兼岡先生の推薦図書


『古代人と夢』
西郷信綱
平凡社ライブラリー/定価1,320円(税込)
購入はこちら >「寝(い)+目(め)」が語源とされる夢(ゆめ)。古代人にとって夢とは何か、古代文学を中心とした様々な事例から解き明かす。古代文学に興味を持った人、研究を志す人の初めの一歩に。

『古代研究V 国文学篇1』
折口信夫
角川ソフィア文庫/定価1,012円(税込)
購入はこちら >国文学・民俗学者、折口信夫の文章は、論理的とは決して言えず、むしろ非論理的。しかし読む者は、いつしか「折口語」の毒に犯されて中毒症状、折口ワールド、「沼」にはまってゆく。まさに言霊の力。
 

『塵袋 1・2』
大西晴隆・木村紀子
東洋文庫/定価(各)3,300円(税込)
購入はこちら >「数をかぞえることをヨムというのはなぜ?」「涙とは目から出る滴のこと?」そんな言葉・物事の由来を説く鎌倉時代の類書(ジャンル別になった辞書)『塵袋』は、柳田國男も愛読したというトリビア的知識の宝庫。現存しない風土記も引用されており、風土記研究にとっても重要な文献。

『時間の比較社会学』
真木悠介
岩波現代文庫/定価1,716円(税込)
購入はこちら >大学1年の時、著者の講義を受講、その教科書が本書でした。古今東西の文献を縦横無尽に駆使し、文化と社会形態により異なる時間意識の形成を解明する……その内容の半分も理解できたか「?」でしたが、大学の学問とはこういうものか!と知的興奮を覚えた体験でした。
 

『小泉八雲東大講義録 日本文学の未来のために』
ラフカディオ・ハーン<池田雅之=訳>
角川ソフィア文庫/定価1,188円(税込)
購入はこちら >ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が、東京帝国大学講師時代に行った英文学の講義を収める。彼の読書体験に基づき展開される文学論は、当時の帝大生をいかに魅了したことか。原文にも、いずれぜひチャレンジして欲しい。

『柿の種』
寺田寅彦
岩波文庫/定価880円(税込)
購入はこちら >物理学者、俳人、文筆家。自然や物理現象はじめ、何げない日常を客観的に捉えて分析し、平易かつ含蓄ある言葉で説いてゆく寅彦の文章をよむと、「論理国語/文学国語」などという区分が無意味に見えてきます……。
 

『書物』
森銑三・柴田宵曲
岩波文庫/定価891円(税込)
購入はこちら >書物研究の泰斗による書物をめぐる随筆集。「どのような凡書愚書悪書からも、摂取すべきものを十分に摂取し得る人は、最もすぐれた読書家であらねばならぬ」。また、真の読書家ならば、書斎は乱雑に本が散らばっているはず、などという記述を読むとホッとします(笑)。

『高畑勲をよむ:文学とアニメーションの過去・現在・未来』
中丸禎子・加藤敦子・田中琢三・兼岡理恵=編
三弥井書店/定価3,080円(税込)
購入はこちら >『火垂るの墓』などで知られるアニメ監督・高畑勲。高畑氏、また同氏とアニメ制作を担ったスタッフの方々に行ったインタビューと、高畑作品を様々なジャンルの研究者が考察した論文から構成した共編書です。お会いした当時、高畑氏は既に80歳を越えていましたが、なお衰えぬ創作意欲、知的好奇心に溢れたその姿は、まさに知の巨人─探求者でした。
 
P r o f i l e

兼岡 理恵(かねおか・りえ)
略歴
1975年千葉県生まれ。
千葉大学大学院人文科学研究院教授。
2003年東京大学大学院人文社会系博士課程単位取得退学。2007年博士(文学)。
日本学術振興会特別研究員(PD)、東京経済大学専任講師、千葉大学文学部准教授、同大学院人文科学研究院准教授を経て、2022年3月より現職。
■著書・共著
単著に『風土記受容史研究』(笠間書院 2008)。共編著に中丸禎子・加藤敦子・田中琢三・兼岡理恵編『高畑勲をよむ:文学とアニメーションの過去・現在・未来』(三弥井書店 2020)、論文に「風土記から見えるもの 古代日本における地域意識」(小二田章編『地方史誌から世界史へ:比較地方史誌学の射程』勉誠出版 2023)、「藤代禎輔『独訳万葉集第五巻抄―日本人による『万葉集』ドイツ語訳の先蹤」(鉄野昌弘・奥村和美編『万葉集研究』第41集 塙書房 2022)などがある。
 

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