思います。
私自身も大学のホームページやパンフレットは全然見ていなくて、勉強していたら好きなことが見えてきましたね。

今は一人暮らしをしていますが、親がいないのは寂しいもので、毎日電話をかけています。いつもありがとうねみたいな話をして、今日こんなことがあったとか、家で飼っている犬の話をしたりなど、1時間ぐらい話しています。

卒業後の進路については、順調に進んでも4年間あるので、まだあまり決めていません。ただ、そのまま研究者として進むのか、それとも何かやりたいことを見つけるのか、早いうちから決められる方もいらっしゃいます。

自分の高校の理数科は、ほとんど全員が医学部に行くクラスでした。だから、クラスの8割、9割ぐらいは入学時点で医者になるとか、薬剤師になるとか、獣医師になるとか決めていました。私は卒業してもう9カ月になりますけど、何をするかと聞かれたら、まだわかりません。その時にしたいことをすればいいかなと思っています。好奇心で生きているような人間なので、好奇心の赴くままにとりあえずやってみています。

保護者の方からの質問

曲渕さん:
先ほど高3の春から本格的に火が付いて、勉強をする過程の中で「面白い」という表現をしてくれていましたが、どの部分で受験勉強が面白いという感覚になったんですか。

藤木さん:
私の場合は集中力がなくて、みんなみたいに400問出題されるようなワークを解けないんです。それよりも1問を突き詰める方が楽しい。教科書って、一応網羅はしているんですけれども、表面しか出てこない。表面の知識を知ったところで全然わからないけれど、何か興味ありそうなところにストローを突き刺して底の味を覚えると、面白い、面白い、面白いってなります。面白いのは教科書以外のことですね。

曲渕さん:
深掘りしていくということですか。

藤木さん:
そうですね。教科書を読んだり、先生の話を聞くというのは、もちろん大事なことなのですが、小学校6年間、中学校3年間、高校2年間、その大事なことをそんなにしていなかった。それよりも、じっくり教科書を読むと、「よく考えたら、原理の説明をちゃんとしていないな」と引っかかるところがあるんです。そういうところを掘り下げる。例えば、炎色反応を覚えていらっしゃいますか。金属に火を付けたら色が出るというあれです。ナトリウムは黄色というような。何か頑張って色を覚えたけれども、その理由は習っていない。教科書は、「え、なんで?」という突っ込みポイントがたくさんあるんです。そういうものを深掘りする過程が楽しいんです。
自分でやることなので、モチベーションが下がらないんですよ。だから、1日の勉強時間は受験期でも1時間もやっていないくらいでした。ですが、普段の教科書の読み方が変わったので、共通テストの模試では380点だったのが、本番は705点取れましたし、浪人もしませんでした。
あと、そういう掘り下げは大学に入ってからも役立ちます。普段からそういう読み方をしていると、常に疑問を持っているから、教科書を読んだ時にどこがわかっていないのかもすぐわかるし、自分なりのテーマが見つかります。大学の授業は、いろいろな専門分野で深い話を聞くので、テーマがなかったら全部ばらばらな学びになってしまいますが、テーマがあれば、自分はこういうことをベースに学ぼうとか、どこかの分野から似たところを見つけて学ぼうといったことができるので、そこが楽しいです。

木田さん:
親御さんはどういう風に見守っていらっしゃったのかなというのが気になります。一人暮らしをしていても毎日1時間もお話ができる関係性で、私もそのようになりたいなと思います。親御さんはどういう風にバックアップされていたんですか。

藤木さん:
うちの親は結構、自由放任でした。ただすごく恵まれたなと思っています。勉強の本だったら買ってくれるんですよ。こういう動機があって、こういうことを学びたいんだよねという話をしたら、それに対して惜しみなく投資をしてくれるんです。
ゲームや漫画は絶対に買ってもらえないし、そういうのはお小遣いでやってと言われるんですけれど。
私は大学に入ったらいろんな言語をしゃべれるようになりたいなと前々から思っていて、ラテン語とアラビア語を中心に勉強しているんですけれども、その話を電話でしたら、1週間後にラテン語の教本が4、5冊届きました。

木田さん:
親御さんがピックアップして勝手に送ってくれるんですか。

藤木さん:
はい。中古だけどねって言って、辞典と練習用のノートみたいなものを送ってくれました。口に出さないけれども、応援しているよというのがよくわかります。何か期待されている感があって、こっちもその期待に応えようと思います。

木田さん:
高3の春まではどんな感じだったんですか。

藤木さん:
本当に自由放任なので、宿題をやれと言われたこともあまりないですし、テストの点が低くても怒られなかったです。ただ、しつこく何回も言われたのは、「あなたの責任だからね」って。どうなっても私は責任は取らないからねって。あなたのやった行動で全部決まっているのだから、サポートはするけれども、与えられた機会で勉強をしなかった。例えば、大学に全部落ちて、あまり行きたくないところに就職することになったとしても知らないからね、と言われました。でも、やりたいということに対しては、頑張ってねと応援してくれる親でした。

