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大学生と地域がつながることで、アクションを起こせるようになる!

この記事の読者の多くが大学生となっていますが、細谷里沙さんも北海道教育大学の学生とお伺いしました。大学生としてこのプロジェクトを立ち上げてアクションしたことが素敵だと思います。この状況下で行動されたきっかけについてお聞かせください。

最初にこのサイトを作ろうとなった時に、SNSに「この休校の期間中に仕事どうしよう」といった厳しい叫び・つらい状況を語っている保護者の方がいらっしゃいました。その方とは、旭川市の子ども食堂でのつながりで知っていたので、何か手伝えないか、何か動けないかとちょっと思いました。しかし、対面で接触ができないという壁がありました。直接お手伝いをするということは私にとっても、相手にとっても、安心できないので、あまり理想的な支援・アクションでないと考えていた時に、斉藤さんに相談することにしました。その中で、実際に保護者の方がどう感じているのかを聞いてみようという提案があり、実際に聞き取りも行った上で、この情報サイトの取り組みであれば安心して展開できるのではないかということで実施することになりました。今回のアクションは、大学生を軸にしたものというよりは、地域のお母さんや子どもたちを支えられないかなという想いで一個人として動いたことでした。正直、あまり学生を意識したことはなかったです。身の回りの友人も、一人暮らしの学生はずっと外に出れなかったり、実家に帰れない学生も多かったので、その仲間ともサイトをきっかけに連絡を取り合ったり、友達から「すごいね」と連絡が届いて、そこから近況報告をしあったりすることもできたので良かったなと感じています。本当に、今回は一個人としてのアクションだったなと感じています。

ありがとうございます。「どうしよう」「厳しい」という状況の中で一個人としてアクションしたということでしたが、お話の中で気になったのは、自分の生活も大変な中で、地域の状況や周りの状況にアンテナを張っていることが凄いなと感じています。日ごろからこういう意識で地域と関わっているといったマインドや秘訣があればお聞かせください。

ありがとうございます。私自身は、これまで取り組んできた子ども食堂や学習支援の取り組みがきっかけかなと思っています。旭川市は子ども食堂も多く、学習支援の場もいろんなところで始まっています。その中で関わっていた子どもとのつながりで保護者の方にお会いしたり、子ども食堂はご家族みんなで来られる方もいるので、そこから少しお話をして、SNSでつながっていたりしました。地域の中のいいお母さんの投稿を見るとぃう感覚で動いていたので、子育て世代が…という感覚よりも、「この人がこうなんだ」と具体的な人を思い浮かべて本サイトを作りました。関わってきた身近な親御さんをイメージして作ったサイトです。

いままでのつながりや、日頃から子ども食堂や学習支援でつながっていたことで、具体的に困っていることをイメージして取り組むことができたという印象を受けました。

本当に困っている人に向けて何かアクションができないと変わらないと感じています。自分たちだけで、「これに困っているでしょ?」という押し付けになってしまうのは違うと思います。当事者に聞いてみて、困っていることを分析して、形にできたらと思っています。

押し付けになると、頑張っても一方的になっちゃうというのはそうだなと感じます。

先ほどの話の中で、「どうしようかな」という問題意識を持った際に、斉藤さんに相談して具体的なアクションを決定したという話がありました。今の時代、大学生が周りの身近な大人とつながることへのハードルが高いように思いますが、今回の細谷さんと斉藤さんの関係のように相談できる環境が整っていることが大事なのではと思いますが、その点についてご意見をおしえていただければと思います。

旭川は小さな地域ということもあり、大人とつながる機会がすごく多いかもしれないと思います。学習支援を子どもと主催者の方だけでなく、高校生や中学生が遊びに来たり、大学生が小中高の子どもたちと触れ合える機会があったり、地域のおじさん・おばさん世代も遊びに来たりとか、フラットな場が多いと感じます。コミュニティスペースを作る方もたくさんいらっしゃるので、そこからまた全然違う年代の方とつながることが多いのではないかと思います。学生にすごく優しい、すごく応援してくれる大人が多いのも、つながるきっかけになっているのではないかと思います。

大学の先生や高校の先生で、自分の学生や周りの学生も含めて、他の大学や他の世代・大人とつなげていこうという動きをする人が複数名いらっしゃります。そういう先生が場を作って、うまくつないでくれました。僕もその先生から学びたいことはたくさんありますし、実際に行ってみると、その場に大学生もいてイベントに誘ってみたりすることもできます。そういう地域とのつながりに積極的な先生がたくさんいらっしゃることも大きいと思います。

