立田 真文 准教授

大学生は、自分で考える力を培う期間

そこのところで、木原さんからも質問があるかなと思います。

今大学生のお話がちょっと出たと思うのですが、先生から関わっている学生とかもいるのかなと思うのですけれども、そういった学生が具体的にもっとこういう考え方ができるといいなとか、こういうことに触れていくことが大事だなあとか、感じていることがあったらお聞きしたいです。

今まではよかったのですけれど、これからはちょっと違うと思うのですね。世の中自体が。。今までは、例えばマスコミの言うこと、先生の言うこと、親の言うことを聞ければいいと。けれどもこれからは、やっぱり自分の頭を使ってですね、そのために大学に行っているんですからね。考えて自分の答えを出してくれるような学生になってほしいなと。先生が地球温暖化というから地球温暖化しかないと思う。いや、そうじゃないでしょ、もっと自分も考えようよ、と思うのです。だから、僕も学校で教育をやっていて、僕の講義を有難く寺子屋みたいに聞く学生が多いのですね。いや、僕はアホやし。そんなありがたく聞かれる存在じゃないし。もちろん僕は廃棄物ちょっと知っているけど、世の中のこと全て知らんし。僕の言うこと全部正しいと思うなよ、と思うのですね。だから、君ら、大学に入ったら対等の立場やから。君らは君らの意見を持ったらええし、それを僕らにぶつけてきたらええんやし。それで議論したらそれでいいんだからね。そういう自分で考える頭を持ってほしいなと思うんです。
もうね、偉い人が言うから正しいとか、偉い人が言うことが全てとか、そういう時代じゃないでしょ。だから、僕のゼミ、研究室はいい意味でほったらかしですよ。自分で自己管理してね、実験でも。ほったらかしですよ、言い方悪いですけど。自分で考えて自分でやろうよ。なんかあったら聞いてきて、なんぼでもサポートするから、という話です。だから、大学生にもなったら、「先生、それ違うでしょ」というくらいになってほしいんです。そこで、権力を振りかざしてくる先生はたいしたことないですよ。僕はそう思う。難しいことを言う人、あれもたいしたことない。難しいこと言うて学生に反論させない人。いや、そうじゃなくて、いかに簡単な言葉を使って理解してもらうというのが当然教育ですから。
だから、先生が教壇に立って、生徒が聞くとか、もうそんな時代やないやろと思うのですね。だから、本当に格差社会になってきて、自分自身の頭で考えている、それを自由とは言いましたが、そういうことをしてほしいなと、本当に僕は全国の学生に思います。それを学生に言いたいです。

ありがとうございます。

だって、いろいろな考えがあっていいじゃないですか。それを培うことが大事。大学という意義は、大学を出たから金持ちになる、大学を出たから出口を保障されるというわけでもないけれども、考える時間というのはできるでしょ、これ、4年間というのはすごく大きいですよ。これもし、社会に出て働いていたらどうなりますか?高校を卒業して働きに出る、そしたらそんな時間ないから。大学生は、夏休みでもすごい時間があって自由でしょ? 働いたらそんな時間ないし。この時間って非常に僕は大切だと思う。けれどだからといって、高卒があかんとは言ってないですよ。大学は大学のそういう特権があるからそういうのは最大限利用して、そういうところで自分自身の思考の確立とかそういうのをやるべきかなと僕は思うのです。だから学生には、せっかく夏休みがあるから、就職の面接のときに言えるようなことをやってみ、と言うてるんです。だってもう、4年になったらもう就活でしょ、そんな時間ないから、時間があるとしたら1、2、3年。人生で3回しかないのだから。でも、1年生に入ったばかりはよく分からないし、2年、3年が非常に大切で、そこで「こんなことやりました」っていう、そういうふうなのをやってほしいなと思います、学生には。今しかないですよ、本当にないですよ。就職して、結婚して、別に就職・結婚せんでもいいけれども、社会に出たらそんな時間ないですよ、本当に。だから、貴重な時間を大切にしてほしいなと思います。

