落合陽一さんインタビュー「予測不能な社会の中で、学び続ける、自分の興味を見つける、そして本質を捉えて主張するために。」

「学生」という肩書に依らずに、本質を捉えて主張しよう

最後のところのお話に関連して質問させていただきたいです。若者が情報を発信するとか、もっと周りに・社会に訴えていったほうがいい、というお話をしていただきました。大学生がいろいろな媒体を使って発信していくというときに、こういうことをもっと意識したら広がるんじゃないか、みたいなことを教えていただけるとありがたいです。

訴える内容が本質的な話であるならば、自分が大学生であることを売りにしないことが大事だと思います。個人的には自分が大学生であることを売りにする人はあまり好きではないですね。大学生であるとアピールすることに、あまり意味はないと思います。私自身が学生の頃、「自分が学生だ」と言ったことはあまりないのも理由かもしれません。

そうなんですね。すごいと感じます。

学生の頃から、フリーランスで仕事をしていたから、学生というと賃金が下ったりするんです。大学に入ったときからずっとフリーで、デザインをしたりwebを作ったり、アプリを作ったりしながら生きてきました。そうしているときに、学生であることを売りにすると「学生だったらどうせ時給安くていいだろ」とか捉えられてしまう。それはとてもよくないことだと思っています。学生であることを主張しないことで、プロっぽい仕事を要求されるし、逆に言うと学生っぽい仕事をしたら仕事が来なくなるんです。これは、とても重要だと思います。なので、学生が学生であることを売りにして発信することはあまり意味がないと思っています。

「学生として」ではなくて、「一人の人間として」本質を突く、本質で戦うみたいなイメージですね。

そう。例えば、学生のためにアクションする時に、「自分が大学生です」って言うのは、あまり良くないと思います。それはそれでお涙頂戴といった内容にできるのかもしれないけど、私はそれが必ずしも正解だと思ってはいません。

お話を伺って、大学生という立場に依るのではなくて、本質をもとに主張できるように頑張りたいと思いました。

小学生社長の賞味期限は6年間、中学生社長の賞味期限は3年間、高校生社長の賞味期限は3年間、大学生社長の賞味期限は4年間ってよく言いますよね。合計しても、学生起業家の賞味期限は最大16年間になりますよね。

それは本当に肝に銘じたい点ですね。学生という肩書ではなくて、本質を突くということが重要だと感じました。ぜひ多くの学生に伝えて、心得ておきたいと思います。今日は本当にお忙しいところお時間をいただきありがとうございました。

いえいえ、こちらこそありがとうございました。

2020年6月5日 大学生協杉並会館とご自宅よりリモートインタビュー

PROFILE

落合 陽一(Yoichi OCHIAI)

メディアアーティスト。1987年生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の早期修了)、博士(学際情報学)。筑波大学図書館情報メディア系准教授・デジタルネイチャー推進戦略研究基盤代表・JST CREST xDiversityプロジェクト研究代表。大阪芸術大学客員教授、デジタルハリウッド大学客員教授を兼務。
2015年Wordl Technology Award、2016年Prix Ars Electronica、EUよりSTARTS Prizeを受賞。Laval Virtual Award を2017年まで4年連続5回受賞、2019年SXSW Creative Experience ARROW Awards 受賞、2017年スイス・ザンガレンシンポジウムよりLeaders of Tomorrowに選出されるなど、国内外で受賞多数。
専門は計算機ホログラム、デジタルファブリケーション、HCI および計算機技術を用いた応用領域(VR、視聴触覚ディスプレイ、自動運転や身体制御)の探求。個展として「Image and Matter(マレーシア・クアラルンプール、2016)」や「Imago et Materia(東京・六本木、2017)」、「落合陽一、山紫水明∽事事無碍∽計算機自然」(東京・表参道、2018)」、「質量への憧憬(東京・品川、2019)」など展覧会多数。
近著として、『デジタルネイチャー』(PLANETS)、『2030年の世界地図帳』(SBクリエイティブ)、『働き方5.0』(小学館)、写真集『質量への憧憬』(amana)など。
オンラインサロン「落合陽一塾」主宰
2020年8月31日まで、個展「未知への追憶-イメージと物質||計算機と自然||質量への憧憬-」開催中。(大学生以下無料)https://www.0101.co.jp/michi2020/