7832人の大学生活 ’21

7832人の大学生活’21 大学生活ってどんな生活? 送りたい生活こんな生活7832人の大学生活’21 大学生活ってどんな生活? 送りたい生活こんな生活

全国大学生サミット 2021.10.31
パネルディスカッション詳報

「全国大学生サミット」実行委員長
(全国大学生協連 学生委員長)安井 大幸

全体会は3部構成で行い、初めに第1部として7,832人もの学生が回答したアンケート結果を学生自身が振り返りました。次に第2部として、アンケート結果がどのように受け止められたかを振り返るとともに、大学教員・社会人の方から今回のアンケート結果をどのように受け止めているのか、大学は何を検討しているのか、これからの大学生活に向けてのアドバイスをいただきました。最後に第3部としては、学生がこれからの大学生活をどのようなものにしていきたいかについて考えました。全体会ではゲストとして、アメリカコーネル大学3年生の小林さん、大学生YouTuber のパーカーさんに登壇いただきました。全体会を通じてリアルタイムで参加者が自分の考えを伝えられるアンケート機能を活用し、オンラインでも参加者同士がつながれる工夫を行いました。

第1部・アンケート結果の振り返りは、キャンパスライフ・オンライン授業・メンタルヘルス・オンライン就職活動の四つの視点から行いました。Liveアンケートで参加者の皆さんに21年7月の自分に最も当てはまるものを「暮らしの危機・学びの危機・つながりの危機」から選び・投票してもらいました。結果的には「つながりの危機」に最も票が集まることが分かりました。

第2部・アンケート結果の社会の受け止めでは、朝日新聞社の増谷論説委員・東京工業大学の齋藤憲司先生・名古屋大学の鈴木健一先生・放送大学の奈良由美子先生(東京都新型コロナウイルス感染症医療アドバイザー)からのコメントを紹介。増谷委員からは河合塾と朝日新聞社が共同で行った調査から大学自身もキャンパスライフやオンライン授業をよりよく改善し、メンタルヘルスや就職活動の支援を強めていきたいと考えている結果が示されました。またここでゲストのコーネル大学の小林さんからアメリカの大学では学生と教職員の距離が近く、お互いが話し合うことで、大学の講義や学生生活をよりよくしている様子が報告されました。また日本の教職員へのメッセージとして「学生をもっと信じてください!」という力強いメッセージが13時間の時差を超えてアメリカから届けられました。齋藤先生からは「コロナ禍の学生のこころ」について、鈴木先生からは運動部の部長を務めていることから「部活動やゼミの文化をどう継承し、発展させていくか」についてコメントをいただきました。奈良先生からは、これからも引き続き「手指の消毒をはじめ・手洗い・うがい」といった感染症対策を行い、充実した大学生活を創り上げていくことへの応援メッセージをいただきました。大学生YouTuberのパーカーさんからは「一人の時間が自分を強くし、大切な人のために時間を使えるようになる」「環境が変化している今こそ自分自身も変えられるチャンス」という心強いエールが発せられました。

第3部では、第1部・第2部を踏まえて、これから送りたい大学生活についてディスカッションを実施。学生からは次のようなポジティブなメッセージが発せられました。「やりたかったことをやる“ フツー” の大学生活」「コロナの状況・オンラインの状況を利用した大学生活」「コロナを原動力にした大学生活」。「ポジティブマインドで過ごせる大学生活」コロナ禍で思うようにキャンパスライフを過ごせなかった経験があるからこそ、コロナ禍での経験をエネルギーに変え、明日からの大学生活を前向きに過ごしていきたい大学生の姿がありました。

分科会
A

集まれ! “フツー”の大学生!
~みんなで考えよう!私のキャンパスライフ〜

「全国大学生サミット」実行委員
(全国大学生協連 学生委員会)
林 優樹

「全国大学生サミット」実行委員
(全国大学生協連 学生委員会)林 優樹

学生自身が自分の大学生活について共有し、他の学生の大学生活を知ることで自分自身のこれからのキャンパスライフを見つめ直す分科会です。Liveアンケートという機能を用いて参加した学生の声や生活実態を集め、4人の大学生のパネリストに大学生活を話してもらう中でたくさんの共感が生まれました。また、「届けよう、コロナ禍の大学生活アンケート」で届けられた大学生の頑張りや、パネリストが頑張ろうと考えていることを報告し、今後の大学生活で頑張りたいことについて宣言を行いました。

参加者全員の行動宣言をテキストマイニングという形で抽出をし、一枚の宣言にしました。

参加者のアンケートでは「大学生って楽しいんだと思えた。これから自分のやりたいことにしっかり取り組んでいきたい」という声がありました。オンラインという形で周りの学生の生活が見えず、何をしたら正解なのか、自分の生活が充実しているのか分からない学生が多い現状です。自分の生活を気軽にありのままに話すことのできるつながりが求められています。

パネリストボイス

他のパネリストや参加者の方との交流の中で、近況を報告したり、それぞれの目標をシェアしたりしたことで、私自身これからの大学生活をどのように過ごしていくのか、改めて考え直すとても良い機会になったなと思います!
(名古屋大学1年・加藤咲良さん)

分科会
B

大学授業の今とこれからを考えよう!