僕は立田先生の著書の最後の章の勉強についてのところを読ませていただいたときには、本当にそういったことを考えたうえで、学生が学生できているかなというのは非常に今の現状だなと。できている子もいっぱいいると思うのですよ、でもやっぱりその中でも全入時代みたいなところで、あまりそういったことが目的にあがっていなくて、なんで大学に来ているのだろうと思いながら大学生活を、それを考えるんじゃなくて、もっとよりいいなあと、いろいろんなことを考えられるのだがなあというのは思いますね。

れは多分、何で勉強するのかっていう話でしょ、それ? 僕の本の最後の章ね、「なんで勉強するのか」。学生と関わっているときにね、色々感じるんですよ。僕は学生が入学してきたらすぐに聞くんですよ。「なんで大学に入ってきたん?」「なんで勉強してるん?」って。そしたら「いや、親が行け言うたから」とかね、「親が10万円やるから行ってくれ、と言われたから」とか、または「親が車買ってくれるから」とか。ま、それもそうかもしれんけど、もっと違うことあるやろ? ということを言いたかったんです。だから、この章をわざわざ付けたのです。多分、勉強する意味が分かってないから。まあ、僕も学生の時は自分も分かっていませんでしたけれども。今まで人生生きてきた中で、なんか僕が伝えられることを言ってあげたいな、と思いました。

誰にでも当てはまる真実

僕自身は高校のときに本来は教員を目指していて、教育系の大学を目指していて、そこには行けずに宮城大学に入ったという経緯があったのですけれど、その中で僕は大学生協というか協同組合と出会って、非常に今はやりがいを感じていろいろできるようになったかと思いますし……。

それは素晴らしいですよ。本当に素晴らしいと思う。

宮城大学の食産業学群というところで、食事とかを産業で見て、それこそ生産から廃棄までを考えるようなところでしたので、ライフサイクルアセスメントみたいな授業があるのですよね。

ほほう。

そういった中で社会と自分はつながっているのだなとすごく感じられて、それこそれを職業にするというところじゃなくて、単純に人間としてそれは知っておくべきなんだなと思ったのは、大学に来て良かったなと強く思えるところです。そういったことを感じてくれる学生が増えることが我々大学生協がみんなで目指す「より良い生活」にも非常につながってくるのではないかなと、自分では思っているのですけれども。

だから、全国大学生協連で活動するというだけでもすごいことだと僕は思いますよ。誰も多分面倒くさいことはあまりやらないし、そういうところに入って活動するのは本当に素晴らしいなと。それはね、やらしい言い方をしたら、就職にすごく有利です。そういうやる気のある子はすごい。僕はそう思いますよ。それはもう胸張って言えますよね。全国大学生協連でやっていたということはすごいことですよ。

富山県立大にも生協はあると思うので、学生もすごく頑張っているのではないかなと思っています。

頑張っていますよ。今、見ています。『eco-op』。

「エコープ」と申しまして、“エコ”と“コープ”をかけているんですけど。(笑)

いいですね。絵が描いてあるね、ちゃんと。素晴らしいね、こういうのは。なんていうのかな、「無から何かをつくり上げる」というのはね。

毎年、少しずつアップデートしながら発行させていただいております。

素晴らしい。

学生ですからね、だからいろいろできたりするのかなと思っています。

やはりね、「書く」というのは大切で、書いたら記憶にも記録にもできるし、素晴らしいことだと思いますよ。いいね、すごいね。すごいすごい。

ぜひぜひ、立田先生の授業の中で、学生がこんなことをしているのだと共有していただけたら非常に有難いと思うのですけれども。

やります、やります。今「エコープ」のページを見てますが、いろんな大学もいろんな取り組みをやっていますね。おもち配りとかね、ゴミ分別、三重宣言。すごいですね。さすが。いいと思いますよ。

宣言するとカッコいいなと思っています。こういったところはすごいですね。あと、いっぱいいる学生の中でも、それこそさっき言ったみたいにちゃんと目的を持ってきてくれている人、まだそういうのに気づけていない人がいるように、大学生協の中でも結構そういったことに取り組むことに意義を感じられている人、まだそこまで感じていない人だったり、すごくそこで幅があるなあというのが、そういったところが一致団結してみんなで取り組んだらいっぱい環境にいいことできるやんというふうに思ってくれたらなあと僕は思っています。

