小島さん自身の協同組合との関わりやつながりについてお伺いしたいのですが、協同組合に興味を持ったきっかけは、在学中ではなく最近のことでしょうか。
恥ずかしながら、協同組合がどういうものかを知ったのは、本当に最近です。
さきほどの『ちゃぐりん』はJAグループの雑誌なので、連載を始めた5・6年前から協同組合との関わりはあると言えるのですが、昨年賀川豊彦さんの記念館を訪問したことで更にいろいろと知ることができました。
昨今は「令和の米騒動」としてお米のことがいろいろと問題になっていますが、賀川豊彦さんが労働運動に参加しはじめたのが1918年で、当時も米騒動が社会問題になっていましたし、翌年消費組合運動を起こして、大阪に購買組合を設立したとありました。
私自身が知識を得るタイミングと社会情勢が重なって深く考えさせられるものがある反面、今はお米を通して協同組合やJAに対して世間の注目が集まる中で、少し間違った捉え方をされているところが多いと感じるので、メディアでコメンテーターの仕事をお引き受けする際には、微力ではありますが、本来の協同組合の素晴らしさを伝えていかなければならないと思っています。
協同組合は誤解されがちなところがあると自分自身も思いますし、大学生協では出資しているという意識が薄い組合員が多くいることも事実です。その原因として、発信力の弱さがあるのではないかと思っているので、小島さんのような影響力のある方に協同組合の正しいあり方を発信していただくことは、すごく心強いですし嬉しく思います。
協同組合について広めたいというお話がありましたが、具体的に何か考えられている活動などがございますか。
具体的には、先ほど言ったようなニュースのコメンテーターをお受けした時のコメントであったり、SNSを使って広めていくことだったり、あとは少し変わったところで言うと、昨年から「野菜‐1グランプリ」という大会を主催しています。
これは野菜、お米を含めた農作物のネタを作ってきてもらってグランプリを競う「M‐1」みたいな感じの大会ですね。元々あまり農業に関心がない人たちに、お笑いを通じて興味を持ち参加してほしいと昨年から始めたもので、この大会を認知してもらい大きくすることによって、農業や JA を知ってもらい、更には他の協同組合のことにも興味を持ってもらえたらと、堅実な計画というほどのものではないですけど、自分自身はそういう想いを持ってさせてもらっています。
私自身、実際に何か行動を起こすこと自体のハードルが高くて、なかなか理想を描きづらいと感じることも多いのですが、小島さんのそういう発想の実現力や動画での発信力などは、どのように意識されているのでしょうか。
意識というか、もしかしたら性格的なものなのかもしれないけど、私の場合は家を建てるとしたら設計図なしで建て始めちゃうタイプですよね。それでちょっと柱が足りないなとか、窓の数が多すぎたなみたいなことで直していくタイプで、藤島さんはおそらく設計図をしっかり作ってから家を建てるタイプだと思うので、別にそれはどちらが良くて、どちらが悪いということではないと思いますよ。
私の場合はとりあえずやってみようという感じで動いちゃうので、周りの人とのコミュニケーションを大事にしていて、私に計画性がないからこそ、しっかり計画できるマネージャーや後輩と一緒にチームを作り、意見を聞くという体制を整えています。
「野菜‐1グランプリ」も、私がただの思いつきでやりたいというところから、しっかりしたマネージャーが運営はどこにするか提案してくれて、周りも盛り上がる感じで進んでいったので、そういう仲間を大切にすることが、もしかしたら私のようなタイプではとても大事な要素かもしれないですね。全部自分でやろうとすると肩を壊しちゃうような感じもするから、そこはまさしく協同組合的な考え方で、みんなで補い合ってできるといいのではないかと思います。
またSNSで賀川豊彦記念松沢資料館に行ったことをアップされている際に、ご自身と共通点が多くて意外な縁があったということを書かれていましたが、どのような共通点や縁を感じられたのでしょうか。
これは細かい話ですけど、賀川豊彦さんが明治学院に進学されているのですが、私のマネージャーが明治学院出身だったり、桜美林学園の創立にも関係しているのですが、桜美林は私の妻の出身大学だったりするんですね。
あとは、父親が尊敬している人が賀川豊彦さんだということを最近知ったことです。きっかけは自分自身が感銘を受けたため、父に知っているか尋ねたところ「知っているもなにも、尊敬している人だよ」と言われまして。父は民社党に所属して政治活動をしていたのですが、賀川豊彦の理念と一番近いことが政党選びの理由になったみたいです。親子揃って影響を受けていたことに驚きました。
自分に近いところでは、子供向けのおもちゃを作ったりされているのですが、私もちょうどその頃に子供向けのおもちゃを考えている時だったので、共通点が多いというとおこがましいですけど、勝手にご縁を感じていました。
私も実際に大学生協と関わり始める頃に、身近なところでのご縁やつながりを感じることが多々ありました。そう考えると、もっと大学生協のことをアピールしていきたいですし、大学生協や協同組合の良さを、意味も価値も含めて広げていくことを目指して、活動をしていきたいと思いました。
これからは、協同組合的な考え方が大事になると思います。私も頑張りますが、本当にいい活動をされていますよね。
ありがとうございます。そう言っていただけると、原動力になります。