須貝 駿貴氏インタビュー 大学生は専門家であれ!~学べる環境に身を置き、知識を深めてほしい~

東大発の知識集団がエンタメ動画を作るとこうなる!!  QuizKnockの動画は、知識を競い合うクイズ形式であるにもかかわらず、決して独りよがりに持てる知識を振りかざす内容ではありません。「楽しいから始まる学び」を掲げる彼らが目指すのは、誰が見ても十分に楽しめ、学びへの好奇心につながる動画。だから、10~20代を中心に幅広い層から人気を集めています。なにより動画を制作している彼ら自身が、大笑いしながら和気あいあいとクイズを楽しむ姿に憧れや好感を抱く人も少なくないでしょう。今回は、QuizKnockメンバーの一人である須貝駿貴さんに、QuizKnockの動画が大好きな学生委員5人がお話を伺いました。

インタビュイー

QuizKnock
須貝 駿貴氏

プロフィール

聞き手

全国大学生協連
学生委員会 副委員長
(司会・進行)

林 優樹

全国大学生協連
学生委員会

髙橋 明日香

全国大学生協連
学生委員会

中川 雄貴

大学生協
関西北陸ブロック
副学生委員長

柿平 聖矢

大学生協
中国・四国ブロック
学生委員長

加藤 有希

(以下、敬称を省かせていただきます)

楽しいから始まる学び~出発点は“疑問”

自己紹介 好きなQuizKnockの動画は?

本日はお忙しい中、お時間をつくっていただき、ありがとうございます。QuizKnockはメディアや著書を通じて、学ぶことの楽しさを発信しておられます。このインタビューを通して、ともすればコロナ禍で不安を感じる大学生が、日々の学びに楽しさを覚え、学生生活を前向きにとらえられるようなアドバイスを頂ければと思っています。私は2年前に広島県にある福山市立大学を卒業した林優樹と申します。一番好きなQuizKnockの動画は、『東大主』です。

22年に兵庫県立大学の理学部を卒業しました高橋明日香です。昔からQuizKnockが大好きで、特に『朝からそれ正解』が面白いと思います。

同じく22年に島根大学を卒業した中川雄貴と申します。大学で化学と生物学を専門で学んでいたこともあり、『ダ・ヴィンチの橋』『光るタピオカ』など自由研究系の動画をよく拝見しております。

奈良教育大学4年に在学する柿平聖矢と申します。中・高数学の教員免許を取得することになっております。須貝さんの『すべらない話』が好きで、何回もリピートして見ています。

福山市立大学4年の加藤有希です。好きな動画はインテリ麻雀で、皆さんのゴリ押しがすごく好きです。

QuizKnockの動画を観てくださってありがとうございます。ナイスガイ須貝こと、須貝駿貴です。2021年3月に東京大学大学院総合文化研究科博士課程を修了しました。卒業後、昨年からはQuizKnockを運営する株式会社baton(バトン)の社員として働いております。
僕は、東京上野の国立科学博物館よりサイエンスコミュニケーターの認定を頂いているので、普段の活動でもそういった役割を担当することが多いです。例えば理科系の企業さんの、いわゆる企業案件と呼ばれるような動画に出るときには、企業さんの伝えたいことを僕なりにかみ砕いて、より分かりやすく伝えることを意識しています。

QuizKnockのコンセプトと須貝さんの思い

最初にQuizKnockのサービス内容について伺います。

QuizKnockは、2016年にWebメディアとして始まったサービスです。「楽しいから始まる学び」がコンセプトで、クイズを通して何かを楽しく学ぶことができるようなWeb記事やYouTube動画を発信しています。
例えばYouTubeの動画。一見クイズっぽくない動画もありますが、あれらもよくよく見ると、何か疑問が出発点になっています。「これってどうなんだろう」、そういう問いを起点に掘り下げることで、問いに対する答えを得る行いを、僕は全て学びだと思っています。
知識を持つことへの憧れ、ひいては勉強にポジティブなイメージを持ってもらおうというのがQuizKnockの一番コアな思いです。僕たちはそれを表すために、クイズを題材とした記事やYouTubeの動画を公開するなど、さまざまな活動をしています。

その中で須貝さんはどんな活動をどのような思いでされているのでしょうか。

QuizKnockのメンバーになったのは全くの偶然でした。伊沢拓司の先輩の田村正資という人が僕の大学での同級生で、彼と友達だったので誘われて何となく入りました。ちょっと明るくしゃべれるからというくらいの感じだったのでしょうね。今はインフルエンサーとして影響力を持てているという状況を生かし、科学のアウトリーチをしています。例えば最近では、KEK(高エネルギー加速器研究機構)さんやJAXA(宇宙航空研究開発機構)さんと仕事できるようになりましたが、そういう人たちをみんなに知ってほしいという思いで活動しています。

僕は基本的に理科が好きなんですよね。なんで好きかというと、“変わらない”から。もちろん、新種の生物や新しい化石が見つかったら学説が変わることはあります。しかし、化学や物理、あるいは生物の根源たる仕組みみたいなところは、一回定まったらほとんど変わらない。変わらないルールに基づいて我々は運用されている。森羅万象には理由がある。それが分かることは、世界の輪郭がはっきり見えるようになることだと思っています。

例えば、熱力学の法則を知っていたらエアコンを、また、電磁波の仕組みを知っていたらワイヤレスイヤホンやスマートフォンを開発できます。そういうみんなを幸せにできるような技術を開発するのは、もちろんそのときにいた天才一人かもしれません。でも、みんなが熱力学や電磁気に少しでも触れたことがあると、「これってもしかしたら、将来何か私たちをすごく幸せにするものが生まれるんじゃないだろうか」と期待して、より深く取り組んでいく人を応援できるかもしれない。そのためにはみんなが少しでも知っていること、理解していることが必要だと思うので、僕はいわゆる理科・科学技術を広めることをライフワークに取り組んでいます。