やっぱりなにかやるということは大切ですよ。とりあえずやってみようということは非常に大切ですね。

もう一つ、今、お話を聞いていて、今若いうちにいろいろな経験をして、チャレンジして、自分で考える力をつけていくというのが先般大事だなと感じました。先生が若い頃にこういう経験をしたのはすごく良かったというのがもしあったら、ぜひお聞きしてみたいのです。

最近学生としゃべって思ったことがあります。昔から偉い人は言うじゃないですか、「君たちは若いからなでもできる」と。東急グループの五島慶太という人がいたのですが、あの人は若い人をつかまえて、「もう僕が作り上げた東急帝国なんていらん。全部君にくれてやるから代わりに若さが欲しい」と言ったそうですね。もう、その時、五島さんもだいぶん歳やった。そんだけ若さが欲しいということで、僕も「若いから何でもできるやん」とある日学生に言ったら、「そんなの、若いから何でもできると言われたって、僕は学校の宿題せなあかんし、バイト行かなあかんし、それで頭いっぱいです」と言われた。「だから何でもできる言われたって、そんなもんできません」って言われたのですね。そうなんですよ。若いから何でもできるっていったって、多分実際は普通はできないのですね。で、「なるほどな」と思って、それで僕はね、どこでも言ってることがあるのです。世の中には人の単なる意見とか真実とかいろいろあって、何が本当で何が本当じゃないのか、ぐちゃぐちゃになっているのですね。でも、誰にでも当てはまる真実があってね、真実が。それは何かというと、自分が悩んだり、行く道が分からんとき、どうしたらいいか?それは、『自分の目の前にあることを、自分がすべき事を真剣に必死にすること』なんです。そうすると、必ず、必ず道は開けるのです。これはもう真実なんです。これはね、僕が大学のとき、昼間家の手伝いしてたときの話でね、ある日市役所のバス整備工場で仕事してる僕の横に市役所のおっちゃんがちょこちょことやって来て、「君、今やっていることを真剣にやりや。そしたら、必ず道は開けるからな」って言って去っていったのです。課長やったかな? で、僕はそのとき、「何言ってるんや、このおっさん」って思ってたんですね。「忙しいときに声かけてきて」って思っていたのですけれど、それ、ほんま真実やと今思います。じゃあ具体的にどうするのかというと、例えば大学でレポートがあります。レポートを書かなあかん。レポートをただ単に“C“、60点のギリギリ通るところを目指すのじゃなくて、“A”を取る、80点90点取るように頑張るんです。その与えられた目の前のものを必死に取り組むのです。まずはね、レポートならレポート。そうすると、それを積み重ねていくと、必ず道は開けるし、もし自分の思い通りに行かなくても、必ず違う答えが出てくる。だって、「人間万事塞翁が馬」っていってね、自分が思い描く人生が、神様が言う人生じゃないことってたくさんあるのですよ。で、そのときは希望が叶わなかって悔しかったけれども、あとで考えると「こっちの道で良かったな」というのは僕もたくさんあるのですよね。だから、そのときは悔しいし、頑張ったのになんで僕は成功しなかった、なんで自分はこれを得られなかったのか、と思うかもしれない。でも、それには必ず意味がある。大きな人生の流れからするとね。必ず意味があるのです。だから、今やれることは、目の前のことを真剣にする、必死にする、責任を果たす。そうすると、必ず、必ず道は開けるし。