「全国大学生サミット」実行委員
(全国大学生協連 学生委員会 副委員長)木原 悠駿

「全国大学生サミット」実行委員
(全国大学生協連 学生委員会 副委員長)
木原 悠駿

この1年半で進んだオンライン授業について、リード発表・登壇学生のパネルディスカッションを通じて深めました。

第一部では、明治大学の岸先生、関西国際大学の濱名学長先生、徳島大学の畠先生らからのリード発表がありました。リモート環境において学生が主体的に学ぶためのさまざまな工夫に関する提起や、オンライン授業と対面授業の特性とその使い分けなどについて、教員側の視点から語られました。第二部では、茨城大学2 年の白井さんら学生4人と徳島大学の畠先生によるパネルディスカッションを実施しました。オンライン授業や対面授業の違いなどを中心に、大学生らしい学びとは何かについて深める機会となりました。

パネリストボイス

授業スタイルの変化とともに自由な時間が生まれ、自分を見つめる良い機会となりました。泣いても笑っても「大学生」が味わえる時間は同じ。だったら、大学でできることは全部やりたい、と思って日々過ごしています。目の前のことに対して、全力で取り組もう!
(三重大学4年・山中章司さん)

パネリストボイス

現在、学生ならびに教職員がコロナ禍の対応に立ち向かっています。共に創意工夫と対話の機会を重ねながらキャンパスコミュニティーの早期回復を目指しましょう。一方で、オンラインツールが定着したことで、時間、場所、距離を選ばずに人とつながることが可能になりました。工夫次第では、これまで以上の機会創出が可能となっています。キャンパス内、学生同士といった垣根を乗り越えて、多様で有機的な学生生活にも挑戦してみましょう。
(徳島大学・畠 一樹先生)

分科会
C

あなたと一緒にあなたを探す
〜心理カウンセラーと話してみよう〜

「全国大学生サミット」実行委員
(全国大学生協連 学生委員会)藤井 祥子

「全国大学生サミット」実行委員
(全国大学生協連 学生委員会)藤井 祥子

大学の学生相談室に勤務するカウンセラーを交えた参加者交流型の分科会です。札幌学院大学のセラピードッグ・名古屋大学のカウンセラーX ラジオの取り組みを紹介し、利用した学生の声を生中継で届けました。学生からは初めての学生相談室の利用には勇気がいるものの、通い続けることで学内に居場所ができたという経験談が語られました。コロナ禍で8割近くの学生が不安を抱えていますが、学生相談室の認知度はまだ低い大学も多く、学外にはあまり相談施設が充実していないのが現状です。学生の心身の健康と充実した大学生活のために、入学時のオリエンテーションで確実に学生相談室の認知を高めるとともに、日常的に学生同士・関わる教職員が手を差し伸べられるコミュニティーづくりが求められています。

パネリストボイス

普段はひっそりと相談室で語られてきた「自分探し」のテーマが全国サミットの一翼をオンライン上で担うという画期的な企画でした。
現場での最新の試みの紹介(セラピードッグ・カウンセラーDJ)と相談室を利用した学生が実体験を語り合うパネルディスカッション、そしてカウンセラー2人と参加者数人で親身な交流がなされた数多の小グループ、これらが相まって大規模で重層的なグループ・カウンセリングが展開していたように感じられます。
来談学生の声から創始され、大人スタッフや専門家が起動していく新たな連携・協働のモデルでもあり、この成果がわが国の学生相談・学生支援に活かされることを願っています。
(東京工業大学・齋藤憲司先生)

分科会
D

ぶっちゃけ!
コロナ禍のシューカツを語り合おう

「全国大学生サミット」実行委員
(全国大学生協連 学生委員会 副委員長)菅野 瑞貴

「全国大学生サミット」実行委員
(全国大学生協連 学生委員会 副委員長)
菅野 瑞貴

参加者の就職活動に関する悩みや疑問に座談会形式で答えていく分科会です。

現役の就活生、就活を終えた4年生・社会人1年目の方、そしてアドバイザーに千葉商科大学・常見陽平先生が登壇され、さまざまな立場から経験談や不安解消のヒントが語られました。Liveアンケートを用いた参加者同士の励まし合いも同時に行い、これからの就職活動をポジティブに捉えるきっかけとなりました。

企業や社会そのものの変容により就職活動にも大きな変化があることを踏まえた上で、正確な情報をきちんと選び取ることが大切になってきます。客観的な評価を参考に自分自身を理解することや、自分がどのように考え行動しているのかをしっかりと話せることも、進路選択をする上では重要です。これらを実現するためのつながりづくりや情報提供が今こそ求められています。

パネリストボイス

それはまさに、奇跡の時間、空間だった。登壇者全員が初対面であり、短い時間であったが、コロナ時代の就活で学生が直面する問題とその解決策が見事なまでに凝縮されていた。コロナが大学生活、中でも就活に多大なる影響を与えたことは間違いないが、悪い影響だけではない。むしろ、学生はオンラインとリアルを組み合わせ、学生生活と両立させながら縦横無尽に情報収集をし、運命の1社と出会うことができるかもしれない。学生は一人ではない。支えてくれる仲間がいると実感した次第である。日本の就活はここから変わる。歴史的瞬間に感謝。

(千葉商科大学・常見陽平先生)
http://www.yo-hey.com/