友田オレ 氏 インタビュー

コロナ禍の葛藤や不安を乗り越えて

鍛えられた半面、思考停止した時期も

しばらくは1人で行動していたというお話もされましたが、サークル内での同級生や先輩とのつながり以外には、縦横のつながりもなかなか作れなかったという感じですか。

そうです。大学の学部の必修授業も、カリキュラム上1、2年で終わっちゃうんですよ。3年からゼミはあったのですが、そこまで横のつながりも強くなかったです。元々1人でいるのはそんなに苦ではなかったし、コロナでより鍛えられ、1人でいることもままあったという感じですね。

本当にコロナ禍では、自分から行動しないと友達や先輩とつながれないという感覚がすごくあったと思います。

そうですね。だからまあ憶測ですけれど、そのコロナを乗り越えたことで、孤独に耐えられるようになった人、ほかにも結構いるんじゃないかなと思いますね。

いや、本当にその通りだと思います。僕たちはコロナ禍で大学生活が楽しく送れなくて可哀想だと言われることもありますが、1人が好きだから大丈夫だったとか、むしろ一括りにしないで欲しいという声もあります。それこそこのコロナ禍を好機にして、自分たちの就職や自分を見つめ直す機会にできたので、むしろ良かったと言う人たちも結構いたので。

僕も、自分を見つめ直したり1人で行動したりするのが苦じゃなくなったという面は確かにあったと思いますね。

大学時代に学業面やお笑いネタなど、悩みを解決するために、どのようにしていらしたのでしょうか。

人生の漠然とした不安みたいなものを、友達や家族に相談はしていました。お笑いに関して言えば、サークルのメンバーにいろいろ聞いたりしていましたね。人にも相談しますが、自分で考えることも結構多かったと思います。

相談できる方が身近にいたというのはすごく心強かったと思いますが、ご自身でも考えられていたのですね。

そうですね。でも、コロナ禍では若干思考停止していたと思います。こう捉えたらポジティブになれるんじゃないかとか、今苦しいけどこうやって頑張っていこうと転換して考え方を変えたとかじゃなくて、本当にもうただ止まっていたという感じがします。虚無じゃないですけど、一時期何も考えず生活していたと思いますね。2年生になると意欲的にいろいろできるようになりましたが、それ以前は本当に葛藤や不安はありました。

すごくよく分かります。僕は2020年、2年の新学期からコロナ只中で、授業も5月の連休明けまで休講でした。何もすることがなかったので、高校の友達と朝までゲームして、コンビニでご飯買ってちょっと寝て、また朝までゲームしてという生活でした。本当にその時は、コロナ禍がずっと続いて自宅生活も続くんじゃないかという不安が漠然とありました。

人との出会いで得られたこと

大学生活の最初の方は何が起こるか分からないし、思考停止になることもあったと思いますが、逆に大学に入って本当に良かったなと思ったことはありましたか。

コミュニティが広がって面白い人と出会って、結果自分もお笑いをやるようになったきっかけをもらいました。そもそもキャンパスという場所にはさまざまな人がいて、いろいろな格好をしていろいろなことをやっている。自分も好きなことができるという自由が保証されている感じがして、励みになったと思います。中高生だと制服着て目立たないようにすることが正義だったりしますけれど、大学ではみんなそれぞれなので。

僕もさまざまな人との出会いが今の活動につながったと実感しています。

全国の大学生へのメッセージ

最後に、この記事の読者である大学生世代に向けてのメッセージをお願いします。

僕も卒業したてであれこれ言える立場ではありませんが、大学生になると、人生の選択を迫られることがあると思います。僕はそういうことから逃げていたのですが、これからは自分の責任にかかってきます。考え方を変えて、本当にやりたいことってなんだろうと自問自答し、そのやりたいことを選択していくのがいいのではないかと思います。

高校生の頃のモチベーションを今の活動につなげていらっしゃる友田様だからこそのコメントだと思いました。本日は2020年度入学生の本音の部分もお聞きできてうれしかったです。本当にありがとうございました。

2024年4月15日リモートインタビューにて

PROFILE

友田オレ

2001年福岡県福岡市出身。お笑い芸人。GATE株式会社所属。早稲田大学文化構想学部卒業。大学1年時にお笑いサークル「早稲田大学お笑い工房LUDO(ルード)」に加入する。歌とフリップネタを合わせた独特の芸風で、2022年3月にYouTubeにアップした『私の彼は左きき』が10万回再生されるなど話題になる。在学中の23年、デビュー10カ月で第44回ABCお笑いグランプリ決勝戦進出。同年、第18回 M-1グランプリ 準々決勝進出 (Let Me Show You THEまごころとして)※1。24年、R-1グランプリ 準々決勝進出。同年 NOROSHI※22024優勝(チームメリーランドとして)。

※1 Let Me Show You THE まごころ:LUDOの同期であるピボット福田氏との漫才コンビとしても活動。

※2 NOROSHI:大学芸会と吉本興業が開催する、大学のお笑いサークルによる団体戦。