横川 楓 氏 インタビュー

日々のテレビやネットニュースの中で、経済に関係することが占める割合は大きいものです。
それは生活していく上で欠かせないことであり、人々の関心が高いことを意味していますが、日常会話の中で、とかく親しい間柄であればあるほど、お金について話すことは少ないのではないでしょうか。

今回は「やさしいお金の専門家」として、金融リテラシー普及のための活動を行う横川楓さんに、若い世代がなかなか人に聞けない、さまざまなお金についてのお話をお聞きしました。

インタビュイー

一般社団法人日本金融教育推進協会 代表理事
やさしいお金の専門家/金融・経済アナリスト

横川 楓 氏

プロフィール

聞き手

全国大学生協連
全国学生委員会 副委員長

中野 駿
(司会進行)

全国大学生協連
全国学生委員会 委員長

加藤 有希

全国大学生協連
全国学生委員会

寺山 有美

(以下、敬称を省略させていただきます)

はじめに

自己紹介とこのインタビューの趣旨

本日はお忙しいところ、お時間をいただきありがとうございます。
全国大学生協連の学生委員会で副委員長を務めております、中野駿と申します。昨年の春に名古屋大学を卒業しまして、全国学生委員会で活動をしております。

加藤有希と申します。全国学生委員会で委員長を務めております。先日のお金のセミナーや、貨幣博物館の見学もご一緒させていただきました。私も昨年に福山市立大学という広島県にある大学を卒業しております。

全国学生委員会の寺山有美と申します。今年の春に弘前大学を卒業しました。先日のお金のセミナーに参加者として参加しておりました。本日はよろしくお願いいたします。

横川様は、日本金融教育推進協会の理事として、お金の話をわかりやすく発信されている姿が印象的です。このインタビューを通して、学生がお金に親近感を持ち、今後の大学生活や卒業後のお金の不安が解消できるようなヒントや、自分の資産などを見直す機会を創出したいと考えております。

全国大学生協連の学生生活実態調査という、大学生を対象にした調査の昨年秋のものでは、大学生の暮らし向きについて「苦しい」という回答は減少しているものの、自由記述欄には、生活費に対する不安や、奨学金返済に対する不安を抱える声が多数見られました。

また直近のニュースでは、マイナス金利政策の解除にも注目が集まっています。実際にその政策が生活に与える影響を学生も学び、今後消費者としてよりよい消費生活を送れるように、若者世代に向けてアドバイスなどいただけたらと思っております。

日本金融教育推進協会の代表しております、横川と申します。
まず、日本金融教育推進協会は、金融教育を誰でも平等に受けられる環境を整え、金融教育が普及してくことを目指して、立ち上げた団体となります。従来の金融機関の業界団体等とは違う、金融リテラシーの普及に取り組む人であれば誰でも入ることができ、様々な人と連携して活動をしています。

私個人としてはお金の専門家として、金融リテラシーを普及する活動を初めて10年ぐらいになります。いろいろな講演活動や連載、最近では様々な企画の立案や省庁の委員を務めるなどの多岐に渡る活動で、もっと金融の知識をわかりやすく、楽しく伝えたいという思いで活動しています。

活動のきっかけ

自己紹介でもお話いただきましたが、改めて日々の活動とその活動の先にある思いや考えなどをもう少し詳しくお話いただけますか。

普段の活動としては金融リテラシーを広める活動、先ほど申し上げたように、お金に関するサイトやテレビ出演、講演や学校で授業を行ったり、書籍の執筆や企画、漫画の原案を作成したり、多岐にわたっていろいろと行っています。

私が活動を始めたきっかけは、母方の実家が会計事務所を経営しており、そこで育ったことが大きく関係していると思います。小学生の時に両親が離婚して、その会計事務所を経営する母方の祖父の大きな家に引っ越したのですが、その後中学生になるタイミングで、母子家庭として母子二人で独立することになりました。母子家庭で住める場所というのが収入面でも限られていて、すごく古いアパートに引っ越した際に、お金の有無や家族の形、生活の形でこんなにも住む場所が変わることに衝撃をうけました。

その後、高校生になるタイミングで、母親がひとり親家庭で使える支援制度を利用して、家の近所で新築の公営住宅に引っ越すことができました。母がその過程を詳しく話してくれたので、支援制度を使うと、綺麗な家に住めて住環境を改善できることを学びました。10代の頃のこのような経験から、お金の有無や制度を活用することで生活が変わること、暮らし向きがよくなることを知るきっかけが原体験としてありました。

ただ、お金の知識はすごく難しいことも多く、国のサイトなど見てもわかりにくいので、そういったものをもっとわかりやすく伝えていけたらと思いました。私は早くから母に聞くことで知識として知っていることでも、周囲では確定申告すらしないという人もいて驚きました。早くからお金の知識を得ることで、もっと生活が豊かになり、知らなくて損をするということをなくしたいとの思いから、今の活動をしています。

日本金融教育推進協会の「学生部」

代表理事を務められている日本金融教育推進協会のホームページで、「学生部」の募集を拝見しました。「学生部」の実際の活動内容はどのようなものですか。

私たちは学生向けの授業や、学生が使う教材などの開発をさせてもらうことがあるのですが、普通は大人だけの目線でそういうものを作ってしまいがちですけれども、「学生部」の学生たちと一緒に学びながら、本当に伝わるものなのか、学生にとってきちんと役に立つものになっているかどうかなど、学生目線で企画や開発する際に協力してもらっています。

あとは、外部の金融機関や省庁などに行って打ち合わせをすることもあるのですが、そういう時に同行してもらい、学生の視点で金融教育に対する伝え方をアウトプットしてもらったりもしています。

活動方針も一緒に考えてもらい、お金の教育や知識に対する必要性を共有できる学生と一緒に、その学生たちと同じ目線で、同世代の学生たちに伝えていくことができるよう、いろいろと協力してもらっている感じになります。

最近では学校教育の現場でも消費者教育に力を入れていたりすると思いますが、教材はどういったものでしょうか。

学校での授業の際に使用するスライドやボードゲームの開発などですね。一緒に内容について大丈夫かどうかを確認してもらったりしていました。

その学生部の構成は、どのような層が多いですか。

高校生から大学生が多いですね。中学生で入ってきた学生が高校生になったりもしました。ホームページを自身で見て、応募して入ってきてくれる学生が、今はほとんどかもしれないですね。