さまざまなチャレンジをされる時マインドや、ご自身で大切にされていることについてお聞かせください。
そうですね…。正直、生きているうちにやりたいことは全てやりたいですし、やるならばいい結果を出したいという気持ちはあります。なので、現状維持というより、向上心は強い方だと思います。しかし、その向上心の「核になるもの」は何か?ですよね。そうですね。それは私の場合、「今日よりも明日」という“希望”かも知れません。自分自身も社会も、できるなら少しでも良くなりたい、良くしたいという願い。それが、常に自分の根底にあるような気がします。
自分は、やりたいことにいろいろ手を出してしまって、結局やりきれずに全部中途半端になってしまったということがあります。やりきれる力というか、トップにこだわる、やるなら上をしっかり目指せる、そこまでを迎えるための力みたいなものは、どういうところから生まれるのでしょうか。
私も、何かをやり遂げたいという意志を持つ中で、さまざまな悔しい思いも沢山してきました。でもその時の悔しさは、いま思うと、必要なものだったのかなと思います。むしろそれがあったから頑張れたのではないかと感じることもあります。すべてが手放しで応援され、上手く行っていたら、それはそれで何か違う方向に行ってしまうではないか。ですので、たとえその道が困難ですぐに上手くいかなくても、どこまで諦めずにやり続けられるか?を試されているのかも知れません。
もちろん、途中でやめていいことも沢山ありますし、違うと思ったら引き返したり違う道を選び直したり、というのも良いことだと思います。でも、ご自身に「これだけは」と思えるものがあるのなら、それは手綱を離さずにどこまでも食らいついていく、ということも人生ではありかも知れませんね。やれることすべてやり切って、悔いのない風景を見るというのも、人生の醍醐味かも知れないですね。
とにかく人生は長期戦。マラソンです。努力し続けてさえいれば、いつまた逆転できるか知れません。そしてそれを信じられれば、努力し続けることができますよね。
さまざまなチャレンジをするときに支えになった方がもしいらっしゃれば、エピソードなど教えていただける範囲で聞かせていただければと思います。
そうですね。40歳で吉本の養成所に入るかどうかを考えた時、正直、本当に怖かったです。何故なら10代-20代の若者の中にその年齢で飛び込むわけですから恐怖しかないわけです。きっと嫌な思いをするんだろうなと。そこで躊躇していた時、たった一人の人にだけ相談をしました。するとその人は、「もし、ここで行かなかったら、昨年と同じ一年だよ」と。去年と同じ一年とは、朝昼晩働き、お金を貯め劇場費を払い舞台をやり、それでいつか誰かに認められることを目指す、という日々です。そんな同じ一年をもう過ごしてはいけない。それで決断できました。その人が、今の夫です。その一言がなければ、私は吉本の養成所に行っていませんし、「グー」のネタを作ることもなく、確実に今とは全く違う人生を歩いていたと思います。なので、そこがまさに人生の分岐点で、その背中を押してくれた人でもあります。心から感謝しています。
若い皆さんにお伝えしたいのは、たった一人でいいから、お互いに信頼し合えて、嘘なく、苦しい時、困った時に助け合えるパートナーを見つけましょうということです。それが本当に大切なことだと思います。
もちろんお金も大切ですが、信頼し合える人となら力を合わせて何かを築いていくこともできますし、その結果として二人で金銭的にも豊かになっていくこともできるでしょう。なので、すでに在るものだけを求めるのではなく、「ここから二人で築いていくんだ」という過程を感じ味わうこともまた、人生ではないかと思います。
今は、あまり自分以外に関心が持てないとか、人に対して踏み込んでまで全て相談し合ったりとかしない人が多いように感じています。自分が自分らしくいられるパートナーを見つけること、結婚することとは関係なく人生の伴侶というパートナーがいるというのはすごく素敵なことだと感じました。
最後に、読者の大半を占める大学生にメッセージをいただければと思います。
大学生の皆さんは、まだ20代前半で人生がすごく長いように感じていると思います。でも、人生は本当にあっという間です。こう言っても、ピンと来ないとは思いますが、本当にそうなのです。だから、「やりたい」と思ったことはどんどん挑戦したらいいと思います。失敗なんか人生、無いんですよ。痛い目にあったり、苦しい、悔しい思いも沢山あるかと思いますが、じゃあそれを避けて一生、布団から出ず、お迎えを待ちますか?それはあまりにももったいない。そしてそういう一見マイナスだと思える経験も、それがあるから、良い思いをしたときにはそれに何十倍も感謝できますし、何十倍も喜べるんです。
ですからとにかく体を動かして、行動し、いろんな思いをすることをお勧めします。そして根っこでは、いつも「絶対に自分は大丈夫だ」と、ご自身を信じてあげてください。根拠?そんなことは気にしないでいいんです。とにかく「自分は大丈夫なんだ」と。そういう気持ちをご自分に持ち続けることが、何より大切だと思います。
人生のいろいろな経験が、結局自分の人生の味方になってくれるのだということを、お話を聞いて身をもって感じました。このメッセージを、広くたくさんの大学生に読んでもらいたいと思います。本日は、ありがとうございました。
2024年6月11日リモートインタビューにて
エド・はるみ氏
吉本興業株式会社所属。
明治大学文学部卒業。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程修了。現在、筑波大学大学院人間総合科学研究群デザイン学学位プログラム博士後期課程2年に在学中。
小学生からの夢であった女優を志し、明大卒業後、劇団「円」養成所へ入所。女優活動20数年を経て、笑いの道に転じ2005年吉本の養成所【東京NSC】11期に入学。
【2008年・流行語大賞】を、「グ~~!!」で受賞。
ドラマ、舞台と活動の場を広げ、2016年春、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程に入学し、修士号を授与された。
現在は、筑波大学大学院デザイン学学位プログラム博士後期課程にて研究を続けている。
所属事務所HP https://profile.yoshimoto.co.jp/talent/detail?id=748
ブログ https://ameblo.jp/harumi-challenge-blog/
YouTube https://www.youtube.com/channel/UCm745dvqmbPPcomjMO54AuQ