せやろがいおじさんの大学生時代は、ここまで社会に目を向けていたのか、学生時代をどう過ごされていたのかを教えてください。
僕は政治的なことに関心のない、社会のことにも全く目を向けていない学生だったので、学生の時からこういう活動をしているお二人なんかは本当に素晴らしいなと思います。だから、僕はいま全く関心ない人も特に攻める必要はないと思っていて、若者に対してきっかけを与えられるような社会じゃない方にも問題があると思う。興味関心を持てないのに「持て」と言われてアレルギー反応が強くなるよりは、いまはやるべきことや、やりたいことを思いっきりやったらいいのかなとも思いますね。
同時に、きっかけを全て社会のせいにしてもおかしな話で、きっかけに出会うための行動が全くないのも問題かなと思います。
大学生協連では年に1度各地の学生が沖縄に集まり、平和や基地問題などを学んで、学んだことに対して自分なりの意見を持ち、それを発信していくということに取り組んでいます。大学時代から沖縄に住まれているということで、ぜひ米軍基地問題、辺野古の問題とかについてお聞かせ願いたいなと思います。
まず沖縄の基地問題を語る時に、なんとなく耳に入った情報で沖縄を批判している人がいるなと思います。「沖縄って基地がないと経済的にダメなんじゃないの」とか。確かに戦後は50%が基地の経済に依存していたけど、今は1桁台になっているし、基地返還したところに商業施設を建てたことによる経済効果の方が大きいです。また普天間基地が世界一危険な基地と言われているのは、住宅街の中にあるからだと言われていますが、「なぜそんな基地の周りに住んでいるの?」などと言う人がいるけど、これは違うのですね。戦後、強制収用の時に住んでいた土地が取られて基地になってしまい、できるだけ自分が住んでいた家の近くに家を建てた人たちを責めることができますか?日本の面積でわずか数%の沖縄に、7割ほどの米軍専用施設が集まっている状態は、やっぱり過重な基地負担を強いているということになりませんか?その7割ある米軍専用施設の中のほんの数%の普天間基地を返還してほしいと言っているだけなのです。
これらの前提知識がなくこの話題について扱って、沖縄を批判する人が多いなという感覚なので、例えば沖縄を批判する言葉に出会ったときに、事実を調べてほしいなと。いまどれくらい沖縄が基地、経済の負担をしているのか、一回立ち止まってその問いに向き合ってほしいですね。
最後に、全国の大学生に激励のメッセージをお願いしたいと思います。
コロナ禍の直撃で、もしかしたら進路が大きく変わってしまったり、なかなか勉強できなくて苦しい思いをしていたり、経済的にしんどくなった人もいるかもしれないですけど、でもそんな中でポジティブな要素を見出すのであれば、圧倒的に社会に関心を持つ機会になったと思います。アベノマスク2枚、これを466億円かけて配ろうとしている、緊急事態宣言が終わってから届く、果たしてこの人たちを監視せず野放しにしていいのかと感じる、すごくいいきっかけを得たと思います。
いま「何かおかしいけど、声をあげるのも難しいな」と一歩踏み出せない人は周りにいっぱいいると思う。そこを問いかけてみたら、意外と呼応してくれる人はいると思うので、社会に向けて発信しなくても、半径1メートル以内にいる人とまずは話してみるというところから始めてもいいのかなと思いますね。
自分たちが興味を持っている分、他の人ときっかけを作る意味での話しかけを今後は念頭に置いて活動していきたいと思います。
自分に明確な意思などがなくても、周りへの問いかけや大人に教えを乞うなど、ある意味学生の特権みたいなところをうまく活かしながら、社会に目を向けるきっかけを少しでも広げ、みんなが学生生活を頑張れるようにいろいろサポートできたらと思いました。
本日はありがとうございました。
2020年5月21日(木)
沖縄と東京都杉並にてリモートインタビュー
「せやろがいおじさん」こと 榎森耕助 氏
お笑いコンビ「リップサービス」の一人(金城晋也氏とのコンビ)で、今 沖縄県を中心に活動中。
QAB主催「お笑いバイアスロン」で2014年の第2回大会から2017年の第5回大会まで4連覇した元王者。
沖縄テレビ主催「新春!oh笑い O-1グランプリ」は、9年連続決勝進出をされています。