小島 よしお 氏 インタビュー

教育への想い、協同の取り組みの広げ方

助け合いの気持ち

私は教員を目指して大学進学をして、実際に小学校教諭の免許も取得をしているのですが、小島さんの動画は大学の先生からお勧めされて、具体例を用いて説明をすると子供たちにもしっかり伝わる等、動画を基に授業で実践すると、すごく子供たちを惹きつけることができると実感しました。小島さんの教育への想いや、将来教員を目指す学生にアドバイスをいただけたらと思います。

教育への想いとして私が大切だと思うのは助け合いの気持ちで、たまに小学生に向けてメッセージをくださいと言われる時によくお話するのが、人類の祖先と言われているホモ・サピエンスとネアンデルタール人の話です。ホモ・サピエンスは身体能力ではネアンデルタール人に劣ったけれども生き残った、それはみんなで助け合いをしたからと言われています。

音楽が得意な子、かけっこが得意な子、絵が得意な子、勉強が得意な子、いろいろな人がいると思うけど、それぞれが自慢し合ったり、貶し合ったりするのではなくて、それぞれの長所を尊重しながら、助け合うことが必要なのではないかと思います。

結局、私も含めて人は弱い、精神的にも弱い、というか弱いホモ・サピエンスの子孫なんだから当然弱いわけですよ、私たちは。だからこそ助け合いが必要で、今って自分ができていることに対して、相手ができないことに苛立ちを覚えたり、見下したり、なんだかそういう風潮がある気がしますね。

だから「才能」とか「センス」とか、昨今個人を判断する物差しのように使われる言葉を「役割」という言葉に置き換えられないかなと思うんですよね。例えば「お笑いのセンスがある」人は「人を元気にする役割」の人とか、「お金を持っている、お金を稼ぐ才能がある」人は「お金で何らかのサービスを社会に提供する役割」の人とか、みんなそれぞれ得意なものがあって、私の場合は「子供向けのライブなどで子供を元気にする役割」の人、「才能」とかではなく、そういう「役割」なんだと思うと、みんなが受け入れやすい感じがするので、教育の現場でもそういうようにもっとみんなで分かり合えると、嫉妬のような感情はなくなるのではないでしょうか。

今は自分を中心に考えて、他者に対して嫉妬のような感情を持ち、足を引っ張り合うようなことをよく耳にしますが、別にその人はその「役割」だと思えばいいわけです。平等という言葉を少し勘違いしていて、みんな同じだということが悪い方向に影響している気がします。みんなそれぞれ違うけれども、幸せという意味では平等みたいな、それぞれ自分の幸せの感じ方が違うと思うので、そこに対しての平等というだけであって、今は他者の環境を個人の物差しで判断する風潮が蔓延している気がするんですよ。それがいろいろな悪いものを引き起こすきっかけになっている気がするので、そのことをみんながもっと理解できたら、世の中が良くなるのではないかと思います。

「芸人のくせに」とか「勝手に芸人がそんなこと言うんじゃねえ」とかよく言われますけど、寛容力というか、許す力もあっていいかなと思いますよね。いま特に日本だけなのかな、すごく許さないですよね。そこをなんとかできないかなと思いますよね。

先日読んだ書籍の中でなるほどと思ったことがあって、大昔は群れで生活をしていて、そこで問題行動を起こす人は獣や他のグループに見つかる可能性を高めるため、群れを危険にさらすおそれがある人を注意することは自分たちの生きることにつながることだったと。だからそういう人を注意するというのは本能的に備わっている行為なので、誹謗中傷や著名人の行動に対してみんなで一斉に攻撃したりするのは、報酬系快楽物質みたいものが出ていて、自分が正しいことをしているという行動に駆り立てるらしいです。それを知ったら、私自身は今の状況に対して少しだけですがやむを得ないと思う部分もできたので、いろいろと学び知ること、相手のことを理解することを、それぞれがそれぞれの場面でできたらいいですね。

乾いた小さな木から

若い世代へボランティアや協同組合の活動について広めていくための助言等があれば、お聞かせください。

まず、ボランティア活動を広めるためには、体験することが大事だと思います。実際に行動することで自分がどのような気持ちになるのか、体験してみないとわからないですしね。それには大掛かりなことを否定するわけではないですけど、小さなチャレンジをたくさん繰り返すというか、参加人数1万人のものを1年に1度するより、同じ人数ならば10人参加のものを1000回繰り返す方が広まるという意味ではいいのかなと思います。だからどれだけ数多く、粘り強くできるかというのが大事になってきますよね。大掛かりなものは準備も大変だし、金銭面や人員の確保等も大変だったりしますので、小規模で行うことで開催するハードルを下げると、もっと身近になるのではないでしょうか。

