HYさんの音楽で伝えてこられたこと、音楽を通して伝えたい想いについて教えてください。
音楽は魔法みたいなもので、言葉の壁をなくして世界に届けることができるし、音楽で人の心を同じ方向に向けることができる、すごい力を持った魅力ある表現方法だと僕は思っています。
音楽を始めてメンバーと出会って、練習スタジオにしていた空き家に集まって音楽を奏でている時はものすごく楽しくて、ハッピーで、自分の心を全部さらけ出してありのままでいられて、そして目の前には笑ってくれたり、真剣に認めてくれたりする仲間がいる。そこはいつも音楽に包まれているから、音楽は心を解放できる一つのカギのように感じていました。
だからライブでみんなに届けたい想いは、本気で心から楽しむということ。僕がメンバーと一緒に音楽を奏でている時って心から楽しいから、僕が見つけたカギで、来てくれているファンのみんなの心を解放したいと思う。僕自身があの時見つけた、楽しいってこと、生きているってこと、生き甲斐を感じる瞬間というものをみんなに感じてほしいと思っています。いつも「僕が一番楽しい」と思ってステージに立っているし、その楽しい気持ちをみんなに同じようなベクトルと想いで感じてもらえるように、音楽に全力で僕の想いを乗せています。
大変なことがあっても、最終的には楽しいと思えることはすごく大事だし、それに気づく一つのきっかけとして、音楽というのは大きな力を持っているのだと感じました。
大変なことももちろんあるし、続けることもそう。続けていれば自分にはない考え方のアドバイスをもらう時もあるけど、それを素直に受け入れる勇気を持てば、もっと視野が広がるんじゃないかな。
誰かの考えを自分の中に受け入れることは勇気がいることだけど、自分の考えを全て否定するくらい受け入れることができたら、それは相手のことを思いやっていることであり、すごく優しいことだと思う。
音楽は魔法のようなものだというお話もありましたが、その影響力や発信力について、より詳しくお聞きできればと思います。
音楽はすごい力を持っていて、さっきと同じ言葉になりますが、みんなが心を同じ方向に向けるというのは、すごく大きな力が生まれる瞬間でもある。それはスポーツで言うとチームワークに似ているよね。
沖縄からバンドとして初めて東京に行った時に感じたのが、建物やビルがすごいなということ。沖縄にはそんな大きなものはなかったので、下から見上げて大きさに驚いたし、みんなで力を合わせて同じ方向を向いたら、人ってこんな大きなものを作り上げることができるんだと思いましたね。
音楽も同じ方向を向いて同じ想いになった瞬間、みんなが一緒に歌ってくれたりする、パワー溢れる一つになる力をすごく体感できる。それは自分が新しいチャレンジをしようとした時に、一人でも仲間と一緒にでも、信頼できるものを信じるパワーと似ているのではないかな。だから音楽を通して、音楽の力で一つになる瞬間の感動をみんなに伝えていきたいですね。
それを知るか知らないかで人生が違ってくると思うし、自分が新しくチャレンジをしようとした時に自分の周りに仲間がいるのならば、その仲間のことを信じて同じ方向を向いたら、きっと大きな力で動かすことができる気がします。それぐらい音楽ってすごい影響力を持ち、パワーを生み出す素晴らしいものだと思います。
僕もバンド活動をするので、音楽を通してみんなの心が同じ方向に向くというのは、音楽の魅力の一つ、力の一つだと実感しています。
そうだよね。一つになった瞬間、ものすごく感動するよね。
お祭りなども地域毎にそれぞれのものがあって、みんな同じ想いで、独特の音楽や踊り方があるからこそ、外国の方も見に来るぐらいの魅力や力を生み出すものがあるから、同じ目線で同じ方向を向くパワーというものは、すごく魅力があると思いますね。
なぜ沖縄から全国に向けて活動をし、発信をしていこうと思われたのですか。
単純に沖縄が好きなんですよね。30代までレコーディングなどは東京でしていたけど、沖縄でも自分たちで試行錯誤すれば、録ることができるとわかってきたので、沖縄を離れなくてもできることはたくさんあると気づきました。
今なら家をスタジオにして、パソコンの中で楽曲を作ったりできるけど、当時は生のアンプや生のギター、真空管やマイクとか、そういうものにこだわると東京にしかなかったけど、だんだん時代が変わってデジタルになり、仕事がしやすい場所で楽曲制作ができるようになりました。
沖縄から離れたくはないけど、僕自身が性格的に沖縄にいたらダラダラしてしまうというか、仕事モードをオンに切り替えることができないタイプだったんですよ。東京で仕事をしている時は、飛行機に乗った瞬間に仕事モードをオンにできるという意味でよかったけど、経験を重ねてオンとオフを自分で上手く切り替えることができ始めた頃から、沖縄をベースに仕事をしています。
また、県外に行くことによって、より自分が生まれた故郷、沖縄の地元の良さに気づいたし、まだまだ僕が知らない美しいものが沖縄にはたくさんあるので、もっと自分の足で沖縄の風景を見に行きたいし、それを曲にしていきたいですね。
離れてわかる地元の魅力みたいなところはあるなと思います。
多角的な視野で改めて見てみると、違う世界が見えるということは人生を豊かなものにもしますし、地元に対する愛着のようなものも生まれるのかなとお聞きしていて思いました。
地元ってすごく落ち着く場所だよね。
自分が生まれ育った場所でもあるし、僕たちの HY の名前の由来になった東屋慶名は、自然が豊かで何もない場所だけど、逆に何にもないからいい。何にもないけど心の拠り所がそこにはたくさんあるんだよね。幼少期の思い出とかがいろいろなところに散りばめられていて。だから帰る場所はすごく大事で、自分に力を与えてくれると思うね。