テストが多くなり、教科書以外の本を読む機会が減ってしまった。家で妹の机に『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』(万城目学/角川文庫)があるのを見つけた。小5か小6の時に読んで以来、一回も読んでいなかった。このあいだ万城目学さんの『八月の御所グラウンド』(文藝春秋)を読んで面白かったので、『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』も急に読みたくなってきた。今まで読売新聞の連載小説「研修生」(多和田葉子)を読んでいたが、テストで読めずに1ヶ月ほど過ぎてしまった。オンラインで夏休みにじっくり読みたい。『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』購入はこちら >
闇に花火の音を聞く。花火大会の夜になると部屋には爆音だけ届き、花火の光は鬱蒼と茂る夏の木々に遮られあまり見えない。一年目の夏はがっかりしたけれど、最近は別にいいやと思うようになった。なので花火らしき音が響き始めると、窓越しに木々の隙間から微かに漏れてくる光を探し、意味不明の爆竹や何かではないよなと最低限の確認をするだけになってしまった。
「闇」をテーマにした興味深い語学書を見つけた。その名はずばり『闇の中国語入門』(楊駿驍/ちくま新書)。「精神の限界」「希望が失われる」「尊厳が打ち砕かれる」など、教科書では中々見ないネガティブな単語や例文の解説を通じて、中国社会における競争の激化、格差の拡大、世代間の摩擦などの負の側面も併せて解説している。事実に即し淡々と説明していくスタイルの本書は、中国語学習のみならず、中国人のメンタリティーの一面を知る上で参考になった。少なくとも私は闇落ちすることなく楽しんで読むことができた。それはきっと、中国語で「本音」を伝える手段を得ているという一種の解放感があったからだと思う。「本音」は中国語で「心里活」という。きれいで明るいだけが「心」じゃない。心の裏表すべてを表現して初めて意思疎通ができる。上手くいけば心が通じ合ったと感じる瞬間もある。闇の中国語が詰まった例文と解説を読み返し、今日も心を表す言葉の一端を学んでいく。『闇の中国語入門』購入はこちら >
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