ボランティアというと高尚なことに感じがちですが、区の新聞などを見ると意外と身近に行われていたりするので、そういうことにもっとみんなが目を向けられるようにする、あとは無理をして手を伸ばしすぎないというか、興味のない人より少しでも興味がある人とやった方が広がる気がするんですよね。例えば、焚き火をする時に湿ったものにはなかなか火が着かないから、乾いた小さい木などに着火させて火を熾していきますよね。この火が大きくなったら、湿ったものも乾いてきて燃えてく、そんなイメージ。いきなり湿った木に着火しようとしないで、まずは興味がある、いわゆる乾いた木から火を広げていって、興味のない湿った木も広がっていく火を見てなんか楽しそうだなと思えるような空気作りができたらいいですね。

だから、2つ目の協同組合の広げ方も、自分たちのエリアのところから、地道に少しずつ広げていくというイメージじゃないかなと思いますね。ヒントになるかどうかはわからないですけど、人はお願いしすぎると離れていくような気がします。焚き火の例えのように、なにか楽しいことをやっているなと、自分から動いてもらえるような環境づくりが大切で、大人向けのライブなどでは笑っていない人に対して「全然あなた笑ってないじゃないですか」と言って笑いが起きることがあるのですが、子供向けのライブでそれをやると、ノッていない子供は恥ずかしくなっちゃったりして、より参加しなくなることが過去にありました。なので、ウケてる子供をよりウケさせるという方向にすると、周りが盛り上がっているので、初めは参加しなかった子が最終的には舞台に上がってきて、みんなと一緒に「そんなの関係ねぇ」をしてくれました。私は「一緒に盛り上がろうよ」とは一言も言っていなくて、この子は盛り上がっている子供たちを見て「自分もやりたい」と一歩前に出てくれたんですよね。これはいろいろな活動のヒントになるし、そういう形で広がりをみせることはいいなと感じます。

小島さんの「Better World」

2025年は国連が指定した国際協同組合年で、「Cooperatives Build a Better World」、「協同組合はよりよい世界を築きます」という国際的なテーマを掲げています。その中で大学生協は「Better World」とは何かに注目して、各人の「Better World」を考えてみようという取り組みを広げています。小島さんの「Better World」はどのようなものだとお考えですか。

まさに、みんながハッピーな、オールハッピー、オッパッピーですよね。
生まれてきただけでみんな幸せに、ハッピーになってほしい。みんなが幸せな世界ですかね、私の「Better World」は。

若者世代へのメッセージ

最後に、読者の大多数の若者世代、主に大学生になるかと思いますが、そこに向けてのメッセージをお願いします。

今の大学生はコロナ禍を多感な時期に経験してきた世代だと思うので、できなかったこともあったと思うけど、できなかった「経験」があると考えてほしいなと思います。できなかったことによって、多分いろいろな考えが生まれたと思いますし、起きてしまった出来事を前向きに捉える力があると思うので、それをより伸ばしていってほしいですね。

何があっても雑草的に、雑草は環境の変化に強いという特質があるので、どんなところでも自分らしくいる、みんなには雑草イズムで頑張ってほしいと思います。

自分自身も入学と同時にコロナ禍となり、最初は引っ越したのに家から出られない、マイナスな気持ちになった時期もありましたが、そこを前向きに捉えられるようになってから大学生活が変わりました。全世界で同じ大変な状況というのは、世界中に共感できる仲間がいるということでもあるので、小島さんがおっしゃったように雑草イズムで頑張っていきます。本日はありがとうございました。

2025年6月6日 リモートインタビューにて

PROFILE

小島 よしお

1980年生まれ。沖縄県出身。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。
大学在学時よりサークル内のコントグループ「WAGE」のメンバーとして活動。
2007年5月の第5回お笑いホープ大賞で決勝進出し、激励賞を受賞。

『ユーキャン新語・流行語大賞2007』では「そんなの関係ねぇ」と「オッパッピー」の二つが大賞候補60語にノミネートされ、このうち「そんなの関係ねぇ」がトップ10を受賞した。

2020年4月にYouTubeチャンネル「おっぱっぴー小学校」を開講し、好評を博している。

なまはげ伝道師、漢字検定準1級、ジュニアアスリートフードマイスター、ファスティングマイスター、ジュニア野菜ソムリエ、キッズコーディネーショントレーナー、ヨガインストラクター(RYT200)など所有資格多数。
(公式サイトより一部抜粋)

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