環境

イルカさんが環境について興味をもったきっかけは何でしょうか?

インタビュー

イルカさん:
東京生まれの東京育ちで、生まれた時から周りは町の中で過ごしました。車に気をつけなさいよと言われるような環境に育ったので、本当は、アルプスの少女のような山の中で思いっきり駆け回れるような自然豊かな所で育ちたかったなという憧れが強くて。小さい頃、何が一番したいかと聞かれた時には田植えをしたいと言ったり、自分の環境にはないものに非常に憧れていました。私は、どちらかというと引っ込み事案な子だったので、もちろん友達はいたけれど、積極的に友達を作ったり、授業中に手をあげられるような子ではありませんでした。いつも、虫や葉っぱと遊んでいました。自分は人間ですが、カナブンや石ころなどに対して、あんまり境を感じずに過ごしていたんです。すべては同じ命じゃないかというのが根底にあったんですね。皆、この地球上に生まれ、同じ時を過ごしてい る。犬や猫、害虫もただ生きているだけであって、これは保護する、あれは害虫であるなどと、命を人間が決めるのでいいのかという憤りもあったんです。自然 の生き物は何も言わない。文句も言わないし、叱る事もしない、ただ淡々と生きていますけど、私たちより凄く崇高な生き物なんですよ。 私にとっては、あらゆる生き物が先生であり、神様であり、友達であり地球に住む愛すべき同志だと思っています。

―環境への興味を職業に

何かがきっかけになったわけではないのですが、いつもアリや石ころと遊んでいて、大人になったらこういうものたちの役にたてるような仕事がしたい なあとぼんやり思っていました。ちょうどその当時、野生の王国というテレビ番組で、ジャングルの中で野生生物を救出するレンジャーのお話があって、そういう人たちを見て、私も大人になったらアフリカとかアマゾンの奥地に行って、野生生物を救助したりする仕事を絶対やるんだ、獣医になるんだと思っていたの ですが、気が付くと歌っていました。でも面白いことに、今はIUCNの人達とご縁を頂き一緒に仕事をしているんです。違う道に行ったと思っていましたが、ぐーっと一周まわって、今、彼らと一緒に仕事が出来るのはとても不思議な縁を感じていて、幼い頃思っていたことが違う形で叶っているなあと思いますね。私はシンガーソングライターとして、なごり雪のような人間のラブソングももちろん歌いますけど、色々な生き物の歌を作って歌うということをずっと続けてきました。20代の頃、スタッフの大人たちの中には生き物の歌は作っても売れないから無駄だと言う人もいたんです。挫折しそうになったこともあります。しかし、生き物の歌を自分で作って歌いたいと思ってこつこつ歩いてきた私を励ましてくれていたのは、当時の10代の若者たちでした。自分も同じようなことを思っていました、歌を聞いてとても感動しましたといってもらうと、生き物の歌を作って歌ってよかったのだなと思えました。そういう、日々に思う色々なことが全て幼い頃に思った「みんな同じ命じゃないか」に繋がっていますね。IUCNから、外務省を通して親善大使になって欲しいと言っていただいた時は、もしかしたら生き物たちに恩返しができる機会があるかもしれないと思いました。いまだに完全にボランティアではありますけどね。

―環境に興味を持てた理由

もともと自然に恵まれていない都会で育ったことがよかったのかもしれません。だから余計に憧れた。自然豊かなところに住んでいたら、自然がいかに素晴らしいのかということに気づかないのではないかと思います。実際、地元の人にとっては水がきれい、空気がおいしいってことは、当たり前のことですから。だから、都会のごみごみしたところに生まれ育ったことは、自分としてはいい環境に生まれたなと思います。私の祖母は栃木出身なのですが、信心深い人だったので、祖母からすべてのものの中に神様はいるんだよと教えられました。私のスピリチュアルな部分においては、大きな影響をもらったかもしれないですね。