座・対談「インタビュアーによる 夏川 草介さん著書紹介」
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『神様のカルテ』
小学館文庫/本体552円+税
一に止まると書いて正しい――
この本は栗原一止が『草枕』を愛するように、私にとってのそれである。本庄病院の内科医、一止の元に末期癌患者が訪れる。限られた余命で医師として何ができるのか。悩み、苦しみ、ときに仲間に支えられながら、自分ができることを「真面目」に取り組む姿に心を打たれ、読了後に優しい気持ちに包まれる。
『神様のカルテ 2』
小学館文庫/本体657円+税
医師である前に人間です――
本庄病院にやってきた一止の同期、進藤が定時に帰るのには訳があった。相変わらず厳しい労働環境の中で、古狐先生が病に伏す。やっと家族と過ごす時間を得ることができたわけだが、皮肉にもそこは病院内だった。限られた時間の中で、働きながら、自分の大切な人との時間をどれだけ過ごすことができるのだろうか。
『神様のカルテ 3』
小学館文庫/本体714円+税
無知であることがすなわち悪なの――
一止と同様、私も頭をハンマーで殴られたかのような衝撃を受けた。本庄病院に新しくやって来た小幡先生は最先端医療を追求し、周囲と衝突を繰り返す。さらに、一止の誤診も相まって、一止にとっては、自分が信じていたもの、医師とは何かを問い直すきっかけとなる。それでも一止は寄り添ってくれる仲間に支えられながら、ある決断をする。
『新章 神様のカルテ』
小学館/本体1,800円+税
真面目は真剣勝負――
本庄病院を離れ、大学病院で働き始めた一止。ルールや権威にがんじがらめになり、今まで以上に心の葛藤が増える。そこに現れた 29 歳の膵癌の患者。家族のために生きる。彼女がそう決めたのは、そこには、大学病院に来ても変わらず「患者と向き合う」一止がいたからである。懸命に生きよう、前に進もうとする姿に胸を打たれる。
『神様のカルテ 0』
小学館文庫/本体580円+税
優しい人間になれる――
一止が本庄病院で働き始める少し前のお話。研修医の一止は初めて胃癌患者を担当することになる。人は「初めて」を経験して前に進んでいくのだと思った。「神様のカルテ」の本当の意味が明らかになるとき、気がついたら涙が頬を伝っていた。
『本を守ろうとする猫の話』
小学館/本体1,400円+税
本を普段あまり読まない人に読んでほしいと強く思った。古本屋を営んでいた祖父を亡くした林太郎の前に現れた一匹のトラ猫。トラ猫と一緒に本にまつわる迷宮の謎を解きに行く物語。本をなぜ読むのか?という問いに対して、私はそれまでうまく答えられなかったが、私のこのもやもやを言葉にしてくれた一冊。
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夏川 草介(なつかわ・そうすけ)
1978 年大阪府生まれ。信州大学医学部卒業。長野県にて地域医療に従事。2009 年『神様のカルテ』で第十回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。同書は 2010 年本屋大賞第2位となり、映画化された。他の著書に『神様のカルテ2』『神様のカルテ3』『神様のカルテ0』『本を守ろうとする猫の話』、そして最新刊『新章神様のカルテ』(すべて、小学館)がある。
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