大きな人生で見ると、それはそうであるべきだったのね。その時は視野が狭いから悔しいとかいろいろ考えるけど、だから真剣にさえすれば、必ず道は開けてくるということを言いたい。これは真実なんです。偉い人は誰もが多分経験していると思う。自分の人生なんてどうなっていくのかっていうのは誰もわからん。だから、本当に実直に目の前のことを真剣にやっていくと道は開ける。僕もだから家の仕事も真剣にやって、アメリカに行って、マスター取って帰ってきて、それで良かった、廃棄物やっていて、あの時は本当に嫌いやったけれど、今思うのは、この僕の経験、廃棄物やっていた経験があるからみんなからちょっと違った先生になっている。僕ほど現場を知っている人っていないと思うのね。僕は、それは本当に自信もって言えます。みんなは大学に入ってから廃棄物やる。僕は生まれたときから廃棄物やっていて。で、大学時代はトラックに乗っていて。もう、地球何周分も周ったぐらいトラックに乗っていたのですね。だから現場も知ってるし。その経験が非常に、そのとき嫌やったけど、今思い出すと良かったなと思う日が来るから、本当に目の前のことを一生懸命にやってほしいと思う。そうすると必ず道は開けるよ。本当にそれは真実やと思います。真剣にやらなかったらダメよ、いい加減にやってたら、道はわからないまま、道は開かれない。そんで、何事もいい加減にやって、自分探しやってどこか行っても絶対にあかん。何も見つからない。自分探しします、ってどっか行ったって、何かが見つかるわけがない。
でね、あるラーメン屋のおっちゃんがね、言うてたんですよ。「天職は未知にあり」って。知らないところに道がある、って。これがしたいなと思ったって、実はそれは自分に合わないかもしれん。こんなことやったことないし、知らんしって言っても、実はそれがぴったり自分に合うかもしれない。それは、やってみな分からないね。だから、目の前にあることを真剣にすること。それしかないでしょ。分からないもん、なにしたらいいか。じゃあ、何するの? じゃあ、ある実験のレポートを何でもいい、真剣にやろうよ。“C”じゃなくて“A”取ろうよ。いっぱい調べよう。それをやっていくと、人生変わっていくから。だって、人生、未来なんて“今”の積み重ねでしょ、結局は。ここで今真剣にやっていくと、未来も必ず見えてくるという話ですね。
だから、そういうふうになってほしいな。これは僕が体験したことで、そのときに「おっさん何言ってるんや」と思うてたけど、「本当にあのおっちゃんええこと言うたなあ」と今思う。本当に今も思い出します、その時の光景が。だから、それをみんなに伝えたい。今ちょっと苦しいかもしれんけれど、必ず開けるよ。だから、目の前のことを真剣にやろうね。こんなんいやや、面倒臭いって言って無責任にほったらかすんじゃなくて、とりあえずやろうよ、と。責任を果たす。そうすると、必ず道は開ける。絶対そうです。それは真実です。僕の考えじゃない、真実なんです。「目の前のことをコツコツやりましょう」という意味です。
だから、偉い人が「君、若いから何でもやれるよ」って、それはそうだけれども、みんながそんな、できるわけじゃないし、具体的な方法として、その目の前にあることをやろうということです。そうすると必ずいい結果がついてくる。人生開かれるんです。
だって、僕なんてね、絶対先生なんてならなかったよ。僕、先生になろうと思って先生になったんじゃないからね、別に。例えば、若いときに選択肢を提示されて「君、何になりたい?」って聞かれたら、その時は僕、外で仕事してたでしょ、ブルーカラーで。作業員で。だから、その時は太陽の下で仕事をするっていうのがあって、もうそれ以外考えられなかったから。なんで部屋の中入って、部屋の中でコツコツ仕事せなあかんねんって思っていましたからね。そこの選択肢に先生という選択肢があっても、絶対に僕はその選択肢を選んでないと思う。けれど、やってみたらやっぱり先生も面白いんですね。学生のつながりとか、自分でいろんなことを開発できるとかね。
どっちがしんどいか。外で炎天下の中、僕京都ですからね。京都はむちゃ暑いんですよ。冬はむちゃ寒いし。で、京都で炎天下の中、仕事をしていて、その仕事と今の仕事、どっちがしんどいか。こっちの今の先生のがしんどいかもしれん。外で体使って仕事をやったら疲れますけれども、さわやかな「あ、仕事したな」っていう爽快感がある。けれどこっち部屋の中はね、なんか体にずっしり来て、でもこっちも面白い。僕にとって全然知らん未知の世界が、逆に良かった。こんな感じ。そう言いたいですね。目の前のことをやりましょう。