サリン事件の実行犯の一人と接見を重ねる中で得られた話が、科学者らしい淡々とした表現で記述されているなかに、事件の解明という作業、犯罪者の責任、そして刑罰(死刑)を科すことなどについて深く考えさせられるものが滲み出ている。
将棋の名人を越える技量をもった将棋プログラムを開発した著者が、AI の特色をわかりやすく書いている本。人工知能と人間知能の違い、そして「知能」と「知性」の違いなどを考えさせられる本。
著者は機械工学者であり、現実に根ざしたプラグマティックな視点が生み出す発想を持っている。その哲学は魅力的でしかも現実性がある。単なるハウツー本ではないが、ハウツー的な助言も盛り込まれていて、その点でも有益である。
概念的な理論整理では拾いきれないものを言葉にして伝達しようとしている。自分の中にある社会常識的固定観念と現実に直面したときに感じるであろう実感のズレを意識化することができる。真剣に読めば内省的な視野が広まる。
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