ミルクボーイ インタビュー 壁にはぶち当たったほうがいい。僕らは「失敗を笑いに変換するマインドで夢を叶えた」。

2019年、「M-1グランプリ」で優勝し、漫才師の頂点を極めたミルクボーイ。M-1のファーストラウンドでグランプリ史上最高得点を獲得した持ちネタ『コーンフレーク』は、一躍トレンドワードにもなりました。しかし、彼らの栄光に至る道のりは、決して平らではありませんでした。
人生の浮き沈みを経て夢を実現させたミルクボーイのお二人は、現在環境に配慮したSDGsネタの漫才もされています。全国学生委員会メンバーは今回のインタビューを通して、SDGsに関わるお話も絡めつつ、二人が出会った大学時代から現在に至るまでの道程を語っていただきました。全国の学生の皆さんがより充実したキャンパスライフを送るためのヒントと、元気をお届けできれば幸いです。

インタビュイー

吉本興業所属 お笑い芸人 
ミルクボーイ

プロフィール

聞き手

全国大学生協連
全国学生委員長

高橋 明日香

全国大学生協連
全国学生委員会

中野 駿

全国大学生協連
全国学生委員会

梅田 叶夢とむ

(以下、敬称を省略させていただきます)

*ミルクボーイのお二方には、掛け合い漫才そのままの話し方でお話しいただきました。インタビューの雰囲気を十分にお伝えするために、掛け合いの部分はミルクボーイのお二人の発言としてまとめて掲載しております。単独の発言は、ミルクボーイ(内海)、ミルクボーイ(駒場)のように表示いたしましたので、何卒ご了承くださいませ。

始めに ~自己紹介とこのインタビューの趣旨

はじめまして。全国大学生協連 学生委員会で委員長をしています、高橋明日香と申します。昨年春に兵庫県立大学を卒業しました。本日はお忙しい中、お時間をとっていただきありがとうございます。

同じく全国学生委員会で活動しております、中野駿と申します。名古屋大学をこの春に卒業しました。よろしくお願いいたします。

同じく全国学生委員会で活動しております、梅田叶夢と申します。今春、岡山大学を卒業しました。よろしくお願いいたします。

ミルクボーイです。よろしくお願いします。『M-1グランプリ』の2019年チャンピオンです(笑)。

私たち全国学生委員会は、大学生がより充実した学生生活を送れるようにさまざまな活動をしています。環境に関する活動では、学内の食堂でリ・リパックというリサイクル容器をテイクアウト弁当の容器にしたり、フードロスやプラスチック削減の活動をしたりして、SDGs達成に向けて取り組んでいます。
吉本興業がSDGsを推進される中、ミルクボーイさんが2021年にSDGsの漫才をされているのを拝見して、誰もが楽しく観ることができるお笑いに乗せると、SDGsが分かりやすく頭に入るなと感じました。大学生がSDGsに関心を持ち、考えるきっかけになるようにするには、どのような言葉で伝えればいいか、アドバイスを頂きたいと思います。

また、コロナ禍を経ても、学生はまだまだ人とのつながりを実感できにくいという現状があります。お二人は大学時代にどのようなことを経験してどのように人とのつながりを作っていらっしゃったのか、今どのように人と関わって楽しく過ごされているのかを、お話しいただけたらと思っております。

SDGs漫才をやるようになって

分からないから調べた。調べたら強くなった!

吉本興業よりSDGsを扱って欲しいと打診があったと伺いましたが、その時の印象をお話しください。

きっかけは、M-1に優勝して、いろいろな番組で漫才をやらせてもらって、芸能人をネタに漫才を作り、CM出演の機会が増えた時に、「SDGsで漫才できませんか」と吉本のめっちゃ偉い人に言われたことです。リモートで国連広報センターの人にも依頼されたので、そんなの作れるか?って思ってその時は「一回考えさせてください」って言いました。それで、僕らも正直SDGsについてそんなに知らなかったので、考える時にはだいたい調べるんですよ。

そしたら17項目あって、20でも15でもなく17って中途半端な数字やな、みたいにつっこみどころが多かったですね。そういうのもちょっと面白いポイントというか。あと、「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」って、なんで陸が「も」なんやろ(笑)。(17項目の)色がかぶっているし。まあちょっと、お笑いとして入れられそうなところを見つけていってネタにしたので、僕らもSDGsにはおのずと詳しくなれて良かったです。
僕らネタ作るまでは、SDGsってなんか聞いたことあるなとか、あのバッジを付けている人おるなぐらいのイメージで詳しいことは知らなかったけれど、SDGsのネタを作ることになったことがきっかけで結構学びましたね。

私たちもSDGsについていろいろ学んだりはしていますが、そんなに疑問に思わなかったです。ミルクボーイさんの「これ、何?」っていう視点は本当にすごいなと思いました。やっぱり学生とか興味ない人に伝える時にはとっかかりが大事なんですね。

未来の子どもたちのために、未来の地球のために

ミルクボーイさんは実際に仕事としてSDGsに触れられて、その後SDGsに対する印象は変わりましたか。

SDGsの漫才をさせてもらうようになって、「SDGs的なことを何かやっていますか?」という質問も頂くようになりました。それで、「これはSDGsなのかな?」って、普段の生活から考えるようになりましたね。自分がSDGsのために何をしているかと考えたときに、漫才で発信させていただいているので、「あんまりしてないなあ」ではなく、「やってみようかな」と思うようになりました。

例えばラベルなしペットボトル。ネットで頼むと段ボールで届くのですが、炭酸水とかのラベルが最初から貼ってないんです。単純に、そのラベルを剥がす作業も減るし、ゴミも減るし、でいいなと思ったんですけど、奥さんがそれ担当してくれていて、なんかそっちの方が値段が高いらしいんですよ。ラベルがないから安いわけじゃなくて、ラベルなしを作るために、もしかしたら別の工程で手間がかかるからなんだろうなぁ。でも、別にそれでめっちゃ高いわけじゃないし、自然にはいいってことです。そういう選択肢があるのはいいなと思います。

僕は2021年にSDGsネタをした後、2022年に子どもが生まれたんです。その子どもができた時に、僕らが先に死んだ後、子どもが生きていく地球がすごいことになってしまうのなら、今僕らがSDGsなことしたほうがええなと思いましたね。誰しもそうだと思いますが、本当にこの子が生きやすい世の中、自分の子だけじゃなく未来の子どもたちのためにもSDGsを達成するのはすごいことだと分かったので、勉強して良かったなと思いました。

子どもに教えてあげられるしね。ただ、SDGsってめちゃくちゃ言いにくいですよね。これをまず改善してもらわんと。Sustainable Development Goals。略語やから仕方ないんですけど、言いにくいのは言いにくいですね。それ、ずっと思っていました(笑)。

仕事で実際にSDGsについて調べるようになってから、日常生活でも考えたり、将来のことにも考えが及んだりするようになられたということで、結構きっかけ作りって大事なのですね。

そうですね、一人ひとりのちょっとした変化で変わっていきますから。別に難しいことじゃないんですよ。知るまでが何か難しそうなだけで、ふたを開けてみたら本当に簡単なことなんです。知ってもらえれば、誰でも分かるんですけどね。

それこそ大学生にとっても、ミルクボーイさんの漫才がSDGsを知る一つのきっかけになりますね。