子ども食堂も地域の方が、自分の家を開いてやっている方もいます。そこから、その地域の子どもや親御さん、お休みに来ている公務員の方もいたりするので、新しいつながりが生まれやすく、いろんな方面につながりを紹介してもらえるという点が印象的です。

いろんなところに接点があるのが素敵です。分断されがちな社会の中で、ちゃんといろんなところと接点を持って取り組めているのがとてもよいと思いますが、そういう中で大学生が生活して学べることはとても羨ましいと感じました。いろんな人との関わりの中で人と人とが育っていける環境がうらやましいと感じました。もう一つ斉藤さんに質問ですが、そういう様々なつながりの中で育っていく細谷さんのような学生は、やはり成長が違うと感じますでしょうか。

学生と大人を繋いでいた先生の世代からすると、「成長しているな」という風に感じる目線はあるかもしれません。僕にとっては、「僕の方が学ぶことが多いな」というくらい、いろんな活動に精を出していたり、いろんなことに関心を持っていたりするのが刺激的です。僕にとっても、新しいことを大学の先生に学びに行くということは刺激をもらいます。学生の成長に驚くというよりも、本当に学生がすごいことを考えているんだという驚きの方が大きくて、新しいアイデアや考え方から勉強させてもらっているという気持ちですね。

とても素敵なお言葉をありがとうございます。上下関係ではなく、斜めの関係を作れていると思います。一個人がお互い尊重してつながって、個々人の成長だけではなく、コミュニティ自体を豊かにしていける関係性を作れているように感じています。こういう関係性が広がれば、もっと助かる人が増えてくるのではないかと感じます。

全国的に大人と大学生がつながる場をどう作るかは、これからの社会にとってのテーマだと感じます。その点で、この取り組みや旭川の事例は、一つのモデルケースになるのではないかと感じました。

「できない」ではなくて、「いいじゃん、やっちゃおう!」のマインドでまず発信しよう!

もう少し広い話になりますが、社会の役に立ちたい・地域の役に立ちたいという大学生は数値的にも増えています。しかし、具体的にどのようなアクションをすればいいか分からないという学生が多いのが実態だと思います。大学生である細谷さんや、若い世代である斉藤さんから、若者世代の仲間に向けて、どういう風に想いをアクションに移したらよいかという点に関してアドバイスを頂けたらと思います。

「何かをしたい」と思っている気持ちをエネルギーにしてほしいと感じています。「何かしたいけど、できない」という考え方は、できない理由をたくさん挙げていて、できる理由を考えずにいるような気がします。できない理由は考えたら尽きないので、それならば「どうやったらできるのか」の方法を考えていったり、いろんな人に聞いたりする方が、いいものが生まれるのではないかと感じます。私も、これやりたいけど分からないなと思うことが多かったのですが、それでも地域のコミュニティや、背中を押してくれる友人や大人の存在がすごく大きくて、「いいじゃん、やっちゃえ」と周りが言ってくれたら、「やっちゃおう!」と思えるようになってきました。できないを数えるよりも、どうできるかを考えるほうが楽しいのではないかなと思います。

いま言ってもらった通りだと思います。自分で意識していることは、「やりたいな」と思ったら、言っちゃうということです。今の時代は、SNSをはじめ、広く自分の考えを発信できるツールがたくさんあるので、「○○がしたい」と言ってしまうことで、周りに認知してもらうことで、「助けになれるよ!」とか、「こんな人を知っているよ」と言ってくれる人が出てくると思います。今の時代、周りに助けてくれる大人が凄く増えているのはあると思います。話を聞いてくれる人や、尊敬できる大人に、「こういうことをやりたいんです」ということをまずは発信しちゃうことが近道ではないかと思います。気づいてみると、あれよあれよとやらざるを得ない状況になるのではなるかもしれません。個人的に、一番発信することが重要だと感じたことは、僕自身が一軒家に住みたい思っていた中で、SNSでその想いを発信してみたところ、たまたま知り合いで「格安で一軒家貸せるよ」という人が現れて、今は広い一軒家に住めるようになっています。(笑) まずは言っちゃうことが重要かもしれませんね。誰かの力になりたいという人が多いので、まずは言ってみることで大きく変わると思います。

「これに困っています!」ということをまずは発信してみることが重要かもしれないですね。

こちらから情報発信をすることで、周りに人や情報がさらに集まってきてチャンスをつかめるということが分かりました。お互いにたすけあうという思想の原点な部分かもしれませんね。

