受験生の保護者座談会
@埼玉大学(2023年開催)
受験生の保護者座談会

部活も進学先も子の思いを尊重したい

司会:ここからは、保護者の皆さんにお伺いしたいと思います。保護者の皆さんは部活と勉強の両立について、どのようにお考えでしょうか。

木田さん:
とてもタイムリーな話で、昨日の夕方、息子が急に部活をやめていいかと言ってきました。今は陸上部に入っています。高校の部活の中では、陸上部はだいぶ緩い方だと思います。土日もどちらか休みですし、平日もお休みがあります。通常の場合だと、中島さんがお話されていたように、部活をやりたくて勉強がおろそかになっていくことが多いと思うのですが、うちの息子は勉強を頑張りたいようです。テストや英検の日に部活を休みますと言うのが嫌みたいです。私自身は両立してほしいと考えているので、もう一回考えてみてと話して保留にしています。部活動はやはり、最後の力を振り絞れるところが良さではないかなと思っています。
息子の学年は、高校1年生の時にコロナ禍になってしまい、学校に行けない期間が約6カ月、部活動がまったくできない期間が約1年ありました。ですから、学年全体の平均的な体力も低いと思います。高校の3年間、部活としっかり両立してほしいなと私は思っています。

川下さん:
うちの子は今、卓球部に所属しています。高校は文武両道の伝統的な男子校です。ラグビー部や野球部、サッカー部は土日も休みがなくて、先生がものすごく厳しいです。
卓球部には顧問の先生が4人いて、先生たちはローテーションで休んでいますが、子どもたちに休みはない。休むということを言えないんですね。息子は海外に留学したいので英語の塾にも行っていますし、予備校にも行っているのですが、部活が終わってからだと間に合わない。でも部活は早退できないんです。
本当に大変だと思いますけれども、先ほど木田さんがおっしゃっていたように、先生たちは「最後まで部活をやり抜いた子は体力も集中力もある」という考えが基本にあるようです。今回県大会に行ったら、先生方の目の色が変わったので、学生を評価する対象にもなっているかなと思います。
高校は男子校なので、生徒同士はすごく仲がいいんですね。うちの子は、この子たちと一緒に卒業アルバムに載りたいという一心で部活を頑張っているようです。

荒井さん:
高校1年生の次男は、軽音学愛好会というサークルにおります。活動日も週に1回。それでも彼は勉強をしないから、両立以前の問題だと思います。ただ、高校3年の姉は、3年間部活をやってよかったと言っています。大学を卒業した長男も3年間サッカー部に所属していて、それこそ土日は休みがありませんでした。それで成績が急降下してしまい、1年間浪人したんですけれど、それでも達成感は半端なかったと言っていました。しんどそうでしたけれども、後悔しなくてよかったなと思っています。
ですから、上下関係が度を越えて厳しい部活でなければ続けるのがいいのかなと、3人を見ていた経験から思いました。

中島さん:
息子も部活動をやりたくて今の高校を選びましたが、うちの子は野球部なので、土日の練習がかなりハードです。私としては、部活動をやりたいという気持ちはやはり尊重してあげたいです。今の時代に部活動を一生懸命できる場はそんなにないと思うので、長い人生を考えたら、高校でやりたいことをしっかりやっていくのはいいことだなと。社会に出てからもきっとどこかで役立つかなとは思っています。部活から帰ってくると疲れて寝てしまうことの方が多いので、親としては不安が強いんですけれども。引退してからでも巻き返しはできるので、今は見守ろうかなと思っています。

曲渕さん:
私の息子は中学までソフトテニスをやっていまして、当然高校にもソフトテニス部はあるのですが、関東大会に出場するくらいの強さでレベルが高い。それで、今はダンス愛好会にいます。愛好会なので、先生主導ということもなく、生徒一人一人が考えて活動しています。自分の子どもが自分なりに考えて、精いっぱいできることをやっているところを見ていると、やっていて損はないのかなと思います。一生ものの友ができると、よく高校でも言っています。友情を築ける場でもあるので、入っていた方がいいのではないかなと思います。

司会:大学に入学するまでの間、保護者さんとして心配なこと、準備をする上で不安なことがあれば教えてください。

木田さん:
この間、高校受験が終わったばかりなので、まだそこまでは考えていません。ただ大学へ進学するにあたって、できれば学校主導で、大きな世界があるんだよということを教えてほしいなと思います。私が知っている世界より、子どもが考えている世界はまだ小さいし、私も今の時代をわかっていないので。昔と違って、いい大学を出ればいい就職先があるという時代ではないということを、もっと子どもにはわかってほしいです。先ほど留学というお話もありましたけれど、高校、大学からグローバルなものを伝えていただけたらいいなと思っております。

川下さん:
うちの子どもが心配しているのは、2025年から大学入試が変わって、出題科目が多くなるということですね。親としてもそこを一番心配しています。下の代の子たちは人数が多く、すごく優秀なんですね。長男が受験した6年前は違って、公立などは1浪ありきだったのですが、うちの子は浪人という選択肢は絶対ないようです。
コロナで部活がお休みになって、勉強する時間を持てたようで、みんな現役で大学に行っています。ですが、また部活が始まってしまったのでこの子たちの代から大変。浪人もできないのでとても心配しています。合格するにはどのくらい努力が必要なのかということを、今日は聞きたいなと思っていました。

