自己紹介でもお話いただいたのですが、俳優からお笑い芸人に、そしてまた研究者へと、本当にさまざまな経歴をお持ちですが、それぞれ志したきっかけなどをお聞きできればと思います。
まず、幼い頃から人前で表現するのが好きでした。小学校に入ると、先生のモノマネや寸劇をしてクラスのみんなを笑わせたり、中学・高校時代はずっとそうで、自分で脚本を書き、劇団を学内で立ち上げて文化祭で1本の舞台を成功させたりもしました。そしていよいよ大学への進路を決め時には、早稲田か明治しか受験しないと決め、そこで演劇理論を学びたいと思っていました。明大卒業後は劇団の養成所を経てそこから20年以上、様々なアルバイトをしながらずっと女優になることを目指していました。そして先の理由で芸人へと転向し、そしてあらためて人間や社会を一から見つめ直したいとの思いから、研究者への道を歩き始めました。
お話を聞いていて思ったのは、ご自身に対しての問いかけとか、疑問を持ってそこからまた新しくスタートしようという、その姿がすごくかっこいいなと思いました。
自分自身どうしていきたいのか、人のせいや社会のせいにするのではなく、なりたい自分を追求する姿に感銘を受けました。
私が若い皆さんにお伝えしたいのは、まさにそこですね。わかって欲しいのは、その“人や社会のせいにする”というところで、でも皆さんがやろうとしていることを“誰も止めてはいませんよ”、ということです。
もちろん今、この時代を共に生きている空間は存在します。でも、「社会や時代のせい」というのはまさに幻想であって、現実には、社会や時代は誰もあなたを止めていません。特にこの日本では本当に。だってすべてに選択の自由があるのですから。ただ唯一、止めると相手がいるとしたら、それは親御さんや身内の方など本当に身近な人ですね。でもそこで反対されたり止められたりしても、まず自分がどうしたいのか、その気持ちが先ずは大事だと思います。
そして、人に止められて自分の夢を諦めるというのは、どうですか?それで本当に良いのですか?親であれ友人であれ、他者に止められてやらなかったことというのは、一生後悔すると思います。だからその命が尽きるとき、最期に自分が後悔しないためには、どうしたらいいのかを考えることが何より大切だと思います。
さまざまな大学に通われたということで、大学選びをする際に大切にしたり、重視していたりすることについてお話いただけますか。
そうですね。その大学を見に行ったとき、それは施設でも人でも授業でもいいのですが、「なんだかこの学校が好き」とか、「ここで学びたい」とか、「ここで4年間過ごしたい」と思う気持ちを、大切にされたら良いかなと思います。もちろん偏差値や通学出来るかなど、いくつか条件はあるかと思いますが、「それでもやっぱり、ここに行きたい」という強い気持ちですよね。そうするとやはり母校への愛着も違うと思いますし、その学校を卒業できたことをずっと誇りに思えると思うので、そういう気持ちを大事にされたらいかがかと思います。
私も、母校の生協店舗にたくさん雑誌が置いてあるのを見たことが志した一因でもあり、やはり相性やフィーリングのような、胸のトキメキじゃないですけど、そこは偏差値とはまた別に大切だと思います。
そうですよね。そういうことは、その大学が大事にされていることの一部だと思いますし、それは他での色々な所にも表れているのではないでしょうか。そしてそれがその学校が大切にしている理念に通じる所でもあると思うので、そこに目を向けたり、気付いたりすることも必要ではないかと思います。
劇研を4年間一生懸命されていたという大学生活は、どんな学生生活でしたか。また困ったことや楽しかったことについてお伺いしたいと思います。
大学時代は、本当に芝居に集中したという感じです。もちろん授業もきちんと出て、やるべきことは全てやりました。また、自分の夢を叶えて希望の大学に入学し、学部では演劇の理論を学び、劇研というサークルに入り、本当にすべてが青春だったなと。又、そこで出会った先輩や同期の仲間も尊敬できる人ばかりで、本当に良い大学に入ったと思います。
困ったことは、特にないですね。やりたいことがすべてやれて充実していました。本当に親と、そうしたまわりの方々、先生や仲間にとにかく感謝ですね。それに尽きると思います。