“With コロナ”の時代は、オンラインとオフラインのそれぞれを使いこなす時代に。

これから引き続き“With コロナ”の時代が続きますが、人と人とがオンラインと対面それぞれでつながる中で、どのようなマインドや意識が必要になるでしょうか。また、今後お二人や、「よつばのクローバー」さんが取り組もうとしていることの構想もぜひ教えていただければと思います。

今後、“withコロナ”なのか“Afterコロナ”なのか分かりませんが、今、オフラインでやっていたものを、こういう状況だからオンラインでやっていこうという流れができていると思います。そのオンライン化が、なるべくしてなったオンラインなのか、オフラインの代替としてのオンラインなのかを見極めて、次の活動を考えていかないといけないという想いがあります。今、「よつばのクローバー」で取り組んでいるオフラインの活動が基本的にストップしている中で何ができるかなと考えて、例えば困っているお母さんとオンラインで話す時間を作るとか、zoomでつないで子どもを30分釘付けにするチャンネルを開設したりもしています。しかし、これからの活動すべてがオンラインでよいかと言われるとそうではなくて、オフラインで子供の成長や発達に活きる遊びをやってみたり、子どもに実際にあって育てることに保育の専門性は宿ったりします。あくまでもオフラインができない中での代替としてのオンラインである取り組みもたくさんあることを確認して、一つ一つの取り組みに対して、オンラインでの体制を今後に向けて作っていく必要があるのか、コロナウイルスが終息するまでのつなぎとしてオンラインの環境を整えていくのかということを意識するようにしています。

オフラインとオンラインか、全部オンラインでいいのではないかという話が出てきている中で、しっかりと見極めていく必要があると感じました。その話の流れでいうと、コロナが終息して自粛ムードが解ける中で、一番初めにオフラインで取り組む企画では何をしてみたいと考えていますか。

何だろう…?? なんかない??(笑)

うーん。(悩)私は、すでに地域の方が作っているコミュニティに行くことが多かったので、そういう場に行って人に会いたいと思う気持ちの方が強いです。自分で新しい場を作らねばという意識よりは、前まであって今も存続のためにいろいろと考えてくれているコミュニティに行きたいと思っています。私はあまりオンラインに詳しくないので、私にとってオンラインはすべてをまかなえるものというよりも、オフラインをうまく維持したりするためのオンラインだと感じています。「オフラインのためのオンライン」という考えの方がまだ強いです。どちらもバランスが大事だと思っていて、どちらかに偏らなければいけないという押し付けではなくて、自分にあった方を選択していくことが最適ではないかな。

オンライン化によって、これまでは学校いけない子が、この間授業を受けれるようになったとかいう話も聞きました。

逆に、直接会うことがどれだけよかったか考えるきっかけにもなりました。

新しい発見ができたという風に捉えることもできそうですね。

何かをしなければいけないという意識にとらわれすぎて、苦しくならないようにするのが大事だと思います。

大学生に向けてのメッセージ

貴重なお話をありがとうございました。最後、読者の大学生に一言メッセージをお願いします。斉藤さんは、大学生にとっては少し先輩として、細谷さんはおなじ大学生の仲間にということでメッセージをいただけたらと思います。

後悔してるわけじゃないですが、勉強につぎ込める大学生の頃の時間が欲しいと最近思います。バイトもしていて、バイト自体を後悔しているわけではないですが、メインのやることは学ぶことですよと言われている期間は幸せだったと感じます。もう一度、僕も大学生に戻りたいなぁと思っています。(笑) 「助けて」って言えば、誰かが助けてくれます。発信しましょう!

大学生っていう4年間だからこそ、人とつながることを大事にできたらいいなと思います。私もそう思うし、何かしたいと思っている人もそうだし、とにかく人とつながることを大事にしてほしいと思います。これまでの2年間、自分の背中も押してもらえますし、座学だけでは学べないことがすごく多かったと感じます。今だからこそ誰かとつながる、そこから違うつながりを作っていく、そういう貴重なつながりを大学生だからこそ感じてほしいと思いますし、ここで生まれたつながりはいろんなところでこれからも力になると思います。今回のサイト“つながる”をたすけるも、知らなかったところとつながるきっかけになったらなと思って作ったサイトだったので、「つながる」ということをキーワードにして、私も頑張っていきたいと思います。

心強いメッセージをありがとうございます!全国の大学生に届くと思います!今回はありがとうございました。

(取材日:2020年6月8日)