荒井さん:
心配なことは学力です。勉強量が足りているかなと。確かに現役で入れるのが理想ではありますけれども、それで自分を追い込み過ぎておかしくなってしまったらかわいそうなので、そこは気にしていません。
大学は椅子取りゲームのように決めてはいけないと思うから、学力だけで決めてほしくないという面もあります。でも、高校生の時点で、自分が大学で本当に勉強したいこと、将来に向けて学びたいことをつかんでいる子の方が少ないと思います。その辺の兼ね合いが難しいですね。

中島さん:
先ほどお伝えしたとおり、今は部活に専念しているので、学習の面がやはり心配です。中学では進学塾に通わせていてそこが頼りだったのですが、今は予備校にも行っていないので。ただ、自分が学びたいという気持ちがないと、やたら塾に通わせても意味がない。大学ではより専門的なものを学ぶわけですから、自分で楽しいというものを見出して、それに専念してほしいです。今は模索中ですが、応援しています。

曲渕さん:
冒頭で話したとおりなのですが、息子はまだ高校で理系と文系のどちらにしようかなと迷っているぐらいの初歩的なところなんですね。親としては、長男の大学受験の経験があるので、どのぐらいからスタートしなければいけないのかはなんとなくはわかっています。でも、例えば将来どのような仕事に就きたいとか、どういったことを学びたいということさえ、わからない状態なんです。おぼろげながらも「こういう方向に行きたい」とか「こういう大学のこういう学部に行きたい」といったところが明確にできれば、道筋も見えてきますし、勉強をやり出すきっかけにもなると思うんです。
親の希望を押し付けると、限界を決めてしまう可能性もあると思うので、限界を取っ払って、自ら希望を見出してほしいなという気持ちがあります。見守りつつ、なんとか仕向けていきたいです。

司会:ありがとうございました。

自分の進む道を見つけることに期待

司会:大学の情報はどのように入手されていますか。

木田さん:
私はもっぱらインターネットです。情報誌なども特に取り寄せていません。先日、冊子のようなものを購入してくださいと高校から300円ぐらいの請求が来ました。それはいろいろな大学の情報が載った冊子だったようです。

川下さん:
私もインターネットで調べることが多いですけれども、今2年生で、志望校を検討する時期なので、毎日のように大学案内の冊子が届きます。どこの大学も大手の塾と提携していて、10校選ぶと図書券をいただけるというキャンペーンがあって。地方の大学からも案内が来ていますね。

荒井さん:
私もまずはインターネットで集めます。でも、インターネットは結局良いことしか書いていないので、行ける範囲で足を運んで、実際に大学を見るようにしています。

中島さん:
私はたまにインターネットを見るぐらいです。本人が何をやりたいか明確には決まっていないので。親ではなく子どもが自分でどんどん情報を収集してくれるようになるのがベストだと思うので、それを横で一緒にサポートできるような状態になるのを、今は待っているところです。

曲渕さん:
先ほど、パンフレットをまとめて取り寄せできるという話がありましたが、うちも無料のものを取り寄せた程度です。

司会:有料のところもあるのですか。

川下さん:
GMARCH以上、早稲田・慶応は有料です。1冊500円〜600円程度なので、送料だけだと思いますが、人気が高いところは全員に無料で送っていたら大変な経費がかかるのだと思います。

司会:ありがとうございました。
オープンキャンパスについてお伺いしたいと思います。オンラインも含み、オープンキャンパスには行きましたか。

木田さん:
1年生で一番きらきらしたところを見たほうがいいだろうと思ったので、東京大学か明治大学に行こうということで、友達と話し合って明治に行ってきました。オンラインは東京工業大学に申し込みました。

川下さん:
オンラインは、キャンパスまでちょっと距離がある筑波大学だけ。実際に足を運んだのは、去年は埼玉大学、今年は明治大学です。

荒井さん:
オンラインは参加したことがありません。1年生は、夏休みの宿題でオープンキャンパスに行かなければならなかったので、本人に探させて、甲府の山梨大学に父親と2人で行ってきました。

中島さん:
うちも宿題で出ていたようなんですけれど、本人に聞いたところ、お友達も行かずに書くということだったので、そんなレベルです。

曲渕さん:
うちもオンラインは見ていないです。オンラインだとその大学の肌感が分からない、雰囲気が分からないと思うので。

司会:次に、お子さまが選んだ大学に対して、親が大学にどのようなことを期待しているか、お話していただければと思います。

木田さん:
やはり大学に期待するのは、もっとできることはたくさんあるんだと、世界を見させてほしいということです。
曲渕さんからもお話があったと思いますが、まだ職業を選べるような年齢ではないのかなと。去年、高校を選ぶにあたっても、どのように選んだらいいかもわからないという状況でしたから。大学を選ぶ時も、たぶん職業まではイメージが掴めないと思います。うちの息子はIT系に行きたいそうなのですが、カタカナばかりで、私自身も一体どのような職業なのかすらわからない。新しい職業がどんどん出てきますから、この時代に、私たち親世代が「この職業がいいんじゃないの」なんてアドバイスするのもおこがましいような気がします。手堅い職業もたくさんありますけれど、親が知っている職業から選ぶのではなくて、このような分野で活躍できるのではないかというものを、大学で見つけてほしいです。君にはこういうものが合っているのではないかと、身近な大人以外からも教えてもらう年齢だと思うので。息子は片田舎の小さな中学校から都内や海外に出ていくことになるので、そういう知らない世界を教えていただきたいなと思います。

