出張!誌上フェア P2

 
東日本大震災は、2021年3月で発生から丸10年の節目を迎えました。震災後の記録、叫び、祈り……あの日あの時を思い出しながら全国の大学生協の職員が選んだ震災をめぐる15冊をお届けします。  

  • 筒井大介=編
    『あの日からの或る日の
    絵とことば』

    創元社/定価1,870円(税込) 3.11と子どもの本の作家たち。現代を代表する絵本作家たちが描く、震災をめぐる或る日の記憶。『翻訳できない世界のことば』のイラストブックシリーズ。

     
  • 東大社研・中村尚史・玄田有史=編
    『〈持ち場〉の希望学
    釜石と震災、もう一つの記憶』

    東京大学出版会/定価3,080円(税込) 今、あなたが守れる〈持ち場〉はありますか?  東日本大震災で被災した人々が「なぜ困難を乗り越えられたのか」を、希望学の視点で読み解きます。市役所の職員、避難所で過ごした市民、地元企業の経営者など、釜石市で被災された様々な立場の方々のオーラルヒストリー(実体験)は、「人が強くなれる」理由を教えてくれます。

     
  • 東北学院大学 震災の記録プロジェクト/金菱 清(ゼミナール)=編
    『呼び覚まされる霊性の震災学』
    新曜社/定価2,420円(税込) 「大学」だからこそできた真摯な研究、フィールドワークの成果だと思います。消費され尽くした美談としての復興物語とは異なる、当事者にとっての「生」と「死」は、この先もずっと続いていくものだと思い知らされます。
     
 
  • 和合亮一
    『ふたたびの春に』
    祥伝社黄金文庫/定価825円(税込) 講演会でご自身の詩を朗読していた和合さんの姿は数年たった今も鮮明に覚えています。被災地に、今も散らばる小さな叫びたちを集めたような、圧倒的な力を体感しました。この1冊の中にも詰まっています。ぜひ、多くの人に体感していただきたいです。

     
  • 中野量太
    『浅田家!』
    徳間文庫/定価693円(税込) 実在の写真家「浅田政志」が家族をテーマに写真を撮る話です。途中、震災が起こり被災地で写真を持ち主に返すボランティアをしていました。その場面が印象的だったので選びました。地震に直接関係ないですが、被災地のボランティアにはこんな作業をしていた人もいたんだな、写真が見つかった人はうれしいだろうな、など色々考えさせられ ました。

     
  • 穂高明
    『青と白と』
    中公文庫/定価726円(税込) 東京に住む主人公の悠は震災直後、仙台の家族を心配しつつも都会と地元の温度差に戸惑う。誰かの何気ない言動が自分の心をヒリヒリさせるときがある。そんな被災地の外で悩み続けている人たちを代弁してくれる小説。
     
 
  • いとうせいこう
    『想像ラジオ』
    河出文庫/定価495円(税込) 想像したら聞こえてくる、生物と死者をつなぐラジオ。祈るような気持ちで読み進めたことを覚えています。

     
  • 土方正志
    『瓦礫から本を生む』
    河出文庫/定価1,078円(税込) 東北のちいさな出版社から、日本全国の“被災地”へ——東日本大震災の大混乱のなか、社員わずかふたりの仙台の出版社・荒蝦夷が決意したのは、地元の“声”を編み、全国へ、そして未来へ発信しつづけることだった。大きな災害の直後でも、長く続くコロナ禍の下でも、本や書店が不要不急のものではないと思う・考えるひとたちがたくさんいるということに、じんわり感動。荒蝦夷は伊坂幸太郎のエッセイ集『仙台ぐらし』(集英社文庫)の親本を出した版元です。

     
  • 佐々涼子
    『紙つなげ!
    彼らが本の紙を造っている
    再生・日本製紙石巻工場』

    ハヤカワ文庫/定価814円(税込) 日本の出版用紙の約4割を造る日本製紙。その基幹となる石巻工場の被災から復興を描いたノンフィクション。「紙の供給を止めない」ために目標を掲げ立ち上がる人びとの姿に、人はこれほどにも強くなれるのかと胸を打たれます。
     
 
  • さだまさし
    『風に立つライオン』
    幻冬舎文庫/定価715円(税込) 去年の今頃。ドラッグストアからトイレットペーパーがなくなって、この小説を思い出しました。ほぼ全編、ケニアの話ですが、震災後読んだ小説の中で私が最も、心に刻み付けた「学び」は、この小説の終盤にほんの少し登場する、被災地の光景から得たものです。

     
  • 青木美希
    『地図から消される街』
    講談社現代新書/定価1,012円(税込)

     
  • 橋口勝利
    『大学生、福島を聴く』
    関西大学出版部/定価2,640円(税込)
     
 
  • 西島大介
    『All those moments
    will be lost in time』

    早川書房/定価1,320円(税込) 3・11を機に故郷・広島へと移住した著者。震災とは直接関係のない部分が多いですが、何かをする・考える・表現するにつけ、常に震災のこと・原発のことがチラつく様が、3・11後の「日常」を物語っていると思います。同著者の『すべてがちょっとずつ優しい世界』(講談社・品切れ重版未定)と併せておすすめします。

     
  • 宮前良平
    『復興のための記憶論』
    大阪大学出版会/定価4,290円(税込)

     
  • 森 健
    『「つなみ」の子どもたち』
    文春文庫/定価770円(税込)
     

ご推薦いただいた皆さん(敬称略)

  • 北海道大学生協クラーク店 片岡 真・太田乙生
  • 北海道大学生協北部店 矢野颯太
  • 山形大学生協工学部店 小島憂也
  • 東北大学生協 小早川美希
  • 法政大学生協多摩店 鈴木祥介
  • 電気通信大学生協 C.W
  • 岡山大学生協 志水一平
  • 松山大学生協 山本ゆかり
  • 大学生協事業連合 平野夏織・中村有希
 
 
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