川下さん:
掘り下げて勉強するようになったと言っていたのは、塾でそういう時間を持てたということですか。

藤木さん:
いえ、中学校ぐらいから、それはしていました。ただ、掘り下げる内容が5教科じゃなかったので、成績がとことん落ちていました。中学校の時は仏教や歴史をやっていたので。

川下さん:
でも、スイッチが入ってから点数が伸びたわけですよね。

藤木さん:
そうです。開いていなかった教科書を開くようになったら、意外と気になる点が多かったので。あと、あんなに成績が低かったのにも関わらず受験は応援してくれて、塾にまで入れてもらったらやるしかないと思っていました。
塾もアウトプットするとものすごく定着が早いんです。例えば教科書の内容をまとめ直すとか。先生の板書を取るのも、書いてあることをわかりやすく整理するだけだったら簡単なんですけれども、追加で疑問点を書き加えたりとか、その疑問点を調べて解決してみたりとか、自分用の教科書をつくるとすごく納得がいくんですよ。
そうして学んだことを他人に話すとどこで話が止まったかわかります。塾に行ったら、少なくとも勉強する気のある人が学校よりは多いので、「勉強を教えます」というのはしやすかったです。

木田さん:
予備校にそういう時間があったんですか。

藤木さん:
いや休憩時間中に、その時に周りにいた人を捕まえて教えたりしていました。

現役大学生からのメッセージ②

教育学部 1年 長尾 みずきさん

自分の譲れないことから受験校を吟味


長尾 みずきさん

私は、大学を選んだ理由と、部活と勉強の両立についてお話しさせていただこうかなと思います。私は埼玉大学を受験すると最終的に決めたのは、共通テストが終わってからでした。もともと候補として考えてはいたんですけれども、一段上のところを目指していて、共通テストはそこまで数字が取れなかったので、埼玉大学に決めました。

高校に入った頃から教員になりたいと思っていて、それなら普通の教育学部や教育学科よりも、教員養成の課程を学びたいなと思いました。教員養成の授業が受けられるところを調べていくと、国公立が多かったのです。私は文系科目も理系科目も満遍なくできるタイプだったので、それも生かせる国公立がいいかなというところで調べていきました。最終的には、埼玉大学と、あともう1校を候補に選びました。私自身は埼玉の出身で、将来は埼玉で教員になりたいと思っているので、地元で教員を目指すためにはいいのかなと思っています。

受験校を絞る上で大切にしていたのが、自分のやりたいことや、自分の中で絶対に譲れない条件ときちんと合っているか、吟味することでした。私は高校に入学してすぐの頃から教員になりたかったので、教員養成の課程があることと、教員になる上で幅広くいろいろ学べるところ、というのが譲れない条件としてありました。

私立で教員養成の課程がある大学はかなり狭まってしまって、関東だと3、4校ぐらいしかありませんでした。私の場合は歴史がやりたかったので、歴史学科をいろいろ調べました。その中でも、入学する段階で東洋史、西洋史、日本史というふうに専攻が分かれてしまうところと、入学してから2年、または3年生で専攻が分かれるところ、あとは4年間分かれないところもあります。初めから偏ってしまうのは嫌だったので、少なくとも1年生のうちは、東洋史とか西洋史とか関係なく、幅広く学べるところを探しました。

部活を続けるからこそ、短い時間を有効活用

次は、部活と勉強について話をしたいと思います。私は、高校時代は3年間陸上部でマネージャーをやっていました。平日と土日に1日ずつ休みがある程度で、部活がある日は、授業が終わった後にだいたい16時〜19時ぐらいまで3時間みっちり。休日は午前中に練習をしっかりやるという感じでした。なので、確かに部活をやっていたころは勉強と両立するのが大変でしたが、私は部活をやめて勉強に集中しようと思ったことは一度もなかったです。というのは、ちょうど高校1年生の冬休みから3学期にかけてコロナ禍で、埼玉県から部活動は原則禁止という要請が出たのです。それで、冬休みの始まりから3月の初めぐらいまで、まったく部活ができなかった。その時にきちっと勉強を頑張れればよかったんですけれども、自由に使える時間が増えたことで、なんとなくだれてしまって。部活をやめたところで勉強をしないのであれば、あまりにも厳しいなと思ったんです。なので、部活は続けてきました。

部活がある間は本当に部活中心で、あとは帰ってから1時間ぐらい勉強するか、電車に乗っている時間に英単語帳を見る程度でしたね。そういう隙間時間の勉強と、家庭で最低限のことをやる。次の日の授業に支障が出ないように、自習程度にとどめていました。その代わり、テスト1週間前からは部活が休みになったので、その間は勉強にしっかり集中していました。部活が休みになったら、仲の良い友達と学校に残って、みんなでわいわい勉強して過ごしていました。

私は部活と勉強のメリハリをしっかりとつけてやることを大切にしていましたが、周りには、勉強に集中するために途中で部活を辞める人もいましたし、実際にそれで東大に行った人もいます。集中力があるのであれば、部活をやめるという選択肢も決してなくはないのかなと思っています。

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