川下さん:
うちの子が選ぶ大学であれば、保護者としては全力で応援するしかないんですけれども、私個人の意見としては埼玉大学が一番で、埼玉県のために役に立つ人材になってほしいと思っています。それは常日頃から、息子にもそれとなく話しています。生まれも育ちも埼玉なのだから、埼玉の企業でもいいですし、何か埼玉県の役に立てるような人間になってほしいと。

荒井さん:
私は勉強を好きになってもらいたいです。何かを一つ深く学ぶでもよし、広く学ぶでもよし。それで学ぶことが好きになってもらいたいです。

中島さん:
大学に行くのはやはり学ぶ目的があるわけであって、みんなが行っているとか、名前が知れているとか、そういったことではなくて、本当にやりたいものを探しに行ってほしい。やりたいことを存分に学べる環境が、一番期待することです。
せっかく行ったのに、やっぱりちょっと違ったなとかいうのがあっては困るので。自分が楽しいと思えることを学べるのが一番いいのかなと思います。将来に渡って学び続けられること、自分に役立つことを見つける場として、大学に通ってほしいというのが希望です。

曲渕さん:
皆さんと同じです。基本的に大学は専門性を養う場ですよね。私も今の年齢になって、また学び直したいなと思うことがあります。大学は教授との距離が近いので、コミュニケーションを取って、自分の力になってもらう本当にいいチャンスだと思います。そういった巡り合いを期待しています。

司会:ありがとうございました。

放っておくと食べない?食事面には不安

司会:一人暮らしをさせる場合、一番心配なのはどのようなことでしょうか。

木田さん:
本当にできた息子で、決まった時間に決まったことをやるタイプなので、生活面に関しては心配していません。ただ、誰かに誘ってもらわないと家から出ないと思うので、その辺りですかね。人との交流より、自分で全部考えてやっていくことを優先するタイプなので、友達付き合いがちょっと心配です。

司会:食事の面は心配ないのですか。

木田さん:
そうですね、結構自分で食べたいものを作っています。逆にコミュニケーションはちょっと心配なので、家から通えないところだったら、寮に入れようと思っています。コミュニケーションが取りづらい年代なのかなと思っていて、いやが応でも人が来るような寮がいいかと思っています。

荒井さん:
うちは、一にも二にも食事です。今の若い子は、放っておいたら何も食べない子が多いですよね。長男も一人暮らしをしていましたけれど、見ていると、朝は食べない、昼は食べない、夜はお腹が空いたら食べるといった感じです。お金がもったいないのではなくて、お腹が空かないからどうのこうの、現代の人間は1日1食でいいんだとか屁理屈をこねてみたりするので、親としては心配でした。
若い人が食べないのは、日本だけではないらしいです。ある外国のバレエ団を受け入れる仕事をしたことがあるんですけども、そこの団長さんは、とにかく夕食はみんなで一緒に食べることが条件だと言うのです。普通、芸術団が日本で公演する時は夕食を付けないのですけれども、そのバレエ団は付けてくれと。受け入れ側としては困ったことなんですけど、団長さんが若い子にとにかく食べさせたいという気持ちは痛いほどわかりました。

曲渕さん:
私は、学生時代に一人暮らしができなかったので、それを子どもにはさせてあげたいなと思っています。確かに食事が心配な面ではあるのですが、長男も今、一人暮らしをしていて、親のありがたみがわかってきたようです。たまに帰ってくると、何かにつけて親に対してありがとうと言います。一人暮らしも有意義というか、必要な部分なのかなと思いますね。

司会:お子さまの保険や共済に何か入っていらっしゃいますか。入っているとすれば、どんなものに入っていますか。

木田さん:
埼玉県の県民共済に入っています。けがを補てんするものと、何か壊してしまった時の物損関係の保険に入っています。

川下さん:
うちも同じです。

荒井さん:
うちは、特に入っていないです。家族保険に一緒に入っている感じです。

中島さん:
生命保険はやはり同じで、県民共済に入っています。あとは学資に入っていますね。

曲渕さん:
私もそうですね。学資保険と、埼玉県の県民共済。長男は一人暮らしなので、生協さんの一人暮らし用の保険に入っています。個人賠償責任は一家で入れる保険でカバーしています。

司会:ありがとうございました。これで座談会を終了いたします。
本日はありがとうございました。

2023年9月24日(日)埼玉大学にて

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